まずは社内の共感を得ることから

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野原氏はラブジャパンプロジェクトを始めたときに、「社内アンバサダー」の募集を行いました。広報といえば、社外へ自社商品をアピールするポジションだと捉えがちですが、それだけではありません。広報は社内に対して情報を発信する役割も担っています。

野原氏は社内に商品をアピールする重要性について以下のように話します。

「共感を作っていくことにおいて広報の仕事は社外が中心になっていくと思うのですが、私たちは社内がすごく重要だと思っています。実際にカルビーでも案件ごとに部が別れているのですが、他の部が何をやっているかはお互いわからないことが多いです。そこで、社内アンバサダー募集をして今やっていることを知らせることで、案件が部署ごとではなくカルビーごとになっていきます。
そしてカルビーごとになっていくと『あの施策どうなってるの?』などの会話も生まれ、そこに関わっていく人たちのモチベーションもどんどん上がっていきます。これがすごく重要です。」(野原氏)

自社の人間が自社商品をSNSで拡散することが広がりを生む

商品が社内の共感を得ることができれば、社員自らが商品をSNSで拡散するようになります。商品を発売するときに「消費者によるSNS拡散」を狙う企業が多いと思いますが、野原氏は社内の人間が自社商品を拡散することも大切だと話します。

「商品を出したときに、自社の商品を自分のFacebookにアップする人はなかなかいません。しかし、本当は自分たちの社員が自分たちの商品をFacebookでおすすめしてくれるほど、繋がりやすいものはなかったりするんですね。社内の人間がFacebookに投稿したことで『私もこの県出身です』などの会話が生まれたりするので。(社内の共感を得ることで)そういった環境を作れたことがさらに広がりを強くしてくれたと思っています。」(野原氏)

野原氏の場合、社内アンバサダーの募集に加えて、イベントの報告会や47都道府県のブログ作成をすることで、カルビー社内の共感を得られるようにしました。その結果、社外の共感の前に、社内の共感を得ることができたとのことです。

共感を生む「広報」とは

広報の仕事は認知獲得のパブリシティがメインだと思われています。しかし、野原氏はそれだけでは消費者の共感を生むことはできないと話します。
情報を受け取る側の認識をどのように変化させ、行動の変化までどう繋げていくのかまでデザインをする。これが消費者の共感を生み出す広報の仕事なのです。

「広報という仕事は認知獲得ばかりに陥りがちなのですが、そうすると共感を生むことはできません。花火を打ち上げたような一過性なもので終わってしまいます。そうではなく、情報を受け取る人の意識をどう変えていきたいのか。そしてその行動の変化をその先のお客さんまでどう繋げていくのか。ここも含めてデザインすることが、共感を生む広報なのではと思います。」(野原氏)

まとめ

共感を集める商品作りは、「社内の共感」を集めることから始まります。広報の仕事に限らず、ユーザーの共感を得たいと思った時に、社外にばかり目を向けてしまうことはよくあります。

しかし、まずは社内に目を向けて、商品の良さや強みを知ってもらい、社員1人1人が商品をSNSで拡散する。これが社外や消費者からも共感を得られるきっかけになるのです。

社内の共感が消費者の共感にも繋がり、ヒット商品を生み出すきっかけになってます。