消費者との接点を作り、商品やサービスの購入へとつなげるためには、Webマーケティングの存在が必要不可欠な時代となりました。

自社のサービスに興味を持ってもらい、継続的な関係性を築き上げることは、簡単ではありません。

消費者、顧客1人ひとりに合わせた柔軟なコミュニケーションが必要になることは、多くのマーケティング担当者が理解していることと思います。

しかし、その施策を実践するためには、どういった考え方でサービスを実施していけば良いのか。そして、具体的にどういった課題が生じるのか。このような悩みは尽きません。

そうした中で日本マイクロソフト株式会社(以下マイクロソフト)と、サイトコア株式会社(以下サイトコア)は、デジタルマーケティングの効率化をテーマにしたセミナーを開催しました。

今回は同セミナーの中から、サイトコア社による、コンテクストマーケティングを主題としたプログラムの内容をお送りしつつ、企業はどのように向き合っていけば良いのかを考察します。

原水真一氏 プロフィール

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2000年1月にマイクロソフトに入社。Microsoft MVP Program のプログラムマネージャーなどを担当する。2010年7月からデジタルマーケティングプラットフォームのパッケージを提供しているサイトコアに入社し、営業、マーケティング支援、プリセールス、パートナープログラムなどの業務を担う。2015年10月~2016年3月までは株式会社FIXERでマーケティングなどを担当したのち、2016年4月にサイトコアに復帰。プリセールスを中心に活動している。

消費者の背景や心情を理解したマーケティング

そもそも、コンテクストマーケティングとはどのような意味合いで用いられているのでしょうか。
Web CMSプロバイダー大手のサイトコア社でプリセールスマネージャーを務める原水氏は、その定義を以下のように説明しました。

過去の行動履歴や現在のニーズを総合的に把握・理解しながら、適切な瞬間に、適切な場所で、適切な人へ、適切なコンテンツを提供することで、体験(エクスペリエンスそのもの)を演出すること
イベントのスライドより引用

つまり、相手のほしい商品やサービスを、適切なタイミングで提供する、消費者視点のマーケティングといえます。なぜ今このコンテクストマーケティングが注目されているのか、その背景を今一度考えてみましょう。

なぜコンテクストマーケティングを意識することが重要なのか?

コンテクストマーケティングが重要となった背景は様々考えられます。例えば、スマートフォンが普及し、インターネットの日常化が起きたことも大きな転機といえます。消費者は様々なWebサイトやSNSを通じて、商品・サービスを容易に比較できるようになりました。

企業と消費者の接点は多様化し、消費者の意思決定プロセスも複雑になっています。そのため、消費者の特徴や行動フェーズに合わせて、適切なコンテンツを提供する必要が出てきたのです。

顧客ロイヤリティの向上のために必要な、情報収集とコンテンツ提供のサイクル

コンテクストマーケティングへの変化を感じることができる例として、原水氏は、サイトコアを導入した顧客である東京ガスの事例を紹介しました。

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東京ガスのポータルサイト「myTOKYOGAS」
引用元:東京ガス : myTOKYOGAS

「東京ガスさんのかつてのビジネスモデルは、インフラビジネスでした。地域に住む人がみな顧客になります。ガスのトラブルに素早く対応したり、無料点検をしたり、災害時に素早く復旧したり。

一昨年(2016年)の4月から電力小売が全面的に自由化され、翌年の4月には、都市ガスの小売りも全面自由化されました。

これによって、*住む人が顧客であるという今までのビジネスからの転換が余儀なくされたのです。*これまでの顧客基盤を維持しつつ、電力販売を拡大していくためには、契約者のロイヤリティの向上が必要でした。」(原水氏)

東京ガスがロイヤリティ向上という目的を達成するために取り組んだのは、ポータルサイト「myTOKYOGAS」の大幅な刷新でした。

契約者向けとして立ち上げられていたこのサイトは、ガスの使用量や、支払い料金の紹介など、機能が非常に限定的で、ここをどう改善していくかが課題となっていました。

ポータルサイトを作り込み、会員データベースと連携するといった施策を実施されました。登録によるメリットをしっかりと作ったうえで、ガスしか契約していないお客様に対しては、電力も契約することによってどれぐらいお得になるのかを情報発信、両方契約頂いたお客様には、クックパッドの有料版を見れるようにしていくなど、お客様の生活を意識し、ガスや電気をより良く使ってもらう体験を創り出しました」(原水氏)

従来の照会機能だけでなく、お役立ちコンテンツを発信。居住地に合わせたイベント案内を送付したり、会員の利用状況に合わせたキャンペーンを実施するなど、マーケティングサイクルを効率的に回せるようになりました。

顧客のデータを収集し、それに合わせた情報発信を行い、その反応を見ながらスピード感を持ってPDCAサイクルを回すことができる、そんな仕組みづくりに力を入れました。

結果として、会員数は2017年4月時点で、2015年4月と比べ6~7倍に増加しました。
コンテクストマーケティングの重要性を再認識することができる事例といえます。