働き方改革が推進される中、いかに効率的に業務をこなし生産性をあげていくべきかについて考える機会が増えてきたのではないでしょうか。

生産性をあげる工夫のひとつに、「今まで人力だったものをテクノロジーに委ねる」という方法があります。

時間がかかっていた業務をツールの導入により効率化し、短縮できれば、従業員は「顧客を増やすにはどのような施策が必要か」「サービスをよくするためにもっと改善できることはないのか」など、頭を使って考える作業に時間を費やせるようになるでしょう。

2018年7月28日、テクノロジーと企業経営の未来を考えるカンファレンス「SPIC 2018」(主催:一般社団法人at Will Work、協力:株式会社ベーシック、株式会社ストリートスマート)において、「デジタルマーケティングによる営業改革〜生産性と成果の両立〜」をテーマとしたトークイベントが開催されました。

デジタルマーケティングツールを利用するマーケティング担当者が「テクノロジー導入によって変化した自社のデジタルマーケティング」について語った様子をレポートします。

Webマーケティング素人でも問い合わせ400%を実現

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株式会社識学は、サイト制作〜Web解析まで、Webマーケティングに必要なツールが全て揃っているオールインワンCMS「ferret One」を導入しました。同社の池浦 良祐取締役(経営推進部 部長) は無駄な待ち時間が大幅に削減されたことに加えて、toBの問い合わせ400%増を実現できたことについて語っています。

ferret Oneを導入する以前、識学にはWeb制作やマーケティングに詳しいメンバーはひとりもいなかったため、Web制作に関することは外部に委託していました。しかし、外部にWeb制作を委託すると、1つひとつの修正を依頼するやりとりに時間がかかるため、待ち時間が長くスピーディーなホームページの運用ができていなかったそうです。

また、自社の理想を正確に外部に伝えるのは難しく、「納品された成果物が思っていたものと違った」ということも多く発生していたと話します。

とはいえ、toBからの問い合わせ獲得にはWebサイトの集客が必須です。これらの問題を解決するため、池浦 氏は素人でもWeb制作や分析ができることに魅力を感じ「ferret One」の導入を決めたそうです。

「”ferret Oneは好きなだけページを作れる、素人でもWebマーケティングができます”と言われて導入を決めました。嘘だと思いましたが、直感的な操作で本当に素人でもホームページが作れたので嘘ではなかったですね(笑)。ferret Oneを導入するまでは、外注管理に時間がかかっていました。内製化すればそれらの時間がいらなくなるのではと考え、導入を決めました。結果として、外注からの返答を待つ無駄な待ち時間が消えたため、残業代は2/3に減っています。」(池浦 氏)

さらに池浦 氏は、ferret Oneの導入により「社員の自発的な取り組みが増えた」ことも語っています。

「ferret Oneはページが作り放題です。外注に頼む場合、ページを1つ増やすと料金がかかるため社内検討が入りますが、ferret Oneの場合は不要です。とりあえず作ってみて、反応が悪かったら落とせばいい。」(池浦 氏)

実際に識学は、ferret Oneを導入してから、Webサイトからの問い合わせが400%、コスト1/3、外注時に3営業日かかっていたリードタイムが0.5日に短縮など、大きな成長を遂げています。

Web集客でここまで劇的な成果をあげられるようになった背景として、池浦 氏は「高速でPDCAサイクルを回せるようになったこと」を挙げています。

「成果をあげるためにPDCAサイクルをいかに高速で回せるかが重要です。新規のページをリリースして半日でも反応が悪かったらクローズさせます。クリックされているけれどもお問い合わせにまでいかない場合は、ページの内容が悪い。だからすぐにページの内容を変えて様子を見ます。」(池浦 氏)

チャレンジできる体制が「外注→内製」の不安を解消

それまで外部に委託してきたものをすべて内製化すること。それは、今までかけてきた予算を一度捨て、また工数をかけて新たなものを一から作り出すということです。場合によっては、「時間をかけたのに良いものができなかった」ということも考えられるでしょう。

そのような不安を池浦 氏は、チャレンジできる体制を作ることで解消できたと話します。

「外注していたものを内製化するとなると、自社の作業時間が増えるような印象を持つかもしれません。しかし、テクノロジーとマーケティングを組み合わせることで、作業時間は大幅に短縮できます。Web制作を外注に任せていた時は、『お金をかけてもうまくいかなかったらどうしよう』『失敗したら上司にどうやって説明しよう』などといった、業務に取り掛かる前の無駄な時間が多くなっていました。内製化して、どんどん失敗できますよという状態を作ったことで、これまでよりも実務にかける時間が少なくなっていったのです。」(池浦 氏)