2024年「コト消費」事例15選!体験型サービスのトレンドを掴もう
近年、「物」ではなく「経験・体験」を提供するサービスに人気が集まっています。もしくは同じ「物」でも、何かしらの「感動」を付加価値としてアピールする商品も少なくありません。
物を所有することに価値を見出すのではなく、その物を購入することによって得られる経験、もしくはサービスの経験そのものの購入に価値を見出すことを、「コト消費」といいます。「コト消費」は、今や国内市場だけではなく、訪日外国人の観光施策でも取り入れられています。
今回は、2017年に話題となった「コト消費」の事例を15個ご紹介します。消費の流行をとらえることで、自社の商品企画にも大いに参考になるのではないでしょうか。
目次
コト消費とは
コト消費とは、「物」を所有することではなく、その物の購入によって得られる経験、もしくはサービスにおける経験そのものに価値を見出す消費傾向のことです。
物質的に充足してきた日本では、*価値観が「所有」から「経験・体験」*に移りはじめています。前述の通り、日本国内だけではなく訪日外国人の観光施策でも「コト消費」が盛んに取り入れられるようになりました。
参考:
「モノ消費からコト消費へ」ってどういうコト?定義から注目される背景まで解説|ferret
「所有」より「体験」を重視したい人が多い
画像引用元:[GfKグローバル意識調査:「お金vs時間」、「所有vs体験」 - グローバルの消費者は、時間と体験をより重視|GfK]
GfKの調査によると、日本では「所有」より「体験」を重視する人が多いという結果が出ています。これは世界的にも同じ調査結果となっており、全体的な流行として、コト消費が広がりつつあることを示しています。
2017年のコト消費事例
今回は、2017年のコト消費事例をマスコミに取り上げられた順番で15個ご紹介します。コト消費の流行を把握するために、ぜひ参考にしてみてください。
1. 東武百貨店池袋本店
http://www.tobu-dept.jp/ikebukuro/
東武百貨店池袋本店では、カップル限定の福袋「めざせ55段!!レトルトカレーをAh!盛~れ!(アモーレ)福袋」を発売しました。
「北野エース」のレトルトカレーをカップル2人で積み上げ、その分だけ貰えるという企画です。ゲーム感覚で楽しめる体験型福袋として、ほかの競合商品との差別化を果たしています。
参考:
初売り福袋 今年は思い出・体験型 カップルでゲーム感覚 現役アスリートと練習も|産経ニュース
2. 東関交通
東関交通は、婚活イベントとして「恋するバスコン」を開催しています。参加者はバスで移動し、サービスエリアで休憩を席替えを行います。その後、一緒にイチゴ狩りなどを体験することで、交流を深めていくことができます。ほかにも、無人島体験や神社の参拝など、様々な体験型婚活イベントの開催も特徴といえるでしょう。
席に座って会話する通常の婚活イベントとは異なり、体を動かしながら交流するため、会話も弾みやすいと好評で、参加者は5年前から約2倍に増えているようです。
参考:
婚活実らす「コト消費」 農業体験や島探検|日本経済新聞
3. 東京ディズニーリゾート
http://www.tokyodisneyresort.jp/top.html
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、2017年4〜9月の連結営業利益が前年比7%増加しました。その要因は、夏に開催されていた映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のイベントに人気が集まったことだといわれています。
イベントで思い出をつくるためにアミューズメントパークに訪れる入園客も増加しており、今後も如何に顧客に対して経験価値を提供していくかが求められていくといえるでしょう。
参考:
オリエンタルランド、イベントけん引で一転増益|日本経済新聞
4. ジャパネットグループ
http://www.japanet.co.jp/shopping/jh/
ジャパネットグループは、2017年7月に豪華客船をチャーターし商品化したクルーズ旅行のテレビ通販を始めました。番組内では客船での食事やエンターテイメントショーなどの魅力を紹介し、朝食のルームサービスを無料で行うなどのオリジナルの特典も付与しました。
その結果、1人229,800円という高額な商品にもかかわらず、紹介直後から入電が相次いだとのことです。クルーズ旅行はニーズはあるもののどこで探せばいいのかわからない顧客も多いと分析した結果、これまでにない「体験」のテレビショッピングに成功しました。
5. なんば戎橋筋(えびすばしすじ)商店街
なんば戎橋筋(えびすばしすじ)商店街では、大型商業施設や通信販売に流れてしまいがちな地元客を取り込むため、「体験博2017」を開催しました。
訪日外国人だけではなく地元客に対しても、グルメや街歩きなどの体験プログラムを提供し、商店街の魅力を訴求しました。すり身の天ぷらを作る体験会など、日本にいてもなかなか経験できないプログラムが高い満足度を得ています。
参考:
“コト消費”で豚まん、かまぼこ作り体験 大阪・ミナミらしい商店街の取り組み活況|産経WEST
6. ケイ・ウノ
ケイ・ウノでは、顧客が自分でペアリングや結婚指輪を作るサービスを展開しています。顧客は複数のプランから体験を選ぶことができ、職人が付き添います。
手作りでも完成度が高いため、2人で思い出を作りたいというカップルからの申込みが増えています。価格も79,000円からと比較的安価であるため、指輪そのものの価値よりも、その指輪を手に入れるまでの過程に価値を見出す顧客のニーズに応える商品だといえるでしょう。
参考:
宝飾店、鑑定イベントや自作で関心喚起 コト消費促し若者離れに知恵|日本経済新聞
7. FEELCYCLE(フィールサイクル)
FEELCYCLE(フィールサイクル)は、アメリカで生まれ、世界的に人気を集めているバイクエクササイズです。インストラクターがペダルの回転数などによる負荷を調整し、1人ひとりに応じたレッスンを組み立てます。
人目を気にしない暗闇の中で音楽に合わせてレッスンを行うため、誰でも思い切り体を動かせると好評で、日本でも店舗数が増えています。地道で辛いダイエットのイメージを払拭し、ライブ感覚で楽しめるエクササイズとなっています。
8. 車泊
2017年11月から、総務省の「IoTサービス創出支援事業」の委託により、熊本県と長崎県の7つの地域で「車泊」のサービスが始まりました。
車泊とは、普通車やキャンピングカーで家電製品を活用しながら車中泊を楽しむアウトドアサービスです。屋外でも電気が使えるため、気軽な旅行気分でアウトドアを楽しめます。都心に人口が集まる中、地方の魅力を打ち出すことで地域活性化を促すための施策として注目されています。
参考:
ひと味違うアウトドアのカタチ…「車泊(くるまはく)」とは?|レスポンス
9. 日本旅行
日本旅行は、長野県飯山市で「日本旅行ファーム」をオープンしました。日本旅行ファームは訪日外国人に向けた観光施策、農業を通した地域活性化のために作られた農園です。
飯山市内のりんご農家と連携し、訪日外国人に向けてりんご狩りなどの体験企画を提供しています。日本旅行は、今後もほかの地域と連携を深め、事業展開を進めていく見とおしです。
参考:
日本旅行が観光農園をオープン、訪日客のコト消費に対応、長野県飯山市に誘客・消費拡大で|トラベルボイス
10. 東京ハーヴェスト2017
11月11、12日、六本木ヒルズで「東京ハーヴェスト2017」が開催されました。東京ハーヴェストは、食材の通販会社が中心になり、農家や漁師などの生産者に感謝を伝える目的で5年前から開催しています。
イベントでは、地域の特産品や食文化を楽しめるコンテンツが用意されており、訪日外国人向けに英語での料理教室なども開かれました。
参考:
農はアート?食文化を国内外に発信-東京ハーヴェスト2017|農業協同組合新聞
11. TACTIVE(タクティブ)
タクティブは、コト消費をコンセプトとした千葉県のそごう千葉の売り場「ジュンヌ」に出店しました。卓球台と合わせて商品のディスプレイスペースも用意し、レッスンを通じて顧客に合う用具をスタッフが提案します。
参考:
人気卓球スクール 「TACTIVE(タクティブ) 千葉店」初の百貨店内「そごう千葉」に誕生!|PR TIMES
12. メイカーズベース
- TACTIVE と同じく、メイカーズベースもそごう千葉の「ジュンヌ」に出店します。メイカーズベースは、100種類以上の機器を使った様々なワークショップを提供する会員制工房です。
そごう千葉の「ジュンヌ」は、体験型專門店館をコンセプトとした商業施設で、TACTIVEやメイカーズベースなどの体験価値を提供する企業を誘致しています。
参考:
[「メイカーズベース」千葉に新店 コト消費掘り起こす|モデルプレス]
13. 西武ホールディングス
http://www.seibuholdings.co.jp/
西武ホールディングスは、アメリカのニュース番組で日本の旅行番組を放映しました。アメリカでのプロモーションを通じて、訪日外国人の利用につなげる狙いがあります。
番組では、日本の歴史や文化を楽しめるスポットとともに西武グループのホテルも取り上げ、日本の魅力を観光ルートに沿って訴求する構成となっています。また、紹介した観光ルートは欧米の旅行サイト「VOYAPON」にも掲載し、プロモーションを強化しています。
参考:
西武グループ、米国でプリンス系施設のコト消費でテレビ番組放映、訪日プロモーション強化で|トラベルボイス
14. イオン
イオンは、アウトレット主体のショッピングセンター「THE OUTLETS」をオープンします。スケートリンクなど、コト消費を意識した施設も多く導入することで、地元の観光資源を活用しつつ、広範囲から集客を狙います。
イオングループがアウトレットを主体とするのは初めてで、今後の動向に応じて展開していくとのことです。今後、ショッピングセンターでも「買う」だけではなく「体験する」価値を提供する機会は増えていくでしょう。
参考:
イオンが新型SC アウトレットで「コト消費」|日本経済新聞
15. 観光庁
http://www.mlit.go.jp/kankocho/
観光庁は、訪日外国人のコト消費を広げるため、「VR(仮想現実)」や「AR(拡張現実)」の活用を進めます。例えば、歴史上の名所でVRを活用すると、戦国時代の様子などを再現できるようになります。
有識者会議を立ち上げ、今後の活用について議論を進める方針です。国として方向性が定まることで、訪日外国人に向けた企画は企業にとっても取り組みやすくなっていくでしょう。
参考:
仮想現実で訪日客を地方に 観光庁、「コト消費」促す|日本経済新聞
まとめ
「コト消費」は、「モノ消費」よりも顧客の心が動く機会が多いため、顧客の印象に長く残りやすい特徴があります。顧客にとってただ消費するための商品ではなく、思い出として印象付けることで、リピート利用や新規顧客の紹介などにもつなげやすくなります。
また、顧客に自社でしか経験できない価値を提供することは、社員のモチベーションを高める要因にもなり得ます。顧客にとっての経験価値は、社員にとっての経験価値にもなる可能性を秘めているのです。
過去に自社でそうしたサービスを企画したことがない方も、来期はコト消費に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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