動画広告への注目が高まっている中、自社でも動画広告に挑戦したいというマーケターもいるでしょう。ここではそんな動画広告初心者が押さえておきたい動画広告の種類や動画広告の市場規模、運用するときの注意点などを紹介します。

目次

  1. 動画広告とは
  2. 動画広告の市場規模
  3. 動画広告を運用する目的
  4. 動画広告のメリット
  5. 動画広告のデメリット
  6. 動画広告の種類
  7. 動画広告の主な課金形態
  8. 動画広告を配信する媒体の特徴
  9. 動画広告を運用するときの注意点
  10. 動画広告のクリエイティブを作成するポイント
  11. 動画広告の効果検証に用いる指標
  12. 動画広告を有効活用しよう
  13. YouTubeやFacebookの動画広告について学ぶ

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【マーケティング担当者向け】動画マーケティングのトレンド完全マップ

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動画広告とは

動画広告とは、静止画やテキストではなく、動画を活用した広告のことです。Webサイト、またYouTubeやFacebook、InstagramなどのSNSで多く活用されています。

動画広告が注目されるのには、広告自体の特徴と社会環境の2側面から、以下の通りいくつか理由が挙げられます。

-静止画やテキストに比較して視聴者に印象が残りやすい
-効果検証がしやすい
-スマホやタブレットなどのデバイス利用者の増加
-wifi環境や5Gの到来などネット環境の向上

特にwifi環境や5Gの到来などで大容量通信が可能になり、高画質動画を配信しやすくなったことから、今後はより動画広告の需要が高まると予想されます。

動画広告の市場規模

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画像引用:株式会社サイバーエージェント|サイバーエージェント、2021年国内動画広告の市場調査を発表

動画広告の市場規模は、2021年に4,195億円昨年対比で142%の成長を遂げました。今後も動画広告の市場規模はさらに拡大するとされ、2022年は5,457億円2025年は1兆円規模に達すると予測されています。

このように動画広告の市場規模が大きく拡大している背景には、コロナ禍による消費行動の変化や、さまざまな産業で推進されているDX化の動きが加速していることが挙げられます。

広告種類別に見てみると、2021年時点でインストリーム広告とインフィード広告が8割以上を占めています。今後の予測でも、両者が動画広告の市場規模を牽引する見立てです。

動画広告を運用する目的

ここでは動画広告を運用する目的について紹介します。

認知拡大

まずは商品・サービスの認知拡大を目的にした動画広告です。商品・サービスの認知拡大の場合は、視聴者の興味を引く内容の動画を作成し、商品・サービスに気づいてもらう、知ってもらうことが重要となります。

商品・サービスの認知拡大を目的に出稿される動画広告は、インフルエンサーや有名人など、影響力のある人物を起用したり、実際に商品を使用してもらい、使用感を発信・拡散してもらうのが効果的です。

ブランディング

ある程度認知のある商品・サービスについては、ブランディングを目的に動画広告を配信する場合もあります。その際は商品・サービスのイメージを伝えることが重要になります。企業のイメージを伝えることで、商品・サービスへの信頼・安心にもつながるでしょう。

ブランディングを目的として動画広告では、商品に対する熱いメッセージや企業のコンセプトを端的に伝えるのが効果的です。

売上促進

商品・サービスの売り上げ促進を始め、メルマガ登録や資料請求などが目的の場合は、イメージを伝えるのではなく商品・サービスの特徴、購入するメリット、使用感などを伝えることが重要です。実際に商品を使用したユーザーのリアルな声をもとに動画を制作することで、視聴者に商品やサービスの信頼感や購買意欲が高められます。

動画広告のメリット

動画広告を配信するメリットは、主に以下の3つが挙げられます。

静止画やテキストより多くの情報を伝えられる

動画は静止画やテキストより多くの情報を伝えることができ、視聴者に印象を残すことができます。具体的には、静止画やテキストでは表現が難しい商品の使い方や使い勝手の良さの説明、サービスでは実際にサービスを行っている状況などを伝えることができます。そのため、動画広告は具体的な説明、イメージなどの多くの情報量を伝えるのに適した広告と言えます。

サービスや商品のストーリーが伝わりやすい

どのような思いでこのサービスを行っているのか、どのような工程で商品が作られているかなどサービスや商品のストーリーを伝えると印象は強くなり、心が動かされやすくなります。動画では静止画やテキストでは難しいストーリーを伝えられやすいため、視聴者の心に響く広告が作りやすいメリットがあります。

施策後の効果検証がしやすい

効果的な広告運用には効果検証が必要です。動画広告はインプレッション数(広告の表示回数)、クリック数、再生数、再生時間、コンバージョン数など効果が定量的に把握できるため、効果検証がしやすいというメリットがあります。目標の数値に達しているかの確認とともに、例えば再生時間が短ければ視聴者が離脱した要因を見つけクリエイティブの改善を検討するなど、効果的な動画広告にするためにPDCAを回すことができます。

動画広告のデメリット

動画広告にはメリットがある一方でデメリットも存在します。動画広告を運用する場合は、以下のようなデメリットについても留意しておきましょう。

制作に手間とコストがかかる

動画広告の制作には手間がかかります。クリエイティブの企画から撮影、編集までを含めると、静止画の広告より時間がかかりやすい傾向にあります。制作に関わる人や必要なツールも多いため、コストも比較的高くなりやすいでしょう。

最後まで視聴されるとは限らない

動画広告はユーザーに最後まで視聴してもらえるとは限りません。動画の後半に訴求ポイントを設けている場合は、せっかく広告を出稿しても効果が得られにくい可能性があります。この点は、ユーザーの目に入った時点で訴求が完了する静止画の広告との大きな違いです。

ユーザーに嫌悪感を抱かせる可能性がある

動画広告は多くの場合、ブログや動画などユーザーが視聴したいコンテンツに挿入されます。そのため、動画広告は基本的にユーザーにとって好ましいものではありません。したがって場合によっては動画広告を出稿することによって、ユーザーに嫌悪感を抱かせ、企業や商品・ブランドイメージを損ねることがあります。

動画広告の種類

では、代表的な動画広告を3つ紹介します。

  • インストリーム動画
  • インバナー動画
  • インリード動画

インストリーム動画

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インストリーム動画広告とは、プラットフォーム内での動画再生前後や途中に流れる広告のことです。動画広告の中で最も利用されています。

YouTubeの動画再生中に流れる広告が代表的で、5秒後にスキップできる広告とできない広告があります。最近はスキップのできない「バンパー広告」が流れる広告も多いですが、YouTubeで流れる動画広告のほとんどは、インストリーム動画広告です

インストリーム動画広告の配信タイミングは3種類あります。動画の再生前に広告が流れるプレロール、視聴している途中に広告が流れるミッドロール、動画の再生後に流れるポストロールです。

プレロールは動画本番前に流れるため視聴率が高くなります。そのため認知獲得の目的で活用するのがいいでしょう。

ミッドロールは動画の途中で広告が流れるため、動画の続きを見たい視聴者にとっては離脱しづらいタイミングです。だからこそ視聴者が興味を持って視聴できる広告を配信したいものです。

ポストロールは動画の再生後に流れるため離脱率が高くなります。離脱率を減らすためには動画と親和性のある広告を配信し、コンバージョン獲得を狙いましょう。

インバナー動画

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インバナー動画広告とは、各プラットフォーム広告を掲載する枠に配信される動画広告のことです。動画広告の種類の中でも、配信後のスキップができないタイプの広告です。

インストリーム広告のように、動画再生中に流れることはないためプロモーションできるユーザーは少なくなります。

しかしインバナー動画広告は、自社のサービスや商品を知ってほしい、あるいは利用してほしいターゲットユーザーに動画広告を配信できるメリットがあります。

また、インバナー動画広告はユーザーの興味があるもの、必要としている広告を配信してくれるのでコンバージョン率が高いです。

見てもらえる回数はインストリーム広告より減りますが、コンバージョン率が高いのは魅力的です。

インリード動画

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インリード動画広告とは、記事中にある自動で再生される動画広告です。よく、ニュースのまとめサイトやアプリで記事を閲覧していると、途中で動画広告が流れることはありませんか。それがインリード動画広告です。

インリード動画広告は、ニュースのまとめサイトやアプリを利用している全てのユーザーに視聴してもらえるわけではなく、画面に正しく表示されなければ再生されません。

しかしインリード動画広告は、ユーザーが見たくなるような工夫が施されている広告が多いため、記事コンテンツをしっかりと読み込むタイプのユーザーに対して効果的なプロモーションが可能です。

オススメはインストリーム動画広告

上記で紹介した動画広告の種類の中でも、動画広告を初めて運用する方にはインストリーム動画広告がオススメです。理由はプロモーションをかけられるユーザーが多い上に、ユーザーにとって気になる広告に対するCTAが高いからです。

動画広告を受動的に受け取るユーザーが多いですが、たくさんのユーザーにプロモーションをかけられることは魅力的です。

たとえユーザーが「YouTubeの動画再生中に流れる動画が邪魔!」と思っていても、自分に関係する広告だと、広告を視聴する時間が伸び、行動を起こす可能性が高いのです。

動画広告を始めたい方はまずインストリーム動画広告から始めてみましょう。

動画広告の主な課金形態

動画広告には「CPV」「CPM」「CPC」の3種類の課金形態があります。それぞれの課金形態について解説します。

CPV

CPVは動画の再生に応じて課金させる形態です。「30秒の視聴」「最後まで視聴」など、「再生」の定義は媒体によって異なります。条件を満たさなければ費用は発生しないため、費用対効果が高い形式といえます。

CPM

CPMは、動画広告の表示回数に応じて課金される方式です。1,000回の表示ごとに費用が発生します。他の形式と比較して、コストを抑えやすい形式です。

CPC

CPCは、ユーザーが動画広告をクリックすると課金される形式です。興味を持ったユーザーがクリックするため、確度の高いユーザーにのみ広告を出稿することができます。

動画広告を配信する媒体の特徴

動画広告を配信できる媒体は複数あります。各媒体によって特徴が異なります。特徴を理解することで、自社の動画広告に合った媒体を選ぶことが必要です。ここでは6つの媒体について特徴を紹介します。

Instagram

Instagramの日本国内における月間アクティブユーザー数は、3,300万人を突破しています(2019年3月時点)。日本の利用者は男性が43%、女性が57%で女性がやや多いのが特徴です。利用者は若年層が多いですが、比較的広い年代層で利用されています。

Instagramは写真や動画を投稿するSNSであるためユーザーの写真や動画への意識が高く、配信する動画広告のクリエイティブを重視する必要があります。Instagramの動画広告ではインストリーム動画が利用できます。

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YouTube

YouTubeの日本国内における月間アクティブユーザー数は6,900万人以上です。(2021年
5月時点)圧倒的なリーチ数、幅広い年代層に利用されていることがYouTubeの特徴です。また他のSNSに比較し利用回数や長時間利用していることから広告と接する機会の多いことが期待できます。

動画を視聴する前後や途中で広告が入るので、自然と目に入ることも動画広告を配信する側にとっては大きなメリットと言えるでしょう。YouTubeの動画広告ではインストリーム動画が利用できます。

関連記事:YouTube動画広告で認知度アップ!今さら聞けない広告の出し方や手順を解説

Facebook

Facebookの日本国内における月間アクティブユーザー数は、2,600万人を超えています。(2019年4月時点)Facebookのユーザーの特徴は他のSNSに比較すると若い世代の利用が少なく、40~50代のビジネスパーソン中心であることです。

Facebook広告ターゲットの設定が細かくできるのも特徴です。Facebookの動画広告ではインストリーム動画が利用できます。

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TikTok

TikTokの日本国内における月間アクティブユーザー数は、950万人です。(2019年2月時点)Tik Tokのユーザーは10~20代の女性が多いのが特徴です。ユーザー自身が積極的に動画を投稿する媒体のため、動画広告に対しての抵抗感を持ちにくいことも魅力です。

まだ他のSNSに比較するとユーザー数は少ないですが、10~20代にリーチしたい場合は積極的に活用したい媒体と言えるでしょう。TikTokの動画広告ではインリード動画が利用できます。

LINE

LINEの国内アクティブユーザー数は9,200万人に到達しています(2022年3月時点)。日本では最も多くの人に利用されているメッセージアプリです。「タイムライン」「ウォレット」「LINE NEWS」「LINE マンガ」など、多くの動画広告配信面を提供しています。利用しているユーザーの年齢層も幅広いため、国内ユーザーにアプローチしたい場合は最有力候補といえる媒体です。

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アドネットワーク(GDN,YDA)

GDNはGoogle広告から出稿できるディスプレイ広告です。出稿された動画広告は、Googleが提携している200万以上のWebサイトに配信されます。具体的な例として、GmailやYouTubeなどが挙げられます。

YDAはYahoo!広告から出稿可能なディスプレイ広告です。Yahoo!関連サイトや外部の連携サイトに動画広告が出稿されます。2020年7月に旧バージョンのYDNからアップグレードされ、使い勝手が大きく向上しました。

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動画広告を運用する際の注意点

動画広告を運用する際に注意したい点は以下2つです。

-ターゲットを明確にする
-高品質な動画を制作する

1つ目の「ターゲットを明確にする」は、商品・サービスを活用してくれる人の属性を絞り込むことです。Web広告全般に言えますが、ターゲットが定まっていなければ、効果を得ることは難しいでしょう。

地域や年齢、趣味、ライフスタイルなどで大枠を絞りつつも、商品・サービスを活用してくれる人のペルソナを作成しましょう。そのペルソナが抱える課題嗜好を動画に落とし込むことで、興味を引くことができます。

2つ目は「高品質な動画を制作する」です。ターゲットが好む質の高い動画を制作することが重要です。魅力のない動画を配信しても、すぐにスキップされたり、コンバージョンまで至らかったりと運用コストのみが膨れ上がってしまいます。

必ずしも、プロに依頼する必要はありませんが、ターゲットに適した魅力ある動画を制作しましょう。

動画広告のクリエイティブを作成するポイント

動画広告のクリエイティブを作成する際に意識していただきたいポイントを紹介します。

メディアの特性を理解する

配信するメディアの特性に応じてクリエイティブを作成することが大切です。メディアによってはTVCMのような作り込んだ動画でなく、商品ラインナップを順番に見せていく動画の方が反響が高いこともあります。他にもメディアに適したアスペクト比でクリエイティブを作成するといった対策も、ユーザーから敬遠されない動画広告を作成するために大切です。

モバイルに最適化する

昨今ではネット利用者のほとんどがスマホを利用しています。そのため動画広告はモバイルデバイスに最適化されたクリエイティブを優先的に作りましょう。モバイル端末ははパソコンよりも画面が小さくなるため、出来るだけ訴求は1メッセージに留め、大きく提示するのがポイントです。

関連記事:縦型ショート動画広告の種類と特徴を解説!効果を出すコツや成功事例も紹介

開始3秒で惹きつける

多くのユーザーが開始から3秒以内に動画を離脱するといわれています。そのため開始から3秒でユーザーの関心を惹きつけることが重要です。特殊な演出は必ずしも必要ありませんが、目を引くギミックを挿入するなど、インパクトの強い要素を動画開始の早い段階で見せる必要があります。

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動画広告の効果検証に用いる指標

動画広告は効果検証しながら改善を加えていく必要があります。以下は、効果検証に用いる代表的なKPIです。

検証したい効果 KPI
認知 再生回数、UV数、表示回数、ブランド認知度、広告想起率
購入検討 視聴完了率、ブランド好意度、平均再生時間、総再生時間
CV獲得 売上、クリック率、お問い合わせ数、会員登録数、購入意向度

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動画広告を有効活用しよう

この記事では動画広告の概要から市場規模、出稿するメリット・デメリットや各媒体の特徴などを紹介しました。今後も市場拡大が見込まれている動画広告を有効活用することで、企業認知や売上向上が期待できます。

動画広告の種類・媒体ごとの特徴を生かし、自社のサービスや商品にマッチする運用方法を選びましょう。その際には、運用の際の注意点に気をつけてください。

YouTubeやFacebookの動画広告について学ぶ

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