スマートファクトリーの事例

ここからは、実際にスマートファクトリーの仕組みを導入している企業事例を紹介します。

株式会社ダイセル(大手化学品メーカー)

株式会社ダイセルは、エアバッグの基幹部品の製造を手掛ける会社として知られています。
ここでは、「画像解析」により作業員の逸脱動作や設備・材料の不具合などの異常を早期に発見。現場管理監督者が事故を未然に防止できる環境を実現しました。

この「画像解析システム」は、「ヒト」に対応する人物動作解析、「設備」に対応する設備異常解析、「材料」に対応する溶接異常解析で構成。

人物動作解析では、3次元形状を取得できるカメラを用いて作業者の手やひじ、肩などの関節位置情報を取得。標準動作モデルと関節位置情報を統計的に比較することで逸脱動作を検知します。「両手」「目視」「屈み」の3項目について、規定したしきい値を超えると、生産ラインの監督者に通知が送られる仕組みです。

同じ仕組みを、設備や材料監視にも活用。通常画像との差分を分析することで、異常を検知しています。例えば溶接の場合なら、カメラが溶接の様子とその過程で生じる光の波長データを常時収録。グラフ化した発光データに通常と違う偏りがあれば異常と検知されます。

さらに万が一、生産工程に不適切な作業が発見された時は、シリアル単位で最終製品を追跡できるトレーサビリティも実現しました。

ダイキン工業株式会社(総合空調)

空調機・化学製品などの製造で知られるダイキン工業株式会社。

ここでも、「画像解析システム」を活用し、空調機の製造に欠かせない熟練ノウハウのデジタル化に着手。スマートファクトリーの導入により、技能の底上げとグローバル人財育成に向けた取り組みを進めています。

空調機には図面だけでは表せない複雑な内部構造があり、組立工程の中には技術者の感覚に頼る部分がまだまだ残っています。

こうした製品をグローバルかつスピーディーに展開していくには技能伝承と訓練の効率化が重要です。

先述した株式会社ダイセルに導入した「画像解析システム(※日立との協業によるもの)」を応用し、熟練技術者が持つノウハウのデジタル化を実現。技術の継承、人材育成に役立てています。

オークマ株式会社(工作機械)

オークマ株式会社では、工作機械の製造を手掛けています。超多品種少量の生産でも、大量生産並みの高い生産性を実現する「マスカスタマイゼーション」に向けた取り組みを導入しています。

ロボットなどを高度に活用し、自動化・無人化を推進。従来は、適用が難しいとされた多品種少量生産の重量部品の加工においても、ロボットを活用することで、生産性向上を実現させました。

JUKIグループ(工業用ミシン / 産業装置 / 家庭用ミシン他)

JUKIグループはミシン製造のほか、産業装置の製造を幅広く手掛け、プリント基板生産における高度なプロダクトでも強みを持っています。

IoTで部品や設備をつなぎ、生産ラインの上流から下流までをトータルに一元管理する新たなデジタルソリューションを作り出しました。生産ラインで課題となっていた生産工程の可視化を解決。

「Sense(見える化)」→「Think(分析)」→「Act(対策)」のサイクルを循環させながら、「生産進捗・実績管理」「稼働実績分析」「不具合解析」「設備保全」「在庫管理」といった従来ボトルネックになっていた部分を改善し、生産性向上や不具合発生時の原因解析率向上を実現しました。

これにより、導入1カ月で生産性が約30%も向上につながりました。

TOTO滋賀⼯場(住宅設備機器の成形・組み立て)

TOTO滋賀⼯場では、⼤型投資で最新鋭の技術をつぎ込み、国内外全ての⼯場のモデルとなる先端の製造現場を作り上げました。

導入したプロセスは「生産」、スマート化の主目的は「従業員による作業の効率化、作業の削減・負担軽減」です。

ラインを流れる衛⽣陶器は1個1個、品番が異なる混流⽣産です。貼り合わせる位置も毎回違ってきます。そんな中でも、ロボットは最新のセンサー技術を使い、⼨分の狂いもなく貼り合わせ位置の違いを正確に識別。かつ迅速に位置を合わせられるように プログラミングされています。

また、陶器に釉薬(ゆうやく)を吹き付ける「施釉(せゆう)」という作業⼯程を3台のロボットを同時並行でに動作させることに置き換えました。

薬を吹き付けるロボットが、配置された衛⽣陶器の型番に応じたプログラムをそのつど読み込んで施釉作業を実⾏します。

また、パレットにICタグなどを組み込んでおり、衛⽣陶器に貼り付けたバーコードにひも付けて、⼀元管理。この ICタグなどを読み取れば、パレット番号も固有の製品のバーコードも分かります。バーコードから、品番や⼯程で発⽣する各種ログ情報を呼び出すことができ、その項⽬数は475項⽬にも及びます。これを製造ビッグデータとして⼯程管理や品質管理、出荷後のトレーサビリティーなどに活⽤しています。

参考:スマートファクトリー①日立が提案するスマートファクトリーと協創事例|日立

「 スマートファクトリーロードマップ 」〜 第4次産業⾰命に対応したものづくりの実現に向けて 〜|経済産業省 中部経済産業局