現在、YouTube上には字幕付きの動画が10億本以上存在し、毎日1,500万回も字幕付きで再生されていることをご存じでしょうか。その背景にはGoogleの音声認識機能の向上などがありますが、ユーザー側からのニーズが高まっていることもまた事実です。

そこで本記事では、動画マーケティングを成功させる上で重要なポイントになりつつある「字幕」にスポットを当てて、その価値や具体的な実装方法を当社の制作実績を交えてご紹介します。
  

動画字幕が重要になっている3つの理由

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字幕(CC:クローズドキャプション)とはご存じのとおり、動画の台詞や音声情報を文字で示すものです。外国語映画に付いている日本語の翻訳字幕などは馴染みがあるかもしれませんが、オンライン動画でも字幕が付いているものがこの数年で確実に増えています。

その主な理由としては次の3つが挙げられます。
  

1. アクセシビリティの向上

字幕の本来の目的は言うまでもなく、アクセシビリティの向上です。字幕があれば耳が不自由な聴覚障害者やお年寄りでも内容を理解したり、楽しめるようになります。また外国語の字幕を用意すれば、国境を越えて世界中の人に動画を視聴してもらうことも可能になります。

様々な物事のバリアフリー化やユニバーサル化が進む今、動画のアクセシビリティを向上させるという意味で、字幕はますます存在意義が高まってきているのです。
  

2. SEO効果

最近では画像認識技術や映像認識技術も飛躍的な進化を見せていますが、現時点で検索エンジンコンテンツの内容を認識する上では、やはりテキスト情報がカギになります。

動画SEOといえばタイトルや説明、タグなどが挙げられますが、字幕というテキスト情報を加えることによって、検索エンジンは動画の内容をより正確に認識しやすくなります。その上、上述したようにアクセシビリティが向上して動画視聴時間が伸びれば、その動画に対する評価が上がり、検索上位に表示される可能性が高まるのです。

なお、動画SEOという観点で言うと、字幕を動画に直接入れるのではなく、別途、字幕用のテキストデータを用意する方が効果的です。その具体的な方法については後ほどご紹介します。
  

3. マナーモードでのミュート再生にも対応

モバイルシフトが進むこの数年で盛んに推奨されているのが、スマートフォンでの動画視聴を見越した字幕の付加です。スマートフォンは外出時にマナーモードに設定されていることが多いため、音声なし(ミュート)再生でも動画の内容が伝わるようにするべき、という考え方です。

興味深い事例を1つご紹介しましょう。米Instapage社がFacebook動画の字幕の有り無しでA/Bテストを実施したところ、再生回数や平均総視聴時間など視聴に関する指標については5%程度、シェアやクリックなどのリアクション関連指標については15%以上、字幕なしの動画の数値が落ち込んだとのことです。

日本市場でもFacebookのモバイルアクセスが90%を越えており、特にSNS動画マーケティングにおいては、スマートフォンでミュート視聴されることを前提とした動画企画および字幕の重要性が高まっていると言えます。

参考:
How Closed Captioning Facebook Videos Can Improve Viewership|Instapage
  

字幕の入れ方「3パターン」

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それでは、具体的にどのように動画に字幕を入れれば良いのでしょうか。

主な方法として次の3とおりがあります。
  

1. 動画に直接字幕を付ける

下の動画(LOCUS制作実績)は、映像の編集段階で直接字幕を入れている一般的なパターンです。主人公の女性の台詞がすべて字幕になっているため、ミュート環境でも誰でも内容を理解できるようになっています。

また字幕は必ずしも画面の最下に入れる必要はなく、下の動画(LOCUS制作実績)のように、ナレーションの台詞自体を動画表現の一部に取り入れて、テロップとして表示する手法もあります。

なお、動画に直接字幕を入れる場合、動画表現やデザイン面での自由度は高まりますが、反面、検索エンジンはその字幕の内容を認識できず、上で述べたようなSEO効果は期待できません。SEOを強化したい場合は、次に挙げる2つの方法を選びましょう。
  

2. YouTubeの字幕編集機能を使う

YouTubeでは、音声を認識できる動画の場合、自動的に文字起こしが行われ、字幕として表示できるようになっています。ただし日本語の認識精度がまだまだ十分ではないため、正確な字幕にするには修正・編集作業が必要です。

YouTubeの管理画面において任意の動画を選択し、「字幕」タブを選択すると字幕編集画面になります。実際の動画を見ながら、原稿や表示タイミングを自在に設定できる仕様になっているため、誰でも直感的に操作できます。

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参考:
文字起こしと翻訳を自作する|YouTube ヘルプ

  

3. SubRipファイル(SRTファイル)を用意する

映像のデータとは別に、字幕ファイル(SubRipファイル)を用意し、動画プレイヤー側で再生時に合成させるという方法もあります。

SubRipファイルはテキスト形式のデータで、下図のように、時間とそのタイミングに表示させる文字が書かれています。テキストエディタ等で.txtファイルを作成し、拡張子を「.srt」に変換するだけで作成できます。

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VimeoやFacebookの字幕機能を使うためには、動画データとは別に、このSRTファイルをアップロードする必要があります。YouTubeでも、上述の字幕編集画面でSRTファイルを読み込むことも可能です。

なお、プラットフォームごとにファイル命名や文字エンコード等に関して規定があるため、アップロードする前によく確認しましょう。
  

字幕を入れる上で押さえるべき2つのポイント

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それでは最後に、動画の配信先別に、字幕を入れる際のヒントをご紹介します。
  

1. SNS動画の場合

SNSで配信する動画は、フィードに次々と流れてくるコンテンツの中で目を留めてもらうことが第一ステップになります。そのため、サムネイル画像等ももちろん重要ですが、字幕の視認性やデザイン性を高めることによってユーザーの関心を引く工夫が求められます。

下の動画(LOCUS制作実績)では、テロップとして映像のデザインの一部に取り込む形で視認性を高めています。

  

2. WebサイトやLPの動画の場合

特にBtoB企業のWebサイトやLPに掲載する動画の多くは、商品やサービスを紹介する動画、インタビュー動画など、その情報自体に価値があり、それらを誠実かつ正確に伝えることがもっとも重要です。そのため、下の動画(LOCUS制作実績)のように、過度な装飾はせずシンプルな字幕に留めましょう。

また字幕付きのYouTube動画をWebページに埋め込む場合は、以下のパラメーターを追加することで、デフォルトでの表示/非表示を設定できます。

デフォルトで字幕ON:cc_load_policy=1
デフォルトで字幕OFF:cc_load_policy=0

  

まとめ

米Animotoによる最新の調査データでは、39%の消費者が「字幕があった方が動画を最後まで見たくなる」と回答しており、また50%以上のマーケティング担当者が、常に、または多くの場合でテロップや字幕を活用しているとのことです。

確かに字幕を入れる作業自体は一手間かもしれませんが、動画マーケティングにおいて重要度が高まっていることは確かですので、これから意識して取り入れてみてください。

参考:
The State of Social Video: Marketing in a Video-First World [Infographic]|ANIMOTO blog