日本国内の動き

日本国内でも規制への動きが生まれています。2019年8月、公正取引委員会が公表したガイドライン案「デジタル・プラットフォーマーと個人情報等を提供する消費者との取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方(案)」によれば、利用者の同意がないCookieの収集・利用が「独占禁止法違反になる恐れがある」として、規制を検討しています。

ガイドライン案では、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンなどプラットフォームサービスを提供するIT企業「デジタル・プラットフォーマー」が「個人情報等」を取得・利用する際、消費者に優越した強い立場となって「優越的地位の濫用」をするリスクを問題視しています。

ガイドライン案では「個人情報等」にCookieが含まれるかは明記されていませんが、「不当性があれば不当性があれば規制対象に含める方向で検討している」という認識が発表され、日本国内でも今後Cookie規制が強化されるのではという見方が強まっています。

Cookieの利用が規制されるとどうなるのか

こうしたCookie規制が強化された場合、どんなことが起きるのでしょうか?

まず、情報利用の同意を得るサイトが増えると思われます。現在はユーザー登録時に確認する長文の中に、個人情報の取り扱いについての項目があり同意する形になっていますが、これだと消費者は十分な確認ができなかったり、Cookie利用のことまでは明記されていなかったりとトラブルになりやすい状況です。EU諸国に増えてきたように、初回アクセス時に「Cookie取得に同意するか」をバナーポップアップでわかりやすく確認するサイトが増えるでしょう。

Cookie規制はターゲティング広告にも大きな変化をもたらします。広告プラットフォーム事業を手掛けるログリーは、2019年5月、ネット広告配信時にCookieを使わずにユーザー属性を推定する技術を開発し、特許を取得しました。ユーザートラッキングによるアクセスログをパターン化し、ユーザーの属性や性別、年齢などを推測します。シミュレーションしたところクリック率改善に貢献しており、今後はCookieに頼らないターゲティング広告が主流になる可能性が高まるでしょう。

国内だけでなく国外の規則も注視すべき

国内外で個人情報保護を強化する流れが生まれつつある今、セキュリティの見直しは企業の必須課題です。Cookie規制の可能性も考慮し、今から対応策を考えてビジネスに支障が出ないように準備しておきましょう。
グローバル展開している企業や、海外顧客を抱える企業は国外の規則も把握しておく必要があります。国内の規制は国外の流れを追う傾向がありますから、早めの対策を考えたい方にもおすすめです。違反金などのリスクを回避するためにも、広い視野を持って対応しましょう。