特定の要素だけ見ていては正しい評価ができない

闇雲に“その指標”の測定だけしていませんか?

リスティング広告の効果測定に用いる指標を理解し、数値変動を日々確認している担当者も多くいることでしょう。しかし、「CPAが高騰したから広告のパフォーマンスが落ちている!」と特定の指標の変動だけでリスティング広告のパフォーマンスを評価していませんか?

闇雲に自社のリスティング広告の運用に無関係な指標をチェックしていても、それは正しく評価できているとは言えません。リスティング広告の目的が明確にあり、それに最も関連する指標をチェックすることが前提となります。

先ほどの「CPAが高い」ことを例に挙げてみましょう。獲得件数を目標にリスティング広告を運用している担当者であれば、1件あたりの獲得コストであるCPAが高騰するのは避けたいところです。しかし、リピート商材を扱っている企業であればLTVの向上を目指す運用を行うこともあるはずです。その際、通常よりもCPAを高く設定する場合があります。

例えば、1つの買い切り商材のみをリスティング広告で出稿している場合、

目標CPA=価格×粗利率
   例) 10,000円×15%=1,500円(目標CPA)

のように商材の価格と粗利率から目標CPAを定めます。しかし、LTVの向上を目指す場合、次のような計算式で目標CPAを算出します。

目標CPA = LTV × 粗利率
  例)130,000円×10%=19,500円(目標CPA)

​​​​​​​リピート商材を販売しており、LTVの向上を目的に中長期で広告予算を設定している場合、現状では赤字になることもあるでしょう。しかし、未来の利益を見越しているために、CPAの高騰も状況によっては許容値と考えられます。

そのため、指標の推移を漠然と確認するのではなく、目的に向かって順調に推移しているのかを確認することで、リスティング広告のパフォーマンスを正確に把握することになります。

季節やトレンドによる影響を見ていますか?

ここまで、自社の「目的」に対応した指標を優先して効果測定をすべきという話をしてきました。多くの場合、売上や獲得数、登録者数、アクセス数といった設定した数値目標に対してのギャップを比べたり、期間による比較をしたりすると思います。

しかし、単に数値目標と比べるだけでは正確な評価ができないこともあるのです。それが、季節やトレンドによる影響がある場合です。

業界にもよりますが、クリスマスや正月といった世間一般の「連休」や「イベント」が発生するシーズンに売上が集中しやすい企業があります。一方で、BtoB企業であれば、企業が稼働していないため、連休シーズンは顕著に売上が落ちることも考えられます。

これらを考慮せずに、「急激に広告の効果が出始めた」と考えてしまうと、本来の広告の効果を見誤る原因となります。

季節やトレンドによって毎年どれくらいの影響をもたらすのかを予測・把握し、その変動幅を踏まえた上で、数値目標との乖離を分析することが大切です。

まとめ:各目的別に指標を見つつ総合的な判断を

リスティング広告は、目的に合わせて様々な改善を実施できるのが強みです。それゆえ、どの数字を軸として運用すれば、より良い効果が見込めるのかと悩んでしまう方もいるかもしれません。

それを解決するためには「目的」に即した指標の効果測定と、「費用対効果」の確認を運用当初から行うことが重要です。

いま運用している広告が、本当の意味で効果を出せているのか、予算を無駄にしていないかをまず理解することで、改善へと繋げることができます。

そのため、指標と費用対効果を総合的に判断することで、リスティング広告の評価を見誤らない運用を心がけてみましょう。