「母数をとにかく増やす」初動のWebマーケティング施策

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会員数獲得に向け「広告」が最重要の施策に

マッチングサービスは、継続利用を促す仕掛けや、男女のマッチングのアルゴリズム設計などが施策において重視されます。そのなかでも、リリース時に最も重視すべきなのが「会員数」です。

そもそも、会員の母数がなければ「マッチング」がスムーズに行われることもなく、メッセージのやりとりができるお相手が限られていれば会員の離脱が増えるのは明白。

「マッチングサービスは、ヒトやモノの母数が多くないと成立しない。これは原則中の原則です。なので、会員数をリリース直後の最重要KPIに設定しました」(赤坂 氏)

Pairsのリリース後、最重要KPIとして設定した「新規会員獲得数」を達成する手段として「広告」の運用を選択しました。

「初月の広告費には約200万円くらい割きましたね。2~3ヶ月目には800万円、4ヶ月目は1,200万円でした。広告運用開始から半年も経たない段階で1,000万円を超える規模での出稿になりました」(赤坂 氏)

当初、Facebook広告はエウレカの社内メンバーのみで運用するつもりだったという赤坂 氏。しかし、岡弘 氏からFacebook広告の複雑さを知るにつれて、ココラブルと併走する形で、内部のメンバーも加わりつつ運用代行を依頼することにしたのです。

運用フェーズでのマーケティング施策

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当時、売上の柱だった受託開発と広告代理業で得た利益から、新規事業であったPairsの広告費を捻出していました。

限られた予算の中で集客の最適化を繰り返し、また、広告だけに頼らずFacebookページ運用などの非広告の集客施策の強化を行ったことで、リリース後7ヶ月目にしてベンチマークしていた競合サービスの会員数に並びます。

Pairsのリリースから1年半ほどが経過した2014年2月、事業への選択と集中のため受諾開発の新規案件の受注を辞める決断をしました。

そして、新規会員数の獲得に注力していたPairsは運用拡大フェーズへと移り、LTV向上を目的とした施策に取り組み始めました。

「新規会員数も引き続き大切な指標ではあるが、その後のPairsにとっては、LTVが最重要指標であると考えていました。エウレカのエンジニアと相談しながら、改善点の洗い出しとCRM強化を重点的に行いました。会員に満足いただきながら、さらに課金してもらえる仕組みや仕掛けを考え、自己紹介入力のチュートリアル改善などにも力を入れましたね」(岡弘 氏)

マッチングサービスにおいて、会員同士が「いいね!」を送り合ってマッチングする際に重視するのが「プロフィール」です。テストを繰り返し、ストレス無くプロフィールを作成できるユーザビリティを実現していきました。

プロフィール情報がしっかりと登録されていることが、会員同士の安心感にもつながり、「マッチングアプリ=怪しい」というイメージの払拭にもなる。それがサービスの上位機能や追加課金などアップセルにもつながり、LTVが向上するのです。

その結果、2014年5月時点で単月の売上が約1億円に達し、受託開発の売上を上回ったのです。

「Pairsの広告出稿やCRM、開発、新たなコンテンツの設置などサービス拡大に向けた運用をを考えた時、受託開発を止めて選択と集中をしたほうがいいと思ったんです。新規の案件のお断りを始め、既存のお客様へは今後受けられないという連絡をし、撤退に向けた意思決定をしました」(赤坂 氏)