自社アプリを作ってみたものの、その "成長度合い" を図る上で重要な要素というのは何なのでしょうか。

 ・クリエイターが練るアプリのアイデアでしょうか?
 ・優秀な技術者のアイデアを形にする技術力でしょうか?
 ・敏腕セールスによる販売力でしょうか?

もちろん、これらは全て正解です。ただし、マーケティングという観点で考えると、もう1つ重要な要素があります。アプリを成長させる上で重要な指標を読み解き、市場開拓やグロースへに向けた一手を打てる「数字・指標を読み解く力」です。

そこで今回は、アプリマーケティングで極めて重要かつ頻出の指標「アクティブユーザー」と、関連する指標「アクティブ率」について解説します。

これからアプリを企画・開発する方も、現在アプリをお持ちの方も「●●指標の▲▲部分だけは押さえておきたい」というポイントをわかりやすくご紹介しますので、ぜひ一読ください。
  

アプリの実力はインストールだけではわからない?

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アプリストアなどで「●●万ダウンロード(インストール)突破!」といった宣伝文句をよく目にします。

こちらは "アプリマーケティング" の視点でいうと、多くのユーザーがそのアプリを認知して利用しようと動いた=行動への橋渡しをしたという意味を持ち、意義がある数字です。

しかし、インストール(数)だけを追いかけているのでは、アプリの成長は見込めません。
  

インストール=アプリを使っているではない!

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先述で触れたように、インストール(数)だけを気にしているようでは、成長ばかりか、アプリ人気が下火になっても気付かないかもしれません。それは一体なぜなのでしょうか。

売上拡大とインストール(数)が必ずしもイコールでつながらないのがアプリマーケテイングの世界です。

インストール数の増加には、あるカラクリがあります。例えば、アプリのTVCMの展開やダウンロードしたユーザーにインセンティブのあるキャンペーンアプリの値段を半額にする、ゲームで使えるアイテムをプレゼントするなど)といった宣伝・広告費の投入で、インストールは大きく増やすことができます。

つまり、インストールはユーザーの本当の人気の実態を反映しているのではなく、人気に加え、広告や宣伝、PRなどにお金をかけることで、一定程度まで伸ばすことができるのです。

しかし、特にソーシャルゲームなどの課金型のビジネスモデルを採用するアプリの場合、いくらインストールを伸ばすことができたとしても、その後にアンインストールしたり、そのまま使われずに休眠するなどで利用が継続しなければ、アプリの成長は望めません。

そこで、アプリの実力を適切に把握しながら成長曲線を描くために重要になってくる指標が「アクティブユーザー」です。
  

アプリの成長の原動力はアクティブユーザー!

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アクティブユーザーとは、アプリをインストールしたユーザーのうち、実際に利用しているユーザーのことです。「利用者数」とも言い換えることができます。

一見すると単純な指標ですが、アプリの命運を左右する指標と言っても過言ではありません。アクティブユーザーがほとんどいない場合、何百万ものインストールがあったとしても、収益化は決してできないからです。

アクティブユーザーは、アプリが目安としている目標に応じて時間、日間、週間、月間などの時間軸で区切って集計します。基本的にそれぞれの単位時間の中で、1度でもアプリを利用したユーザーはアクティブユーザーとして1カウントされるのです。

このアクティブユーザーがダウンロードでは決して見えない売上や広告収入、課金などの原動力になるのです。
  

どの指標を使うのがいいの?

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どの指標を使うかは、アプリが重要業績指標(KPI)に何を設定するのかによって "採用するアクティブユーザーの指標" が変化します。

例えば、テレビCMの効果測定を例にお話します。アプリの時間帯ごとの細かなアクティブ率を重視したければ「時間別に区切る」方が良いですし、ゲームアプリのように毎日利用したかどうかを把握したければ「DAU(1日あたりのアクティブユーザー)」になります。また、ECのように毎日は使わないけれど、一定程度の期間をおいて利用が一定なされているかを知りたければ「WAU(週間アクティブ ユーザー)」やMAU「(月間アクティブユーザー)」が効果的でしょう。

参考:
「MAU・WAU・DAU」とは?事例を交えながら各成果指標の意味を解説|ferret

もちろん複数の指標を併用して追いかけるのも、戦略として「あり」です。

例えば、サイバーエージェントの2017年9月期通期決算説明会資料によると、同社が提供するインターネットテレビ「AbemaTV(アベマTV)」の月間アクティブユーザーは、2017年9月に948万人を記録しました。

参考:
2017年9月期通期決算説明会資料|株式会社サイバーエージェント

資料では、月間アクティブユーザーと同時に、週間アクティブユーザーにも言及しています。ヤマを作りながら着実にベースアップを図っている様子が見えます。

AbemaTVの場合、週の中で目玉となる番組を基軸に、ユーザーの視聴動向を把握する週間アクティブユーザー、インターネットテレビ局としての成長の度合いを計測する月間アクティブユーザーといったように使いわけているのがわかります。
  

インストールが少なくてもアクティブが多ければ利用は伸びる

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アプリをインストールして所持しているユーザーのうち、どれくらいの割合がアクティブユーザーであるかを示したのがアプリの「アクティブ率」です。アクティブユーザーと同様に、アプリが目安としている目標に応じて時間、日間、週間、月間などの時間軸で区切って集計します。

アクティブユーザーの母数をどんなに増やしても、莫大なインストール数を必要とするようでは収益化にはつながりません。アプリのアクティブ率を高めることで、利用頻度の向上につなげ、アプリとしての成長の継続(リテンション)につなげることが重要なのです。
  

まとめ - 成長が見込めるアクティブ率の目安は -

例えば、月間アクティブユーザー50,000人以上のアプリの場合、月間アクティブ率の平均は55.1%です。カテゴリーによって違いはあるものの、この数字が1つの大きな目安となります。

このうち、App Apeのゲームカテゴリーの月間アクティブユーザーランキングTOP10のアプリをみると、月間平均アクティブ率は69.4%となっています。全体平均に比べ、アクティブ率が高い傾向を示しています。

このように、アクティブユーザーを起点とした指標は、アプリの新たな市場開拓やグロースへに向けた一手を打つ足がかりになります。

※データ元:アプリ分析プラットフォーム「App Ape」。国内約3万台のAndroid端末を分析/アクティブ数はApp Ape推定による