質疑応答

ここからは、イベント参加者からの質問を受ける質疑応答タイムに入りました。
失敗を恐れずに道を切り開く両名に対して、そのマインド面を深堀りするような質問が続きます。

Q.以前起業した時と比べて今難しいと感じることは?

前刀氏:ライブドアの時は最初から大きな出資を受けたが、今回は出資は受けていません。
お金をもらうと、オーナーシップはVCが握るんですよ。
VCとぶつかる時は、「我々が株主なんだから我々のいうことを聞け」と言われてしまうわけです。
自分がやりたいことがある場合は、自分たちでオーナーシップをとれるようになるまでは外部資本は入れない方針にしている。
オーナーシップをとれるかどうかは、これからスタートアップ始める人は考えてみたほうがいいですね。

佐藤氏:私1個しかやってないんでなんとも言えないですが。
メタップスというプロダクトを開発する前の、イーファクターという会社をやってた時と今では経営方針は真逆なんですよね。
イーファクターの時は自己資本でものすごく小さく始めました。ちゃんと自分たちで稼げる力がついた時に大きな勝負をしかけましたね。
テレアポもプログラミングもデザインも、何でも基礎を知らないと教えることもできないし、どっちがいいかなんていう意思決定もできない。
まずは基礎体力をつけるべきだと思って学生時代から起業して、ある程度黒字化するまではやってみないとなあと。3年目ぐらいから自信がついて勝負にでましたね。

Q.何を重視してキャリアを形成されましたか?

前刀氏:自分が情熱を燃やして仕事をできるかどうかですね。
BtoCビジネスが大好きだから、そこに固執はしてます。
ヘッドハンターから「BtoBで興味はないかもしれないけど年俸6000万円は固い」とか言われたこともあったけど、お金の問題じゃないと断りました。

Appleも、自分が大好きなブランドだったから、それを日本で立て直していくことに情熱を燃やせた。
人生の時間は限られています。
せっかく仕事をするなら、自分が情熱をもって打ち込めることじゃないとうまくいかないですよね。

Q:これまでの仕事の中で最も失敗したことは?

前刀氏:言うまでもなくライブドアの失敗ですね。
ワールドコムが潰れるのは日本で言うとNTTが潰れるようなもので、まさか、という状態だった。
しかし、そういうところを予見してリスクヘッジを取ることができなかったのは経営者として未熟と感じました。

Q:自分自身を突き動かしている原動力となっているものは?

前刀氏:今日、今この瞬間は、おそらく僕の100倍、佐藤さんの方が凄いんですよ。
なぜなら佐藤さんはビジネスを大きく創っている。僕は再チャレンジとはいえまだ小さい状態だから。
ただ、人生はこのままで終わっちゃうと面白く無いんですよ。
僕は今死ぬとめちゃくちゃ悔いを残して死にきれない。そういう想いが原動力になっています。

Q:人生が短いという危機感は何が起因している?

前刀氏:実はほんの2、3年前に「人生これからだ」と言いました。
多分みなさんも100歳ぐらいまで生きちゃうんですよ。僕もまだ半分しか生きていないと思ってます。
「人生は短い」と言ってるのは、無駄な時間を過ごすのがもったいないから短いと思った方がいいからです。
会社に対して不満を持ちながらうだうだ働くならさっさと辞めた方がいい。時間がもったいないから。

自分にとって心を燃やせる選択をどんどんしたほうがいいので、人生は短いと考える。
決して老い先短いという意味じゃないです。まだまだいきますよ。

Q:こんな感情に囚われると失敗すると思うのは?

前刀氏:ひとつ言えるのは瞬間的な快楽、例えば交渉中にカチンと来た時、今言い返してやったら気持ちいいかもしれないけど、本質的に求めたいゴールがあるなら、そこは冷静になったほうがいい、頭が来た時ほど落ち着くようにしています。

Q:今インドネシアで社内ベンチャー的なチャレンジしています。大きな変化を起こす時、気をつけている点や不安を払拭する方法は?

佐藤氏

佐藤氏:まあ、死なないよね、っていうのが一番ですね。
事業失敗しても命はとられないですから。とられる国もありますけど。
現状の日本や東南アジアではリスクは決まっていて、大きなダメージはないです。
むしろ年老いてエネルギーが減っていって、やる気もおきないという状態になるのが怖くて仕方がないです。
今はとにかく前のめり。前に倒れるということだけを考えるようにしてます。

前刀氏:仮に失敗をしたとしても、そんな程度で会社は潰れません。
会社のお金でチャレンジするなら思い切りやればいい。
うまくいくこともあれば失敗することもあるだろうけど、全部自分の肥やしになるから。
どんどんチャレンジしたほうがいい。

よくベンチャー経営者の資質として「いい加減である」ことが求められます。
何人か、知ってる人で命を絶っちゃった人もいたんですが、ある程度いい加減じゃないと自分も何回か自殺してました。
そういう経験があるからこそタフになれるし、次のチャレンジもできる。