スマートフォンの普及によりどこでもインターネットが使えるようになった現代。新しい通信システム「5G」も登場したことで、コンテンツの動画化も急速に進んできました。

動画の時代に突入した今、2019年の動画広告市場規模は2018年比で141%の2,592億円という調査データも出ています。

参考:【調査データ】2019年の動画広告市場は昨年比141%・2,592億円の見通し。2023年には5,065億円に達すると予測

動画広告市場が伸びているこの時代で、これからどんなメディアを選んで広告を運用していけばいいのでしょうか?

今回は各SNSメディアの特徴と動画との親和性、広告用動画の制作のポイントをまとめました。

YouTube

YouTubeの国内MAUは2018年で6,200万人と発表されており、動画時代を牽引する存在となっています。老若男女問わず利用者が多いため、うまくターゲットやジャンルを絞って動画広告を配信できれば高い効果が見込めるでしょう。

YouTubeの動画広告は、ユーザーが投稿した動画コンテンツと同じ枠で配信されるインストリーム広告がメイン。動画コンテンツの再生前・再生中・再生後に動画広告が表示されます。5秒後にスキップボタンでスキップできる動画もありますが、5秒以内のごく短い動画が2本連続で表示される場合もあります。

音声ありで自動再生、強制視聴されるため、動画広告に一番強いメディアだと言えるでしょう。

冒頭5秒でキャッチする

5秒後にスキップされることを考えると、やはり冒頭の5秒でユーザーをキャッチする必要があります。実際に配信されている動画広告も5秒以内に商品・サービスの効果がわかるようになっていたり、ユーザーの悩みで共感を得たりしています。

YouTubeは「動画の中に動画がある」という状態のため、見た目のインパクトよりも、いかに冒頭でユーザーの興味・関心を促すかがポイントになるでしょう。

適切なターゲティングを行う

YouTubeの動画広告の欠点として、顕在層へのアプローチが弱いことが挙げられます。ユーザーの本音としてはさっさと広告を飛ばして動画の続きを見たいわけですから、自分に必要ないと判断した動画はスキップしてしまうのです。

そのため、YouTubeの動画広告は適切なターゲティングが重要です。ユーザーのターゲティングというよりも、広告を掲載する動画コンテンツのターゲティングになります。

例えばメイク系の動画コンテンツの中に、ダイエット商品の動画広告が入るのはそれなりに親和性が高いですが、不動産や株式の動画広告は相性が悪いですよね。どんな動画コンテンツの中にその動画広告を載せればエンゲージメントが取れるのかを考えましょう。

ディスカバリー広告も検討する

YouTubeには、関連動画の横や検索結果の一部、モバイル版のトップページなどに表示されるディスカバリー広告もあります。

サムネイルテキストが表示され、サムネイルをクリックすることで動画が再生される仕組みです。ユーザーが動画を探している間に目に付く場所に表示されているため、サムネイルで興味を引くことができれば再生数も増えます。

ユーザーは動画コンテンツをメインで見たいため、コンテンツの中に動画広告を入れてもコンバージョンにはなかなか繋がりません。ディスカバリー広告ならクリックする=ある程度興味があるということなので、成果が欲しいならぜひ検討してみましょう。

Twitter

Twitterの国内MAUは2017年10月の時点で4,500万人と発表されています。どのSNSよりも匿名性が高く、商品やサービスに関するユーザーの本音がツイートされるため、SNSマーケティングにもよく利用されるメディアです。

また拡散力の強さもTwitterの魅力のひとつでしょう。広告に対してもコメント、リツイート、いいねのボタンが付いており、それぞれの数値も確認可能。

ただしTwitterは文字を中心としたSNSであるため、動画広告は画面に大きく載らず、通常のツイートと同じような表示のされ方をします。そのため流し見されたり、スクロールされたりして気付かれないこともあります。

リアルタイム性の高い動画と相性が良い

Twitterを利用するユーザーは情報収集に積極的で、情報に関する感度が高いのが特徴です。そのため、リアルタイム性の高い動画を投稿することでより多くのエンゲージメントを獲得できます。

さらにTwitterにはライブ動画を広告として配信できる機能もあるため、リアルタイム配信をしながら視聴者数を増やすことなども可能です。

参考:Twitterの動画広告を解説!リッチなコンテンツで効果的プロモーションが可能|ferret

アカウント運用と並行して

Twitterは気軽にフォローできるという特徴から、アイコンをタップしてプロフィールを覗きに来る人も多いです。

動画広告を運用していても、中身のないアカウントであれば信頼性が低く、コンバージョンに繋がりにくいでしょう。

Twitterで動画広告を出すのであれば、アカウントの運用も並行して行いましょう。

Instagram

Instagramの国内MAUは2019年3月で3,300万人となっており、勢力を伸ばしているSNSだと言えます。Twitterのようなシェア機能はないもののGoogle検索の代わりにインスタ検索されるなどの検索行動がされるようになってきました。

日本で普及した頃は写真がメインでしたが、ストーリーズはIGTVの登場により動画にも注目されるようになりました。

タイムラインやストーリーズの中で他の投稿に混ざって自然な形で表示されるインフィード広告が特徴です。Facebookと同じ広告プラットフォームを使っているためターゲティング精度も優れ、メイクやファッションなど親和性の高いユーザーにリーチできるでしょう。

配信場所によって動画サイズを変える

タイムラインで配信される動画広告は正方形、ストーリーズで配信される動画広告はフルスクリーンの縦長サイズが最適です。

このサイズを間違えてしまうとインパクトに欠ける動画広告になってしまい、思ったようなエンゲージメントを獲得できません。

特にストーリーズ「気軽に投稿できる」「気軽に見られる」という観点から多くのユーザーが毎日利用しており、ぜひとも動画広告を配信したい場所。フルスクリーン動画はユーザーをキャッチしやすく、より高い効果が期待できます。

15秒以内の“映える”動画を作る

Instagramユーザーは毎日見栄えの良い写真や動画を見ていて目が肥えています。動画広告でも“映える”動画の方が必要になってくるでしょう。

この“映える”とは見た目の美しさだけではなく、キャッチーさ、インパクトの強さに加え、冒頭でどのように展開するかもポイントになってきます。

またサクサク投稿を見たいユーザーにとって長すぎる動画は邪魔になるため、15秒以内の長さに押さえることも必要でしょう。

Facebook

Facebookの国内のMAUは2019年4月時点で2,600万人。2017年9月に発表された2,800万人から減少していますが、世界を代表するSNSであることに変わりはありません。

Facebook広告はタイムライン内に動画広告が表示されるアウトストリーム広告がメインです。動画の再生中に流れるインストリーム広告と比べるとリーチできる人数は少ないですが、Facebook広告のターゲティング精度は極めて高く、興味関心の強いユーザーにだけ的確にリーチできます。

またPCでFacebookを開いた場合、右側に広告枠が用意されています。スマートフォンでログインした場合も最初にニュースフィードに広告が表示される仕組みもあり、目につきやすい位置にあるため興味関心を引きやすいです。

ユーザー属性との親和性を考える

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画像引用:【2019年最新版】SNS利用者数と各媒体の特徴まとめ|Growth Seed

Facebookのユーザー層は40代が最も高く、30代、20代と若年層になるにつれ利用率は下がっています。また、利用目的は「リアルな知り合いとの繋がり」と「ビジネス目的での利用」に二極化している印象です。

そのため、動画広告はこれらのユーザー属性との親和性が高いかを見極めたうえで出稿する必要があるでしょう。

無音で再生されることを想定

Facebookの動画広告は自動で再生されますが、ほとんどのユーザーは無音で視聴します。そのため、無音で再生されることを想定して映像でインパクトを残せる動画を作ることが肝心です。

映像で印象付けたり、音がなくても理解できるように文字入れをしたりなどの工夫をしてみましょう。

TikTok

TikTokの国内MAUは2019年2月で950万人で、動画ブームの今、さらに増えていくと予想されます。10代や20代の若年層の利用者が多く、口パクやダンスなどの短いパフォーマンス動画が特徴です。

TikTokには起動画面広告、インフィード広告、ハッシュタグチャレンジ広告の3つの広告タイプがあります。どれもごく短かい動画広告であるため邪魔に感じられにくく、スキップも可能です。

“TikTokっぽさ”のある動画を

TikTokにはYouTubeとはまた違った空気感があります。YouTubeの動画広告やTVCMのような動画では「広告っぽさ」が前面に出てしまい、あまり好まれません。

最後まで見てほしいなら、動画広告でも“TikTokっぽさ”を大切にしましょう。スマートフォンで撮ったような縦長フルスクリーンの動画で、TikTok特有のエフェクトを付けると一気にTikTokらしくなります。

記憶に残りやすい音楽や振り付け

TikTokで作られた「口パク」や「モノマネ」の文化を動画広告にも取り入れましょう。

耳に残りやすい音楽を使用し、インフルエンサーを起用して簡単な振り付けのダンスを踊ってもらうという動画は、瞬く間に広がって真似をするユーザーが増えていきます。そこにハッシュタグを付けてハッシュタグチャレンジ広告にするのもいいですね。

トレンドに乗った動画広告はユーザーも受け入れやすいので、トレンドは把握しておくに越したことはありません。

各SNSのMAU参考記事:2020年4月更新! 12のソーシャルメディア最新動向データまとめ|Social Media Lab

適切なメディア選びとメディア合った広告配信が重要

動画の力が強まっている今、多くのSNSが動画に力を入れるようになっています。どのSNSにも違った特徴がありますが、動画の時代に対応できるため、以前から運用していたSNSを活用して動画広告を配信することも可能です。

適切なメディアを選び、そのメディアに合った動画広告を制作・配信しましょう。動画広告とメディアとの親和性がマッチすれば、より高い効果を得られるはずです。

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