現在、多くの企業がFacebookやYouTube、Twitterなどのソーシャルメディアを利用したキャンペーンを行っています。
今回は、YouTubeを使った4つのキャンペーン事例を交えて、いかにキャンペーンを成功させるか、いかに効果的なブランディングを行うかについて考えていきましょう。

1.トヨタ「G's Baseball Party」

800万回再生の大ヒットCM、ロングテールな人気

駅前の商店街を舞台に、OLやおじさんなど普通の人々が真剣に野球を楽しむという「ありえなさ」「面白さ」、そしてその完成度からくる「エキサイティング感」等で800万回再生(2015年5月18日時点)の大ヒットを生みました。SNSやネットニュースで話題を呼んだのでご存じの方も多いのではないでしょうか。

一般的にこのような動画はネット上で一瞬爆発的に拡散し、そのまま収束するものが多いです。しかし、この動画は、リリース直後の3月下旬~4月下旬の1ヶ月という、比較的長期に渡り各種媒体やブログで言及されたのが特徴です。

ロングテールの秘密は「ネタの仕込み」

なぜそのようなことが起きたかというと、作り込みのこだわり、言い換えれば「ネタの仕込み」です。
クロマティ出演、出演女性の神スイング、カブレラや野茂のモノマネ等。見る人が見ると「これは!」と思うネタを仕込むことで、ニュースを始めとするメディアが取り上げ話題の長期化を生みだしたことでしょう。

この動画はトヨタのスポーツカーG'sのコンセプトを具現化するために、「クルマって、スポーツだ」をキャッチコピーとして作られたものです。
クルマという高額商品ですので、直接的な販売増にはすぐには結びつきにくいかもしれませんが、「企業ブランディング」「顧客ロイヤリティの強化」「YouTubeから企業ホームページへの閲覧者流入」として大きな成果を収めたことでしょう。

参考URLトヨタ野球CM動画で注目を一身に集めた稲村亜美の神スイング

TOYOTA G’s

2.マクドナルド「Our Food. Your Questions. (見える、マクドナルド品質)」

信頼回復のためのドキュメンタリー動画を各国で公開

ネガティブ報道が相次ぎ、経営不振が続くマクドナルドでは、2012年にカナダで始めた「Our Food. Your Questions.」というキャンペーンを各国に広げ、信頼回復に努めています。これは動画とソーシャルメディアを用いて生産地や工場の様子について消費者の不安や疑問に答えるキャンペーンです。

そのひとつ、アメリカで2014年12月に公開された「Our food. Your questions. What are McDonald's Chicken McNuggets made of?」は、マクドナルドのチキンナゲットが通称「ピンクスライム」(通常食用には用いない屑肉を化学処理した加工肉)を使っているのではないかという疑問に答える約7分の動画です。

アメリカの人気辛口コメンテーターをナビゲーターに、工場で鶏を解体して新鮮な鶏肉を使っている様子を示す内容です。
淡々としたエンタメ性の低いドキュメンタリーものながら、消費者の食の安全への関心の高さから、766万回再生、約3万の高評価がつく人気動画となりました。
普段目にすることのない、製造工場の中や製造過程までを赤裸々に公開することで、食の安全について取り組むマクドナルドの姿勢が視聴者の関心を強く惹いた動画と言えます。

ちなみに、日本でも同様に、2014年8月に「品質管理について、お話しします」(現在は「見える、マクドナルド品質」に改題)」というQ&Aサイトを開設しました。
食材のビーフやポテト等の安全性や、異物混入対策について動画や図解でわかりやすく解説しています。

マクドナルド
http://qna.mcdonalds.co.jp/

3.「メールで出来る親孝行母の日 ~2014年5月11日~」キャンペーン

次に紹介するのは、動画ならではのキャンペーンです。
母の日
http://mom-eye.jp/

マジックを見ると白内障の兆候がわかる?

これは親にメールやLINEで以下の動画を送って見てもらうことで、親に白内障の兆候がないかを調べるというキャンペーンです。

この動画は1分強の内容で、幻想的な空間の中でマジシャンが「母の日おめでとう」「今晩電話して」のメッセージを見せます。
健康な親ならば、凝った映像の割には普通のメッセージにやや違和感を覚えつつも電話してくれることでしょう。

今晩電話して
ところが、白内障になると、黄色が見えにくくなるという症状が出るため、親に白内障の徴候があれば上の画像が下のように見えるというしかけが隠されています。

白内障
つまり、親がその日に電話してこなかったら白内障かもしれないということで、子どもから電話して眼科検診を薦めるとともに、これをきっかけに親子の交流を育んでください、というキャンペーンです。動画ならではの色の変化を利用した啓蒙キャンペーンは見事です。

参考URL母の日の贈り物で、お母さんの白内障に気付ける。「メールで出来る親孝行」の動画を公開(PR TIMES)

4.ハウス食品「フルーチェCMつくれるもん! 動画投稿キャンペーン」

フルーチェ
http://housefoods.jp/data/event/dessert/index.html

投稿動画が企業TVCMに使われるチャンス!

最後に紹介するのは、2015年2~4月に行われたハウス食品の動画投稿キャンペーンです。
これは専用アプリを通じてフルーチェを作るシーンを撮影し15秒動画として投稿するもので、入賞者にはフルーチェのプレゼントや、投稿動画をハウス食品提供番組内のTVCMで放送されるという特典がありました。既に結果が発表され入賞作品が公開されていますが、子どもたちが一生懸命にフルーチェを作るさまは、完成度など抜きにして微笑ましくなるものです。

動画投稿キャンペーンのカギは、とことん敷居を下げること

ハウス食品という大企業のキャンペーンですが、このキャンペーンには中小企業にも応用できるいくつかの示唆があります。
ひとつは、「フルーチェを作る」というシンプルなテーマ、かつ15秒という短時間設定にしたことで、投稿者にとっては「動画構成を詳細に練らなくてもよい」、つまり「投稿の敷居が低い」ということです。
さらにいえば、今回ハウス食品は専用アプリを通じて「牛乳を注ぐ」→「混ぜる」→「できた!」→「食べる♪」の各4.5秒の4シーンをつなげさせる構成にしているので、素人でも流れのある動画を撮ることができるようになっています。

「短時間」「子ども」「動物」が成功への道

応募要項に明記はされていませんが、暗黙の了解として「子ども」動画を対象としているのもポイントです。広告や映画業界では「(企画に)困ったときは子どもや動物を使え」という言葉があります。

子どもや動物がその存在だけで皆を癒やし、子どもやペットのかわいい姿を披露したいのは親心です。小難しいテーマでハードルを上げるよりも、あえてシンプルなテーマでかわいい姿を求めることで、投稿の敷居が下がり、投稿数も上がります。
子供や動物向けの商品・サービスを扱っている企業様は、ぜひともそのポテンシャルの高さを有効活用したキャンペーンを行っってみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、4つの事例を見ましたがいかがでしたか?
大企業のキャンペーンは一見規模が大きすぎて、予算やマンパワーが足りない中小企業の参考にならないと思われがちですが、じっくり分析すると、本質的に注意・重視すべき点はあまり変わりません。

今後のキャンペーンの参考にしてみてはいかがでしょうか。

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