インターネットをさまよっていると、動画を使ったコンテンツを目にすることが多くなりました。一昔前ならば、ユーザーの回線への負担が大きいからという理由で、インターネットでの動画コンテンツ配信は敬遠されがちでしたが、高速回線の普及に伴い、動画コンテンツは当たり前になってきました。

くわえて今年から、超高速データ通信が行える5Gが実用化され、さらに動画コンテンツの需要が高まっています。

広告やマーケティング分野でも動画に注力

各メディアが動画によるレビューやトークショーの配信など、動画コンテンツの制作に注力していますが、広告マーケティングの分野でも動画を使った施策に注力する傾向が強くなっています。

例えば、1分ほどのCM動画をインターネット限定で公開したり、もっと長いショートムービー的なものを使ったりした事例も観られます。

そのなかでも現在注目されているのが「ライブ配信動画」です。ライブ配信動画は、いわゆる生放送です。動画を撮影しそれを編集してコンテンツにするのではなく、テレビの生放送と同じように、その場で起こっていることをそのまま配信する形式です。

今注目されている「ライブ配信」の強み

なぜ、ライブ配信動画が広告マーケティング業界で注目されているのでしょうか。その理由は以下の通りです。

視聴者との距離が違い

ライブ配信の大きな特徴のひとつに、視聴者とリアルタイムでコミュニケーションが行えるという点があります。通常の動画コンテンツは、配信側からの一方通行になりがちですが、ライブ配信ならば放送中に視聴者とのコミュニケーションが可能。これにより視聴者との距離が縮まり、親近感が生まれやすいのです。

視聴者との共有時間が長い

通常の動画コンテンツはあまり長いと途中で観てもらえなくなる可能性があります。一方ライブ配信の場合、30分や1時間という長尺のものも多く見られます。特にゲーム実況のライブ配信などは、2時間や3時間に及ぶことも。つまり、通常の動画コンテンツに比べ、ライブ配信は長時間視聴者と時間を共有しやすいのです。

リアルに視聴者に届く

例えば、商品紹介の動画コンテンツを配信した場合、編集作業が入るため、視聴者は「いいところだけ紹介しているのではないか?」と勘ぐってしまう傾向があります。しかしライブ配信は、その場で商品を触って紹介するため、いいところも悪いところも伝わるという特徴があります。

悪いところも視聴者に届いてしまうというのはデメリットになる可能性もありますが、ありのままを視聴者が観られるという点ではメリットでしょう。

視聴者の意見をダイレクトに反映できる

ライブ配信の場合、視聴者が放送を見ながらその場でチャットなどで意見を書き込むことができます。これにより、配信者側は視聴者がどう思っているかということがすぐにわかります。例えば、商品を紹介しているときに「裏側も見せてほしい」などの意見が視聴者から上がった場合、その場で対応が可能。双方向でのコミュニケーションができるため、視聴者の意見をその場で反映できるのは大きなメリットと言えます。

動画編集不要。時間をかけずにコンテンツができる

動画コンテンツを作る場合、動画撮影後に編集作業が必要になります。10分の動画を作る場合、撮影に30分から1時間、そして編集作業に1時間以上かかることも。これでは、動画コンテンツを大量生産しようとすると、時間と人手が必要になってきます。

しかしライブ配信ならば、編集作業は不要。製品の説明や、質疑応答だけでも番組として成立させることができるので、企画を考える時間も短くて済みます。

もちろん、スムーズに進行させるためある程度の台本などは必要ですが、視聴者と一緒に作るという意識があれば、動画コンテンツ制作よりも大幅に時間短縮ができるでしょう。

動画編集の技術が不要

動画コンテンツ制作に重要なのが編集作業。この動画編集は、ある程度の技術と知識、経験が必要になります。「じゃあ、明日からあなた担当ね」と言われてすぐにできるというものではありません。撮影から編集まで考えれば、1日1本すら作れない可能性もあります。

しかしライブ配信ならば、極端に言えばスマホ1台あれば行うことができます。特別な知識や技術は不要。思い立ったらすぐできるというのも、ライブ配信の大きなメリットなのです。

参考:
実はいいことだらけ!企業にとってライブ配信・7つのメリット|ダイアモンド・オンライン

ライブ配信プラットフォームごとの特徴とは?

ライブ配信を行うには、まずどのプラットフォームを使うかから考える必要があります。そこで、主要プラットフォームの特徴について解説します。

YouTube Live

YouTube Liveは、かなり幅広い層が視聴しているのが特徴。これは動画共有サービスとしての歴史が長いこと、配信者の年齢層が幅広いことも起因していると思われます。有名なプラットフォームで、特別なアプリがなくてもWebブラウザから視聴できるので、視聴者にとっても見やすいプラットフォームと言えます。

ニコニコ生放送

一時期、生配信といえばニコニコ動画という時代がありましたが、最近ではやや停滞気味という印象。特に個人の配信者がYouTube Liveに流れたこともあり、アニメやゲーム関連の企業の放送が主体となっています。視聴者の年齢層は幅広いものの、コアなユーザーが多く、匿名性が高いためコメント率が高いという特徴があります。

Facebook Live

SNSプラットフォームであるFacebookのライブ配信サービス。Facebookは実名登録が基本のため、やや年齢層は高め。主にビジネスパーソンが多いので、業界向けのライブ配信ならばリーチしやすいかもしれません。一方、不特定多数の人への配信にはあまり向いてないと言えるでしょう。

LINE LIVE

今やコミュニケーションツールとして利用者数8,300万人以上を誇るLINE。ほとんどのスマートフォンにインストールされていると考えると、視聴者層はスマートフォンユーザー全体と言えるかもしれません。また、企業の公式アカウントと友だち登録されていれば、配信の際に通知されるため、見逃し防止にもなります。何より、ユーザー個人へダイレクトに届けられるという大きなメリットがあります。

参照:LINE株式会社 2019年第4四半期決算発表

Instagram

写真共有SNSのInstagramでもライブ配信が可能です。Instagramは女性ユーザーが多いのが特徴。いわゆる「インスタグラマー」と呼ばれる人たちも女性が多いので、女性に向けた商品やサービスを配信するのに適していると思われます。

ツイキャス

Twitterと連携して動画配信が行えるサービスです。Twitterと連携しているため、Twitterでのマーケティング活動が活発な企業ならば、親和性が高いと言えます。サービス全体の認知度はありますが、実際にマーケティング活動に使われている率は少なめのようなので、使い方によっては高い効果が望めるかもしれません。

参考:
ライブ配信サービスの認知は75.5%、知っているサービスの上位は「ニコニコ生放送、YouTube LIVE、ツイキャス」、利用上位は「YouTube LIVE、Instagramライブ、ニコニコ生放送」と認知サービスと差|MMD研究所

ライブ配信プラットフォーム比較|MONSTER DIVE

まずやってみて知見を貯めていこう

ライブ配信は、動画コンテンツに比べれば手間も予算もかからずできるというのが最大の特徴です。そして、視聴者との相互コミュニケーションにより成立するコンテンツです。

テレビ番組の生放送のようなクオリティを目指すと大掛かりになり手間も予算も必要になりますが、こじんまりしたライブ配信ならば、今すぐにでも始めることが可能です。

手軽にできるという利点を活かし、まずはライブ配信をやってみて、トライアンドエラーを繰り返して自社に最適な形を探っていくというやり方が一番ですし、そういうことができるのも魅力です。

あまり固く考えず、とにかく初めてみて、やりながら知見を貯め自社のスタイルを作っていくのがいいのではないでしょうか。

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