会社のファンになってもらうための「友の会」

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川部氏:
会社のことを好きになってもらうために、具体的にどのようなことをしているのでしょう?

加藤氏:
長く使っていただくためには会社のファンになっていただくのが重要です。そこで現場のスタッフのKPIは売上そのものではなく、「石けんと合成洗剤の違いをいかに伝えられるか」を重要視しています。また、店舗などを活用した勉強会も開催しています。実際に全国各地の店舗に行って、会員さんを集めて無添加石けんにこだわる経緯や「石けんと合成洗剤の違い」を会員さんにお話するなどの活動を力を入れてやっています。

私どもの通販には、「シャボン玉友の会」という会員制度があります。

友の会の会員は年会費が2,000円かかりますが、商品が10%オフで買えたりプレゼントが付いたりする他、会報誌「友の会だより」が付きます。一般的に通販会社さんでは、会報誌は基本的に購入したお客様にはすべて配ることが多いですよね。けれども私たちは、2,000円の会員費を支払っていただいたお客様にしか会報誌をお届けしていないんです。

その分会報誌では、普段聞けない話を載せて付加価値を提供しています。

年会費は2,000円。どのタイミングで入会されている?

川部氏:
2,000円の年会費となると、気安く入れるものとは言い切れません。友の会に入会する人たちは、どのようなタイミング・理由で入会しているのでしょうか?

加藤氏:
基本的にお客様は、「今までお店で商品を買っていて、もっとたくさん使いたい」「店頭で全商品を購入できないのですべて揃えたい」というタイミングで初めて通販から商品を購入されます。その初回購入の時に、実に約20%ものお客様が友の会に入会していただいてます。

弊社の石けんは1週間かけて熟練の職人たちが作ったもので、自信を持っています。しっかり情報を伝えて、理解していただければ、この価格に対しても適正と感じていただけると思っています。そこを理解いただけないまま使っていると、単に価格で安いほうを選ばれる方もいらっしゃると思います。

だからこそ、「商品の良さを伝える」ことが重要なんです。ただし友の会に入会している方は年間3万円以上商品を購入される方も多くいるので、結果として金銭的にもお得ですけどね。

「消費者にメッセージが伝わっているか」はどのように評価する?

川部氏:
KPIを「売上」ではなく「石けんと合成洗剤の違いをいかに伝えられるか」に置いているとおっしゃっていましたね。そこが伝わっているのかどうかはどのように判断しているのでしょうか?

加藤氏:
最終的には「会社全体の売上が伸びたかどうか」の判断になりますね。実際に私の部署では、部下に対して売上のノルマはつけていません。ノルマがあると電話の対応でも「1個でも多く売ろう」と必要のないものを売ろうとすることがあるじゃないですか。ですので個別に売上を追うのではなく、最終的に「会社全体の売上が伸びたかどうか」で判断すればよいと考えています。

その代わりに、「お客様が使っていない商品を提案できたか」に関してKPIを持たせています。一つでも使ってない商品を提案することで、生活の中でより多くの石けん製品を使っていただけることを目指しています。結果として売上も伸びているので、このやり方は成功してるんじゃないかと考えていますね。