UIが変えるユーザー行動。「いいね!数」非表示によってユーザーのInstagram(インスタグラム)の使い方はどう変わったか?
「いいね!」機能開発の裏側。その心理効果とは
「いいね!」は「快楽の鐘」
Facebook社のエンジニアが、「いいね!」ボタンについて以下のような発言をしたと報じられました。
「いいね」ボタンの発明者であるFacebookのエンジニア、ジャスティン・ローゼンスタインは、ガーディアン紙の記事内でその機能について述べた際、「*『いいね』は擬似快楽の鐘のようなもの*(bright dings of pseudo-pleasure)」と表現した。
他人から「いいね!」をもらうと、あたかも脳内で「快楽の鐘」が鳴り響く。賞賛・承認という「報酬」を誰の目にもわかるような形でもらい、自分は「人気者」「優れた人」「選ばれた人」といった感覚がもたらされ、その「報酬」の虜になってしまう、ということを意味しているのではないでしょうか。
「快楽の鐘」はギャンブルに似た側面も
これは、ギャンブルの心理とも似ています。SNSに日頃からいくつか写真を投稿しているなかで、たまたま「いいね!」をたくさんもらった。その時、自分は「選ばれた人」だという錯覚に陥った。この快楽を欲して、また写真を投稿して「いいね!」を欲してしまう。こうなるともはや、SNS中毒です。
あまり健全なメンタルの状態とは言えず、こうした側面からも、ユーザー間に「いいね!疲れ」の空気が広がってしまったり、「インスタ映え」の逆を行く「インスタ萎え」という反発ムーブメントが自然発生したことも頷けます。
UI変更でInstagramはどう変化したか
UI変更によって、Instagramユーザーは「いいね!」のプレッシャーから解放され、投稿ハードルが以前より下がった側面もあったのではないでしょうか。
メディアとしての性質の変容
2018年6月5日からは、投稿から直接ショッピングができる「ショップ機能」を日本でもリリース。さらに、2020年4月27日に、飲食店のアカウントから直接「食事のデリバリーを注文できる機能」もリリースされました。
これは、投稿ハードルを下げることで、より多くのユーザーがInstagramに参画・投稿しやすい流れを作っていったと読み取ることもできます。ユーザーがタイムラインに投稿し、その投稿が多くの人に閲覧され、メディアとしてますます成長すれば、スポンサード投稿(広告収入)の拡大や、ショップ機能、料理デリバリー機能など、Instagramの運営側視点に立つと「Instagram経済圏」の成長を見込めます。
Instagramとは、かつての「キラキラと、華やかな光景を見るメディア」から「より幅広いユーザーの暮らしに密着したメディア」への過渡期にあるのかもしれません。
「いいね!数」表示復活もあり得る?
今後、「ショッピングをする」「食事の注文をする」という使い方がユーザー間にもっと浸透・加速し、主力になっていけば、今度は一転して、「いいね!数」表示の復活もあり得るかもしれません。なぜなら、ショッピングレビューの星の数のように、商品や料理を提供しているアカウントの信頼度を可視化できるようになり、ユーザーにとってより利便性やわかりやすさが向上するからです。
このように、ユーザーの行動や心理を理解したうえでUIのアップデートを重ねていくことが肝要になってきます。
参考:Instagram、ショッピング機能を日本国内で導入開始~フィード投稿から商品購入が可能に
インスタが「いいね!」表示をやめた理由、中毒ユーザー増加の影響か
- UI
- UIとは、ユーザーインターフェイス(User Interface)の略で、ユーザー(使い手)とデバイスとのインターフェイス(接点)のことを意味します。
- アカウント
- アカウントとは、コンピューターやある会員システムなどサービスを使うときに、その人を認識する最低必要な情報として、パスワードと対をなして使う、任意で決めるつづりです。ユーザー、ID、などとも言います。
- 広告
- 広告とは販売のための告知活動を指します。ただし、広告を掲載するための媒体、メッセージがあること、広告を出している広告主が明示されているなどの3要素を含む場合を指すことが多いようです。
- アカウント
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