思わず応援したくなる「アンダードッグ効果」を知っていますか? 日本人はアンダードッグ効果を受けやすく、人の心を動かすパワーがある心理テクニックのひとつです。アンダードッグ効果をマーケティングに活用することで、プロモーションを大成功させて売り上げアップにつなげたり、優良顧客となるファンを獲得したりできます。今回は、強い影響力を発揮するアンダードッグ効果を解説し、実際にアンダードッグ効果で成功したプロモーションの具体例や、マーケティングへの活用方法までご紹介します。

アンダードッグ効果とは?

アンダードッグ効果とは負け犬効果とも呼ばれ、弱い者や不利なチームを応援したくなる心理を意味します。スポーツの試合でも、劣勢のチームを応援したくなることはよくありますよね。たとえば、弱いチームと強いチームが対戦して接戦になると、観客は弱いチームを応援しがちです。

2016年の甲子園では、劣勢だった東邦高校が八戸学院光星高校に急激な追い上げをみせ、観客が総立ちでタオル回しをして応援しました。サヨナラ負けした八戸学院光星のエースは「全員が敵に見えた」とコメントし、それから大会本部はタオル回しの応援を自粛するように求めたほどです。この熱狂的な弱者応援はアンダードッグ効果によるものだと言えるでしょう。

ただし、弱いだけで応援されるわけではありません。弱者がきちんと努力し、一生懸命に行動していることがアンダードッグ効果を発動させる条件です。特に日本ではアンダードッグ効果が顕著で、いわゆる同情票が集まりやすい国でもあります。アンダードッグ効果を上手に活用すれば、応援してくれるファンを獲得できるでしょう。

アンダードッグ効果の具体例

それでは、実際にどんなアンダードッグ効果が起きているのでしょうか? アンダードッグ効果を発揮した具体例をご紹介します。

森永製菓「ベイク」買わない理由買取りキャンペーン

2019年、森永製菓のチョコレート菓子「ベイク」のプロモーションで「ベイクを買わない理由を100円で買い取る」というキャンペーンをツイッターで実施したところ、わずか1日で投稿数が4万件を突破。早々に予算が尽き、10日間実施する予定でしたが翌日には終了するという異例の反響を得ました。最終的な投稿数は5万2,000件となりました。

Twitterの投稿内容はアンダードッグ効果が期待できるもので、これが5万超の応募を集めた要因だと考えられます。投稿文は下記のとおり。

かつてのアイドル商品が何をしても売れない……という不憫なエピソードが弱者感を出し、同情票を集める構造になっています。

キャンペーンの意図は「ベイク」のリニューアルに際して消費者の意見を集めることで、ベイクのファンや食べた経験がある人をターゲットに展開しましたが、SNSで拡散され多くの人々の意見を集めることに成功しました。

コロナ禍の飲食店「#勝手に応援」プロジェクト

コロナ禍により深刻なダメージを受けている飲食店。グルメアプリ「キッチハイク」を提供するキッチハイクは、そんな苦境にある飲食店を支援する「#勝手に応援」プロジェクトを3月に実施し、開始1か月半で応援リクエスト数が1,000件以上、参画店舗数は約200店舗、販売チケット枚数は約1,000枚と大きな反響を呼び、メディアの注目を集めています。

「#勝手に応援」プロジェクトでは、キッチハイクのアプリWebサイト上で半年後まで利用可能な飲食店の食事券を販売。飲食店を応援したい人がチケットを購入することで、現段階で売り上げを提供できる仕組みになっています。飲食店向け予約・顧客台帳サービス「トレタ」と連携し、1カ月以上先の席予約が可能になりました。経営上、いますぐにお金が必要な飲食店にとって大切な収入源になります。

コロナによる被害が大きい飲食店は弱い立場にあるため、アンダードッグ効果を生み出せます。生活者は「今は飲食店が厳しい状況だろうから、少しでも応援しよう」という気持ちになりやすく、アンダードッグ効果もこの大反響の一因でしょう。