作業を巻き取り、本質的なマーケ活動に注力できる体制に

ferret:具体的にはどのように解決していくのでしょうか?

松永氏:人材の観点でいうと、現場のマーケターは戦略策定や調査、分析、メンバーのマネジメントなど、マルチタスクをこなしていると思います。そのため、全ての業務が片手間になってしまい、最も大切な業務の1つである施策立案や実施に時間がかけられていないという課題があります。

その現場に弊社のデジタルマーケティングプランナーを入れ、まずは作業を巻き取らせていただきます。それだけでなく、ユーザー調査やユーザーインタビューをもとに、生活者が抱えている想いや課題を抽出し、施策に反映。そしてデジタルマーケティングを推進できるのが強みですね。

なぜこれができるかというと、弊社の母体である株式会社メンバーズはデジタルマーケティングを全方位的に行っており、そこで得られたノウハウを生かしたサポートができるからです。

ferret:この点は他人材派遣サービスにはない独自性ですね。

松永氏:ただ手を動かすだけの人材ではない、という点は強みですね。

人材を派遣して企業の体制を整えるのはもちろんですが、弊社のデジタルマーケティングプランナーは運用にも強みを持っています。ですので、運用フローや体制を構築し、デジタルマーケティングの運用が円滑に回る仕組み作りでも貢献できると思っています。

ferret:では生活者の観点もお聞かせいただけますか?

松永氏:生活者の変化の観点でいうと、よく言われていることではありますが、企業が伝えたいことと生活者が知りたいことはイコールではない、という問題があります。

企業が「発信すれば分かってもらえる」と思っていることも課題だなと思っていて、このギャップを埋めていく必要があると考えています。企業は何千万、何億とかけて広告を出稿しているのに、生活者はそれをノイズとしか思わないなんてもったいないですよね。広告にネガティブなイメージを持たれるとブランド毀損にも繋がるので、強い危機感を持っています。

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ですので、弊社のデジタルマーケティングプランナーがユーザー調査を行い、サービスのどこが愛されているのか、どういった情報を知りたいのか、といったことを調査し、ファンが知りたいことを発信していきます。こうしたコミュニケーションを繰り返すことで、「あのブランドが好きだから買う」という関係性を作っていきたいと考えています。

ユーザー調査とは生活者の心の動きを導き出すこと

ferret:おそらくですが、すでに各社、ユーザー調査やユーザーインタビューを行い、生活者の声を聞いていると思います。あえて御社のマーケターがそこに注力する理由はなんなのでしょうか?

松永氏:おっしゃる通りです。ただ、多くの場合、生活者の声を吸い上げているものの、分析できていないケースがありますね。なぜならば分析するためには時間と手間がかかるからです。

例えば一番多いのは、アンケート結果で一番人気の商品が分かったから、次もその商品に注力していこう、という意思決定です。

弊社の調査は、なぜその商品が好きなのか、いつ好きになったのか、という点まで深堀りします。生活者の心の動きを理解しないなら、生活者の声を聞く意味は全くないと思っているで。生活者の心の動きを導き出すまで調査をするのが違いかなと思います。

ferret:お話を伺っていると、ビジネスを成功させる手法ということ以上に生活者を大切にされていると感じました。大切にされているきっかけはなんだったのでしょうか?

松永氏:きっかけはコミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之(さとなお)さんが主宰している「さとなおオープンラボ」に入ったことです。そこで佐藤さんから最初に「プランナーは伝えた相手を笑顔にして、世の中をちょっとよくする仕事なんだよ」と教えてもらいました。

この瞬間、自分が今まで漠然とやってきたことが、この職業だと明確にできると確信を持てたんですね。私のキャリアのスタートはグラフィックデザイナーで、当時はクリエイティブの力で人を元気にしたいと思っていたんです。その後、キャリアを重ねるごとにコミュニケーションプランナーの方へ寄っていきましたが、さとなおさんと出会ったのは本当に大きな転機でした。

大きなビジョンを持っていれば、キャリアは変化を恐れずにどんどん変わっていくべきだと思うんです。

ferret:これまでと同じようにコミュニケーションプランナーとしてバリューを発揮し続けることもできたと思うのですが、社内カンパニーの設立にはどんな想いが込められているのでしょうか?

松永氏:さとなおさんのラボで考え方を学び、それを実践に活かし成果を出すことで、クライアントから喜んでもらえることが増えました。

これを自分1人で抱えているのはもったいないから、こういう思想を持ったチームや組織を作るのか、さとなおさんから学んだことをオープンにして、提供できる事業を作りたいと思っていたんです。

そんなとき、たまたま社内で新規事業の公募があったので、「これはやるしかない」と思い、社内カンパニー設立に向けて構想を作り始めました。構想自体は2年前ぐらいから考えていて、公募のタイミングで固めたのが2020年の夏ぐらいですね。