2016年のホームページの人気トレンドの1つに*「ストーリーテリング」*が挙げられます。
あるプロダクトを売りたいときに、単なる箇条書きでメリットや特徴を列挙するのではなく、制作の背景やそこに込められた思いや使用者の声などをユーザーに届ける手法です。

一方で、ストーリーテリングは冗長な内容になりやすいのが懸念点でした。
例えば、従来のランディングページはストーリーテリング的な展開をするものが多数ありました。
しかしそのようなランディングページは長くなりすぎる傾向にあり、コンテンツの表現の仕方によっては「営業されている」ように感じてしまいます。

一方、シリコンバレーのテック系企業は*「エレベーターピッチ」*と呼ばれる手法でホームページを作成しています。
「エレベーターピッチ」型では、シンプルで分かりやすく、簡潔に伝えることこそが「善」であり、それを体現しているかのようにホームページでは余分なことは一切書かれていません。

それでは、エレベーターピッチ型ストーリーテリング型は、いったいどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、これらの違いや効果的に使い分ける場面を解説します。

エレベーターピッチ型のホームページ

エレベーターピッチとは?

businessperson.jpeg
※ Source: pexels.com

「エレベーターピッチ」とは、エレベーターに乗っている約40秒程度で、相手に興味を持ってもらうように、シンプルで覚えやすいボリュームで説明を行う説明手法のことです。

起業家がエレベーターでたまたま乗り合わせた投資家に自分の事業プランを説明したり、急いでいる上司にエレベーターの中で報告したりするシチュエーション、つまりエレベーターでピッチ(説明や売り込み)を行うところから、エレベーターピッチと呼ばれているようです。

40秒ほどのエレベーターピッチは、日本語に換算すれば300字程度になるでしょう。
300字といっても言いたいことを入れるとあっという間に到達してしまうので、要点を絞り込んで簡潔にまとめておく必要があります。

エレベーターピッチを活用したホームページ

エレベーターピッチ型のサイトは、シリコンバレーなどを中心にスタートしているWebサービスなどに多く見られます。

todoist.png
※ self-screenshot on July 8th

例えば、タスク管理のTodoistのホームページでは、以下のようなマイクロコピーによって、サービスの要諦を簡潔に説明しています。

「500万人以上が使っている、ストレスフリーのGTDスケジュールアプリ」
「より大きな成果をより少ない時間で」
「どこでもタスクを管理できる」
「タスクやプロジェクトを共有できる」
「気が散らないよう、集中しやすいデザイン」
「世界のトップメディアが賞賛」

ビデオで詳細を見ることもできますが、おそらく上から下までスクロールをして「使ってみる」というボタンを押すまでにかかる時間は、1分もかからないはずです。

wantedly.png
※ self-screenshot on July 8th

同様に、日本国内で人気のビジネスSNSWantedlyでも、エレベーターピッチが使われています。

*「『はたらく』を面白く ー 月間150万人が利用する、国内最大のビジネスSNS」というキャッチコピーから、「共感で人や企業とつながり、シゴトでココロおどろう。」というサブコピー、「であう」「つながる」「つくる」*という機能の列挙、これらを読むのに必要な時間は30秒もかからないでしょう。

エレベーターピッチに向いているサイト

エレベーターピッチは、コンバージョンの敷居が比較的低いホームページに向いているといえます。

例えば、無料でアカウントを作ったり、FacebookアカウントGoogleアカウントなどで気軽に体験ができるものです。
こうしたものは、じっくり考えなくても*「まずは使ってみてから有料会員になるか判断すればいい」*ものが多く、言い換えれば「まずは使ってみてもらわないと話が進まない」ものが多いのです。

有料モノであっても「14日間はFreeプランでお試し」のようにしてコンバージョンの敷居を下げ、エレベーターピッチでコンバージョン率を上げるホームページもあります。