一人では考えることができない

ferret:
ティーチングとコーチングみたいな感じですね。授業だと一方的に知識だけ教えられるけど、問いがないので生徒側はアウトプットが上手くできない。問いを得られると自分なりに解釈し始めるじゃないですか。アウトプットのほうが実は身につきますよね。

松尾氏:
ティーチングとコーチングはすごくいい言葉ですね。僕がコンテンツを通して人に行動してもらおうとする際に「コーチを置く」という考え方があります。コーチはイコール24時間テレビの100キロマラソンの伴走者です。人って絶対に1人だと行動を完遂しない。飽きてしまうし、怠けてしまうんです。

怠けそうなときに「もうちょっと頑張ろうよ」みたいな人が必要なんですね。

これはコンテンツを読む場合も同じことが言えます。例えばワインの話になってくると難しい言葉が多く出てきます。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローとか、省略できないブドウの名前が出てくるときに、今まで平易な言葉が続いていたのにいきなり横文字が来ると「うわ、難しいな」とユーザーは思ってしまいます。

そうなったときに弊社がするアプローチはユーザーと同じように「うわ、難しいよね」と伴走をするということ。サポートする一文を入れるのです。これを入れずにただ単に情報を並べると、ユーザーは疲れてしまうんです。「コーチ、ちょっと待って。そこ分からないんだけど」「いいから私の話を聞きなさい」となっちゃうみたいな。

そうなると、ミスコミュニケーションが生まれてしまいます。

この場面で「サポートする一文を入れるべきかどうか」を考えられるか。文章を読むのは疲れるので、絶対どこかで緩急を意識してあげないといけません。良いコーチは、相手が理解しているかどうかを置き去りにして勝手に話を進めませんよね?

相手が本当に理解できたかどうかを確認するために、一緒に振り返りをしたり、より分かりやすく説明したりしてくれます。

コミュニケーションをとるために流行を知ることは必須

ferret:
松尾さんがコンテンツのプランニングをされるときって、どんな方々が自分たちのユーザーになり得るのかしっかり定義してから始める、というようなイメージですかね。

ウェブライダー社松尾茂起氏

松尾氏:
そうです。ただ、うちはペルソナは絶対立てない。なぜかと言うと、検索集客になってくると一人ひとりを深堀した場合に当初立てたペルソナとずれてしまうからです。それこそ最大公約数的なところで決めています。ぼんやりとしたデモグラフィックと言うか、「女性が多いよね」とか「この女性って多分こういうもの好きそうだよね」とか、割と大きな枠でやります。

ただ、「全人類に共通している感覚は何だろう」というのは考えます。たとえばカラールールを決めるときは、皆が1番親しんでいるカラールールから入っていくので。

皆がよく親しんでいるカラールールの1つに信号機があります。赤色は警告色で、基本的には注意文とか警告文とか、ちょっとネガティブなイメージです。逆に、緑とか青は「進め」なので、肯定的な表現のときに使うと定義してやっていきます。

多くの人が日頃から目にするものは何だろうというのをかなり気にします。テレビも流行っている番組をよく見るようにしています。流行っているものには既視感があると思うので、「AAA(トリプル・エー)ってめっちゃ人気だよね」「安室ちゃんかわいいな」とか。そういうことは多くの人とのコミュニケーションを考える上で大切です。

ferret:
ペルソナを細かく設定すればするほど、ただでさえ少ない母数がより少なくなってしまいますし、アプローチの方法も限定されてしまいますよね。

文賢を使っている今の企業さんは、誤字脱字というよりは、コミュニケーションの方法をサポートしてほしいと思って使っているのですか?

松尾氏:
いろいろなお客さまがいますが、弊社が考えている文賢の未来についてはまだしっかりと周知できていないので、文賢が第2フェーズを迎える際に強く打ち出そうとしています。

今の推敲や校閲といった基本機能をベースにして、文賢ならではの視点で、世の中の人たちのコミュニケーション支援につながるような機能を追加していくつもりです。

例えば、文章表現機能の充実などはそのひとつです。