オンライン上でのキャンペーン施策は、今や顧客との接点づくりで欠かせないものとなっています。広告を出稿し、顧客の行動を分析しながら、効果を測定して改善していくプロセスは大切です。

そして、Web上でのデータを用いた分析は、リアル店舗などのオフライン中心のビジネスでも活用が進んでいます。そうした活用例の1つが、位置情報データの活用です。このデータを活用することで、オンラインとオフラインでの顧客体験をシームレスにつなぐことが可能になります。

本記事では、近年の位置情報データ活用例を紹介しながら、リアルとWebの垣根を越えたマーケティングの可能性をお伝えします。

オフラインとオンラインの連動が進んだ背景

近年、「O2O」の考え方が注目されています。O2Oとは、Online 2 Offlineの略で、オンラインからオフラインへとユーザーを送客する施策です。

オフライン中心のビジネスにおいても、オンラインを意識した対応が求められています。なぜ、O2Oの施策が注目されているのでしょうか?

オンライン上での集客施策の一般化

現在、リスティング広告やFacebook、Twitter広告など、オンラインでの集客施策が一般的に用いられるようになってきました。

こうしたオンライン上でのキャンペーン施策の特長として、効果測定のしやすさがあります。オフライン上のキャンペーン(チラシの配布や看板広告)では、その施策がどれだけの効果を生んだのかを測定することが難しいですが、オンラインでは、データの収集・改善を正確に、かつ効率的に行うことができます。

このようなメリットは、Webサービスのみならず、リアル店舗集客などのオフラインビジネスでも無視できないものとなってきました。

インターネットの日常化に伴う、来店ハードルの上昇

また、O2Oが必要となった背景には、インターネットが日常的に使われるようになった影響も考えられます。

スマートフォンの所持が当たり前になった現代において、店舗を訪れる前に商品を比較・検討さらには購入することも増えています。来店しなくても購入が容易になりました。
オフラインの商品・サービス販売においても、オンラインを意識した取り組みが重要になっています。

参考:オンラインとオフラインを分けて考えるのはナンセンス!O2Oの基本を解説

顧客行動の可視化の糸口となる位置情報データ

リアル店舗がO2Oの施策を行う際に抱える課題として、「顧客行動を可視化する難しさ」が挙げられます。オンライン上で、広告から商品の購入まで完結する場合は、行動履歴が追いやすいため、効果測定は比較的容易に可能です。得られたデータを活用することによって、より効率的なアプローチに結びつきます。

しかし、店舗ビジネスにおいては測定と活用の難しさがあります。オンライン上で広告を出稿しても、それがオフライン上でコンバージョン(以下、CV)につながっているのかどうかを確かめることが難しかったのです。

また、ユーザーのオフラインでの生活行動も把握がしづらく、消費者1人ひとりに合わせたアプローチが重要になる今の時代においては、キャンペーンを最適化するうえでのネックになっています。

そこで注目すべきが、位置情報データです。スマートフォンなどを通じて位置情報データを取得することによって、オンライン上での施策が結果につながったかどうかの測定が可能になります。

また、ユーザーのオフライン上の行動データをとり、オンラインと連動する形で戦略を立てることができるのです。