近年注目が集まっている「インフルエンサーマーケティング」。皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

きっとマーケティング担当者なら一度は耳にしたことがある言葉ですが、聞いたことはあっても「インフルエンサー」や「インフルエンサーマーケティング」が何であるか実は詳しく知らない、という方も多いのではないでしょうか。

インフルエンサーとは、影響・効果・勢力の意味で、社会に対して大きな影響力を持つ人物のことを指し、ネット上ではSNSなどを通じて、他の消費者の購買行動に大きな影響力を持つキーパーソンのことを指します。そして、インフルエンサーマーケティングとは、ソーシャルメディア上で影響力のある人に企業の商品やサービスを紹介してもらうことで、販促やイメージアップに繋げるといった手法です。
  
現在様々な企業が、広告キャンペーンや商品PRにインフルエンサーを起用しています。そこで今回は、今大注目のインフルエンサーマーケティングについて詳しく紹介します。

マーケティング担当者なら必ず押さえておきたい手法ですので、これから取り入れてみたい方はもちろん、詳しく知りたい方はぜひ目を通してみてください。

今さら聞けない!インフルエンサーとは何か

インフルエンサー2.png
冒頭でも少し触れましたが、インフルエンサー(Influencer)とは、世間に影響力のある人・物のことで「影響」「感化」という意味を持つ「Influence」が語源で、SNS・ブログ・動画サイトなどで他のユーザーに大きな影響を与える人のことを指します。

具体例としては、有名人、特定分野の専門家、積極的に情報発信を行う個人、人気ブロガーなどがインフルエンサーに当てはまります。

インフルエンサーを効果的に活用したマーケティング手法

インフルエンサー1.png
インフルエンサーマーケティング(Influencer Marketing)は、端的にいえば、先にご紹介したインフルエンサーを活用するマーケティング手法です。代表的な例としては、ブランドのコンテンツ・商品をインフルエンサーに実際に試してもらい、その過程をSNSなどで宣伝してもらうというのが一般的な活用方法です。
  

なぜインフルエンサーマーケティングが今注目されているのか

ここからが本題です。なぜインフルエンサーマーケティングが、これほど注目を集めているのでしょうか。

理由として、以下のような点が挙げられます。

1. 広告を見ていないユーザー

shutterstock_746416948.jpg
出典:Shutterstock

広告を見たくないユーザーだけではなく、広告を見ないという選択をしているユーザーも中にはいます。せっかく広告を出稿しても、広告をブロックされてしまっては表示することすらできません。コンテンツに興味があるユーザーにとっては、広告は邪魔だと感じてしまうのも仕方ないことでしょう。

これに対して、インフルエンサーを活用している場合、ユーザーはインフルエンサーの発信に関心がありフォローしていますので、情報をしっかりと届けることができます。
  

2. 共感を生みやすい

shutterstock_1505424824.jpg
出典:Shutterstock

商品に共感してもらう方法として、何らかのインセンティブを用意して口コミしてもらったり、シェアしてもらいやすいコンテンツを提供する方法が考えられます。しかし「口コミしてね」というような形で実際に投稿してもらう口コミは、適当なコメントを付けて投稿するユーザーも少なくありません。また、シェアしてもらいやすいコンテンツを考えることも簡単なことではないでしょう。

インフルエンサーを起用し共感できる投稿を提供した場合には、自然な口コミが発生し、共感を生みやすくなります。ユーザーに共感してもらう投稿を求めている場合には、インフルエンサーの活用が有効でしょう。

3. 購買につながりやすい

購買に繋がりやすい.png
出典:共同通信PRWire

インフルエンサーを起用することで、企業・ブランドをユーザーに認知してもらえるだけでなく、そのまま購入にもつながりやすくなります。

株式会社トレンダーズが実施した「女性のSNS利用と消費行動に関する調査」(※1)によると「SNSの投稿を見て、インターネットで商品を購入したことはありますか?」という質問に対し、インフルエンサー型で63.2%、フォロワー型で46.1%が「購入したことがある」と回答しています。インフルエンサー型の場合、約3割が「日常的に購入している」または「時々購入している」と回答しました。

また「どのような投稿を見たときに、その商品を『欲しい』と思いますか?」という質問では「内容に共感した投稿」(インフルエンサー型:54.4%/フォロワー型:45.9%)が最も多いという結果が出ています。この調査により、インフルエンサーのSNS投稿が購買行動を掻き立てていることがわかります。

参考:
※1 株式会社トレンダーズ「女性のSNS利用と消費行動に関する調査」
  

4. 検索手段が増えた

検索手段が増えた.png
出典:共同通信PRWire

何かを調べる時の検索方法の定番は「Google」ですが、最近では検索手段としてその他の方法を利用するユーザーも増えています。

トレンダーズ株式会社が実施した「「女性のSNS利用と消費行動に関する調査」(※1)に関する調査によると、知らないことを調べる時には「Google」(インフルエンサー型:77.7%/フォロワー型:80.4%)「Yahoo!」(インフルエンサー型:68.5%/フォロワー型:62.0%)が多いという結果になりました。

しかし、トレンド情報の検索では「Google」「Yahoo!」は4割未満で、「Twitter」(インフルエンサー型:33.5%、フォロワー型:22.5%)「インスタグラム」(インフルエンサー型:33.9%、フォロワー型:17.8%)が「Google」「Yahoo!」と同程度活用が広まっていることがわかります。

参考:
※1 株式会社トレンダーズ「女性のSNS利用と消費行動に関する調査」
  

5.クリエイターとしての側面があること

CaseyNeistat_youtube.png
出典:YouTube CaseyNeistat

インフルエンサーが多くの人から注目を集めるのは、単に日常を配信しているからではありません。例えば、こちらはアメリカの人気ビデオブロガーであるCasey Neistat氏です。オシャレな映像センスが高い評価を得ています。投稿する内容を工夫したり、上手く編集することで、ユーザーやフォロワーが求めるコンテンツを作り心を掴んでいます。

こうしたことから、インフルエンサーはクリエイターとしての側面があるといえるでしょう。インフルエンサーを起用することで、広告としてではなく、作品としてコンテンツを配信することができます。

6.特定ジャンルにアプローチできる

りかりこ.png
出典:Twitter りかりこ(@exrikariko)

幅広いジャンルをターゲットとした広告とは異なり、インフルエンサーマーケティングでは特定ジャンルのターゲットにアプローチすることができます。これまでの広告ではアプローチが難しかった層にも、インフルエンサーを活用することで情報発信することができるようになります。

ここで注意したいのが、フォロワーの数だけで起用するインフルエンサーを決めてしまわないことです。商品・ブランドのターゲットに合っているかどうか、相性がいいかを検討する必要があります。

画像の女性2人は、若年層に人気のある双子モデルりかりこさんです。フォロワー数は161,695人(2017年7月11日時点)と大変人気のある方ですが、たとえフォロワー数が多くともPRしたい自社商品との相性が悪ければ拡散されない可能性が高くなります。自社商品のインフルエンサーには誰が適しているのかをじっくりと考えて起用しなければいけません。
  

7. 芸能人との違い

keiyamazaki.png
出典:Instagram Kei Yamazaki(@keiyamazaki)

インフルエンサーを起用する際には、芸能人との違いについても理解する必要があります。インフルエンサーは有名な人だから芸能人を起用すればいい、と考えてる方もいるかもしれません。しかし、芸能人であってもコミュニティにとって大きな影響を持つ人物でなければ、インフルエンサーとはいえないでしょう。

また、インフルエンサーは芸能人とは異なり誰もが知っている人物ではない可能性がありますが、特定のジャンルにおいては、芸能人よりもインフルエンサーの方が影響力を持つことが多々あります。

Kei Yamazakiさんは、オシャレな朝食メニューを中心に投稿しているエディトリアル&グラフィックデザイナーです。フォロワー数は58万6千人(2017年7月11日時点)で、『TODAY‘S BREAKFAST』(主婦の友社)、ZINE「I MAKE BREAKFAST」などの著書も発売しています。食品系のインフルエンサーとしては、注目の1人といえます。

例えば食品系のプロモーションをする場合、食品ジャンルに特化しているインフルエンサーを起用する方が効果的なプロモーションになることが予想できます。

インフルエンサーマーケティングの成功事例

Christian Dior(クリスチャン・ディオール)

tumbnail_kiegram.jpg
出典:Instagram kie(@_kiegram)

世界的に有名なフランスのファッションブランドである「クリスチャン・ディオール」が、日本で大きな反響を起こした事例を紹介します。

ファッション雑誌ViViの公認インスタグラマーである古川貴絵さんが、発売前の香水「ミス ディオール アブソリュートリー ブルーミング」を、自身のInstagramで紹介したところ、6800件ほどの「いいね!」が集まり話題になりました。

この他にも15万人のフォロワーがいる古川さんが、投稿の中で紹介するアイテムは多くのユーザーからのリアクションを獲得し、ファッションに特化したインフルエンサーの影響力を強く感じます。

Mercedes-Benz USA(メルセデス・ベンツ USA)

tumbnail_benz.jpg
出典:YouTube Mercedes-Benz USA

高級車として有名な「メルセデス・ベンツ」がコラボレーションしたインフルエンサーは犬でした。インスタグラマーとして知名度の高い狼犬のロキ(loki)と飼い主が、GLSという車種の360度動画に出演したのです。

GLSは、アウトドアやスポーツなどオールラウンドで活躍するスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)であり、雪深い山の中をGLSと併走するロキの姿がとても印象的な作品です。ロキはInstagramで200万以上のフォロワーがいます。

ロキのようなペットインフルエンサーは増えており、日本では柴犬まるが有名です。柴犬まるはなんと2500万人にフォローされています。このように、人間だけがインフルエンサーとは限らず、動物でも人への伝達力があればインフルエンサーマーケティングとして成果が期待できるでしょう。

株式会社バンダイ

tumbnail_hajime.jpg
出典:YouTube はじめしゃちょー(hajime)

バンダイの人気商品「たまごっち」は、YouTuberはじめしゃちょー氏とのコラボレーションで大きな話題になりました。はじめしゃちょー氏のチャンネルに投稿された動画は「たまごっち100個育ててみた」というユニークなもの。

この動画を観ると、企画のインパクトだけに捉われず、たまごっちがどのような製品であるのか明確に把握できるのです。たまごっちの世界にスムーズに触れられるのは、楽しくテンポよく話を展開する、はじめしゃちょー氏のスキルに他ならないでしょう。

900万回以上の再生回数を誇る動画は、6.4万件の高評価を獲得しています。企業としてはインフルエンサーが、ターゲットにとってどのような存在かを熟慮しますが、この事例はたまごっちのターゲットである小学生に、大人気のYouTuberのキャスティングが見事です。

株式会社ハーブ健康本舗

tumbnail_mori.jpg
出典:Instagram 𝐓𝐎𝐌𝐎𝐘𝐎 𝐔𝐌𝐄𝐙𝐀𝐖𝐀(@umetomo)

健康食品メーカーであるハーブ健康本舗が販売している、美容健康茶「黒モリモリスリム」は、インフルエンサーの_umetomo_さんによりPRされており、Instagramの「いいね!」は1400件以上となり人気を得ています。

10万人のフォロワーを持ち、女性の支持を得ている_umetomo_さんに集まる「いいね!」は、ターゲットがしっかりとセグメントされたリアクションと言えるでしょう。この事例は、ダイエットティーという健康系アイテムのPRのため、美容関係に強いインフルエンサーとのコラボレーションを実現することで、競合性の高い健康分野であっても強い伝播が可能です。

「インフルエンサー」をうまく活用したマーケティングを

Webマーケティング分野はとにかくスピードが早く、常に新たなトレンドに移り変わっています。「インフルエンサーマーケティング」が注目を集めるこのタイミングで、ぜひ自社のマーケティングにも取り入れてみてください。

インフルエンサーマーケティングの理解を深める

インフルエンサー【Influencer】の用語説明

インフルエンサー【Influencer】の用語説明

インフルエンサーとは、主にインターネット上の消費者発信型メディア(ブログやSNS)の中で、他のユーザーの購買意思決定に大きな影響を与える人のことを指します。また、その様な人を活用して宣伝することを「インフルエンサー・マーケティング」と呼んでます。本記事ではインフルエンサーの説明と、インフルエンサーを取り巻く問題について解説します。

事例を知ってインフルエンサーマーケティングを理解しよう

事例を知ってインフルエンサーマーケティングを理解しよう

ソーシャルマーケティングが盛んになり、最近よく聞くようになった言葉の中に「インフルエンサー」という言葉があります。ソーシャルメディアで特に影響力のある人の協力を得て、商品のPRに役立てる手法をインフルエンサーマーケティングと言ったりします。 言葉としてかなり流行っており、興味がある、自分の会社でもできるの?と思っていても、具体的にどのようなものかをよくわかっていないという方は多いのではないでしょうか。 今回は、インフルエンサーマーケティングの事例などをみていきながら、ただのバズワードとして留めずしっかりと理解を深めていきましょう。

インスタグラマーにインタビュー!MAU7億人のインスタグラムでインフルエンサーを起用したPR施策を実施する際に注意すべきポイン

インスタグラマーにインタビュー!MAU7億人のインスタグラムでインフルエンサーを起用したPR施策を実施する際に注意すべきポイン

全世界の月間アクティブユーザー数が7億人を突破したインスタグラムは、日本国内でも好調に利用者数を伸ばしており、MAU(月間アクティブユーザー数)も1,600万人を超えたとFacebook Japanが発表しています(2016年12月)。 現在、インスタグラム利用者数の増加に比例して、「インスタグラマー」を起用したPR施策をよく耳にします。皆さんの周りでも実際に活用されている企業様も多いのではないでしょうか。 今回の記事では、注目度が高まる「インスタグラマー」にスポットを当て、実際に3名の方にインタビューした内容をお届けします。