マーケティング or セールスどちらに属すべきか。3社が語る組織作りとは

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松本氏:
3社それぞれ考え方も違いますし、積み上げや経験があってこそだと思います。次に、インサイドセールスはマーケティング部門、セールス部門どちらに属すべきなのかについて、「組織」という視点でお聞きできればと思います。

まず、田中さんからお願いします。

田中氏:
組織作りは永遠の課題だと思っています。

優秀なメンバーが支えてくれているのですが、これはある意味「組織」になり切れていない証だと理解しています。弊社のサービスの特性(新卒採用のダイレクトリクルーティング事業)を考えると、「また会いたい」が非常に大切な指標になるのですが、大手の人材系サービスと比べると成功報酬が少なく、利益を出しづらいんですよね。

生産性の高い組織が前提になるのですが、そこで全てを定量的に判断できる組織作りを心がけています。全部の指標を数字で語ることができれば、改善することができます。SalesforceのようなCRMツールを活用しながら、全てをデータ化し、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスがデータをもとにコミュニケーションを行える仕組みを作っています。

中東氏:
弊社では組織のミッションの定義付けをしっかり行った上で、コミュニケーションの取り方に気を付けました。

まずは購買プロセスの中にある業務の漏れを無くすことを第一に行い、それを「弊社のマーケティング」と定義。KDDIは大きな会社なので、法人マーケティング担当者だけでも30人ちかく在籍しています。この中で何をやるのかという定義付けは非常に重要な要素です。

また、定義付けだけでは「絵に描いたような餅」になってしまいます。それをどのように実現させるのか、というのが重要です。

その結果、コミュニケーションが大切というところに行き着きました。信頼関係を構築することで、意思疎通が円滑に生まれるので、組織において理解や共感を得られやすくなります。

水谷氏:
弊社では、インサイドセールスやデジタルマーケティングが組織として評価されたことによってデータの質と量が担保できるようになりました。

データは、会社の資産として残ります。顧客のデータだけでなく社内でのナレッジや教育ノウハウ、体制などです。

ここでいうデータというのはインサイドセールス部門だけではなく、全社的に関わってくることです。データが蓄積されることで全社的に強い組織となり結果的に売上げにつながるからで、今後はインサイドセールスはフィールドセールスに寄せていこうと検討しています。

フィールドセールスはデータに弱いこともあるので、データを重要視する風土を作ることで、全社的にデータが蓄積される仕組みを作れればと考えています。

インサイドセールスが担う「データマネジメント」の役割とは?

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松本氏:
それでは、最後にインサイドセールスにおいて重要なデータマネジメントについてうかがいます。

組織を作る上でもそうですが、結局は裏付けとなるデータがないとビジネスとして成り立ちません。最も重要な要素になってくるのではないかなと思っています。この点に関して、中東さんの考えを教えてください。

中東氏:
顧客データという視点からお話ししますと、デマンドセッターとオムニチャネルがキーワードになります。リードを作る仕掛けとして、デジタル活用や電話、フェイス トゥ フェイスのコミュニケーションがありますが、この3つはチャネルが違います。

お客様からすればオムニチャネルですが、我々からみるとシングルカスタマービューでなければならない。どのチャネルにいても1人のお客様と識別できないといけないのです。購買力のある企業を識別できるデータをマネージすることが大切です。

シングルカスタマービューとして見えていない企業があるのも事実です。デジタルはクッキー情報、電話は電話番号、フェイス トゥ フェイスはアカウントリスト、横串で全部つながっていないんですよね。オムニチャネルだとしてもシングルカスタマービューでない場合があります。なので、シングルカスタマービューは非常に重視しています。

水谷氏:
弊社の中でどんなデータを貯めるいるのかというお話をさせていただきます。

マーケティングで利用するデータというのは、一般的には企業の情報やMAツールに蓄積するクリック率などですよね。その中でも特に我々が大切にしているのは、セールス活動のデータ化です。

セールス担当者がお客様の訪問先でどういう話をして、どういうリアルな情報を得たのか。それをデータベース化することに注力しました。現状蓄積されたデータベースは、エンゲージメントやナーチャリングの精度の高さを実現しています。

先ほども申し上げたように、インサイドセールスはデータと密接な業務ですが、フィールドセールスはデータに苦手意識を持っている方もいます。これを解決するために密なコミュニケーションを図りました。

田中氏:
弊社は、やはり「また会いたい」と思ってもらうことを重視しているため、お客様のペルソナを具体的に描けるかが大切です。データにおいてもお客様の状態の正しさを特定できるかという点を重視しています。属性情報だけではなく、ニーズや懸念点をデータ化して管理しています。

そのデータをプラットフォームを1つにまとめ、全員がお客様の状態がわかる状態にしています。

インサイドセールスはフィールドセールスに対して商談のパイプラインを作れるかが大切です。お客様の詳細なデータをインサイドセールスとフィールドセールスの共通言語として活用しています。

すると、フィールドセールスがフォローし切れないお客様に対してMAツールでアプローチしたり、フィールドセールスの担当者の名前でアポイントメールを送るという施策が行えます。