商品やサービスなど、企業が利用してもらいたいユーザーへ情報を届けて購入などの行動を促すためには、さまざまな角度からのプロモーションが必要です。

莫大なお金をかけて広告を打つことも有効ですが、プロモーションにあまりお金をかけられない企業では、いかに低額で有効な施策を打ち出すかが重要なポイントとなります。そこで注目を集めているのが、低額でもプロモーションを行える概念「UGC」です。

今回は、UGCの概念と、企業が取り入れるメリットを紹介します。あまりプロモーションにお金をかけられない方は参考にしていてはいかがでしょうか。

UGCとは

UGCとは、「User Generated Contents(ユーザー生成コンテンツ)」の略称です。
CMやホームページなど企業が作成した広告ではなく、SNSでの投稿やブログ商品レビューなどの「既存ユーザー自身が作成した」商品やサービスの宣伝につながるもののことを指します。

企業が作成することなく既存ユーザーがどんどん生み出していくコンテンツなので、うまくいけば企業がマーケティングを推し進めなくても既存ユーザーがが楽しみながらプロモーションを行ってくれる可能性があります。

ただし、既存ユーザー自身が作成するコンテンツだからこそ、企業側が管理・コントロールするのは難しい点も留意しなければなりません。

UGCを取り入れる3つのメリット

1.ユーザーに親近感を持ってもらえる

ugc_-_1.jpg

一流のモデルが着こなしている洋服をみるよりも、InstagramなどのSNSで同じ商品を身に着けている既存ユーザーの写真を見るほうが参考になるケースもあります。

例えば、気になる洋服をInstagramで見かけた際、着用しているのが細身のモデルだと「自分に着こなせるのか」「サイズ感はどうなのか」など疑問や不安が生じます。気に入った洋服でも、自分が着用した時のイメージが浮かばなければ購入を見送ることもあるのではないでしょうか。

有名人を起用したプロモーションは興味を引きやすいですが、実際に利用しているシーンを想像することが難しい場合も少なくありません。
その点UGCでは、実際に利用している一般ユーザーがプロモーションコンテンツとなる投稿をしますので、商品やサービスをより身近に感じてもらえます。

2.客観的な評価が集まる

ugc_-_2.jpg

企業は、商品やサービスのよい面を中心にプロモーションします。

メリットを中心に打ち出しているプロモーションは、ユーザーの立場からすると客観的ではないため信用に欠けると感じる場合もあります。
ここで第三者であるユーザーの客観的な評価が加わると、信頼性がアップして購入や利用を検討しているユーザーの後押しとなります。

また、既存ユーザーからのレビューや口コミが多くなれば、新規ユーザーの参考になる情報量も増えてきます。情報量が増えるほど、レビューや口コミがきっかけで商品・サービスを利用してくれる新規ユーザーの増加が期待できるでしょう。

さらに、アンケート調査などを改めて行わなくても、提供している商品やサービスに対するユーザーの意見を収集できるメリットもあります。

3.ユーザーならではの視点で商品・サービスを紹介してもらえる

ugc_-_3.jpg

UGCでは、企業が想定していない角度で商品やサービスが紹介されることがあります。
「このような新しい使い方があるのか」といった発見から、これまでとは異なるプロモーション施策の企画立案にも役立てたり、新たな商品やサービスの開発に活用できたりなどの可能性も広がります。

例えば、「画鋲」は壁にポスターや紙などを固定する道具です。しかし、画鋲を使用するユーザーの中には、ゆで卵の殻を綺麗に剥く便利グッズとして活用しているユーザーがいます。卵をゆでる前に、尖っている方の先端に画鋲の針を1刺ししてからゆでると、殻をむく際にツルッと剝けるからです。

この使用方法は画鋲を販売している企業が想定している使用方法ではないですが、主夫・主婦の間ではよく知られている活用方法です。

このように、UGCを活用することで企業側が考えるメリットとユーザーが考えるメリットを比較することができたり、企業が想定している以上に便利な活用方法がSNS上などで話題になったりすることがあります。

UGCを活用する際に注意したい3つのポイント

1.情報の正確性

UGCは既存ユーザーが作成するコンテンツですので、情報が本当に正しいかどうかチェックが行われているわけではありません。ユーザーの勘違いで間違った情報が拡散されてしまう可能性もあります。

間違った情報が掲載されたままでは業務に支障が出る可能性がありますので、UGCはこまめにチェックしておく必要があります。

2.コンテンツの質の管理

ユーザーが作成するUGCは、コンテンツの質がバラバラになりがちです。
UGCだからといってユーザーに丸投げするのではなく、ユーザーが自らコンテンツを作成したくなるような、コンテンツを製作するハードルが下がるような工夫が必要です。

例えば、Instagramで企業がハッシュタグやお題などを指定してキャンペーンを行うのも、UGCの質の管理方法のひとつと言えます。

どのような導線で既存ユーザーに新規ユーザーの役に立つUGCを作成してもらうのかを担当者は常に意識するようにしましょう。

3.権利侵害の可能性

ユーザーが作成してくれるコンテンツでは、作成者本人が意図せずに権利を侵害している可能性もあります。
例えば、ユーザーがSNSで投稿した店内写真を企業側で拡散したら、写真内に別のユーザーが映っていて後日クレームが発生したという場合などです。

肖像権や著作権など、見落としがちな権利侵害には企業側が十分に注意する必要があります。

UGCの活用例

1.各種SNS連動キャンペーン

UGCを効果的に利用する例のひとつとしてあげられるものが、Instagramをはじめとした各種SNSの連動キャンペーンです。
例えば、以下のferret内の記事で紹介しているバレンタインキャンペーンは、SNSを活用したキャンペーンです。

こうしたSNSを使ったUGCマーケティングは、費用を抑えながらプロモーションできるというメリットがあります。またユーザー同士でコミュニケーションが生まれ、エンゲージメント率の向上も期待できます。

参考:
【2018年版】バレンタインキャンペーン24選!

2.レビューを書いて商品ゲットキャンペーン

商品レビューを特定のサイトやSNSに投稿することでインセンティブを手に入れられるキャンペーンです。

こちらのキャンペーンには売り手である企業と買い手であるユーザーの双方にメリットがあります。売り手である企業側は、ユーザーからのレビューを集められます。さらにはそのレビューが他のユーザーへの宣伝にもつながり一石二鳥です。

対して買い手であるユーザーは、レビューを投稿するだけでインセンティブを手に入れられるメリットがあります。

提供している商品やサービス、インセンティブにもよりますが、双方向にメリットがあるシステム作りをすることがこのキャンペーンのポイントとなります。

まとめ

最近ではInstagramの検索機能を使用して、商品の利用写真を検索してから購入を検討するユーザーも少なくありません。既存ユーザーが生み出すコンテンツは、新規ユーザーの購買意欲に影響を与えます。

UGCを活用するには、

  • 既存ユーザーの興味・関心を惹き、共感を得やすいことはなにか
  • どのような企画やネタであれば、既存ユーザーがコンテンツ作成しやすいか
  • 既存ユーザーが作成したコンテンツを、どのようなに拡散してプロモーションに活用するか

の3点を意識してください。

UGCを上手く利用すれば、あまりお金をかけられなくても効果的なプロモーションができます。

参考:
Instagramの投稿で購買意欲をかき立てられた女性は約7割 | ネットショップ担当者フォーラム