MUJI passportに学ぶアプリのリアル店舗活用

良品計画が運営する無印良品は、コラムの発信や顧客の声を集め製品開発をするメディア「くらしの良品研究所」で顧客とのコミュニケーションを商品開発などに生かしてきました。

2013年からは、Webだけではなくリアル店舗の顧客ともコミュニケーションが取れるツールとして「MUJI passport」というアプリを提供しています。

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「MUJI passportは会員証機能がついていて、お客様とコミュニケーションをとる手段として導入しました。導入当初は会員証機能のみの利用が多かったのですが、今は別の機能もたくさん使われています。」(川名 氏)

無印良品に限らず、アプリを会員証として活用している企業は多くあります。しかし、無印良品では会員証としてだけではなく、コラムやリアル店舗の最新情報を閲覧したり、チェックイン機能でスタンプを集めたりと会員証以外の機能もアクティブに使用されています。

また、各店舗と顧客をつなぐツールとしてもアプリは利用されていると川名氏は話します。

「チェーンストアのオペレーションはもう飽きられています。同じお店に同じ商品、同じ挨拶、うっすらと気味の悪さを感じている方もいるはずです。チェーンストアではなく『個店』でありたい、顧客ではなく『個客』とコミュニケーションを作りたいと思ってやっています。」(川名 氏)

リアル店舗のITリテラシー教育が課題

無印良品のように、リアル店舗でもアプリを活用した接客をする場合、課題となってくるのは店舗のITリテラシー教育です。店舗スタッフがアプリやサービスの仕様を理解し、さらに来店する顧客にアプリの使用方法を解説できるレベルまで教育する必要があります。

ライザップの澤本氏もITリテラシー教育には課題を抱えていると話します。

「最近僕たちも頑張っているんですが、店舗レベルのITリテラシーは課題です。新しいサービスを取り入れた時に、使い方の説明や研修はするけれどもつまずいてしまいます。」(澤本 氏)

これに対し良品計画の川名氏は、店長集会の時に直接出て行って説明するような機会を増やすことが大事だと話します。

アプリや新デバイスなど、テクノロジーを使ったサービスを提供する時は、時間をかけて教育していく姿勢が企業側に求められます。

テクノロジーを活かした顧客体験

ライザップでは、テクノロジーを活用したアプリならではの顧客体験を提供しています。

それがライザップゴルフのアプリ活用です。ライザップゴルフでは、専用デバイスアプリを活用した新たなサービスをスタートさせました。これにより、ユーザーのスイングデータやラウンドスコアを記録、分析して、よりパーソナルなトレーニングができるようになりました。

RIZAP GOLF LESSON System

「これはアプリじゃないとどうしてもできないことです。クラブにデバイスをつけて、スイングした時のデータが瞬間的にアプリへ送られるんです。また、カメラで動画も撮っているので、スイングの入射角などが動画と一緒にアプリで確認できます。ゴルフって“ハーフスイングで振ってください”って言っても“それってどこまでですか?”みたいなことがよくあるんです。これなら動画を見ながら説明したり、スイングの問題点がデータからわかったりします。」(澤本 氏)

また、澤本氏はデバイスアプリの導入はトレーナーにも好評だと話します。

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「トレーナーが教える時に、ゴルフは専門用語が多くて顧客に伝わりにくいんです。横文字だらけなので。それをアプリで見せながら説明することで、お客様にもわかりやすくトレーナーも指導しやすくなったと言っていますね。」(澤本 氏)