10月28~30日、幕張メッセにて、Webを活用したあらゆるマーケティング向けツール/サービスを一堂に集めたイベント「Web&デジタルマーケティングEXPO」が開催されました。
本イベントでは多数の企業がブース出展された他、豪華講師陣による特別セミナーが行われました。

今回は、その一環で行われた「ビジネス成果を上げる!次世代Webサイト構築手法」をテーマに、Webソリューションカンパニーであるキノトロープ代表生田昌弘氏の講演の様子をお届けします。

次回Web&デジタルマーケティングEXPOの詳細はこちら*(2020年8月11日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)*

登壇者紹介

株式会社キノトロープ 代表取締役社長 生田昌弘

1959年生まれ。岡山県出身。1985年に生田写真事務所を設立し、カメラマンとして活動を開始する。1993年12月にキノトロープを設立し、代表取締役に就任。以後、一貫した方針で数々のWebソリューションを築き上げる。現在もネットエバンジェリストとして布教活動を実践中。

主な著書に『Webブランディング成功の法則55』(翔泳社)、『CMS構築成功の法則』(技術評論社)、『Webサイト構築ワークフロー』(ソフトバンククリエイティブ)、『アクセス解析からはじめる Webサイト運用 成功の法則』(ソフトバンククリエイティブ)、『次世代Webサイト構築ワークフロー』(インプレスジャパン)など。

Webサイトの役割とは

Webサイトはお客様の問題を解決するツールです。
これってWebができた時から変わらないんですよ。Webが出来た時から。
じゃあ何が変わったのか。ユーザーが変わりました。

Webサイトを訪れるユーザーに共通する目的は、「自身が抱える問題の解決」です。
ここをまず理解してほしいです。

我々がお客様の問題解決をして得られるメリットはお客様から「ありがとう」と言われることです。
お客様の声なんてクレームしか無いと思ってたんです。

僕が広告やってた時代は、モノが売れなくなっていました。
なんでかというと、皆もう持ってるから。
もう買い替えしかないんですよね。買い換えるタイミングしかリーチできない。

インバウンドが行えるのがインターネットの強み

でも、インターネットを知った時、すごいなと思いました。
お客様が手を上げながら「これが買いたいんです」と来てくれるんです。

お客様がどんな問題を抱えているのか、何が欲しいのかが、ネットでは勝手にわかるんです。これはすごいなと。
Webサイトはチラシではなくサービスの場です。
なのに企業は、自分たちのプレゼンを続けます。
本来、企業がWebサイトですべきことは、お客様の欲しい順に情報を提供することです。

では、サービスとはなにか。お客様がほしい情報を1クリックで出すこと。それだけです。
Webサイトでは、お客様にサービスを提供するということを意識していない企業が多すぎます。

最高にダメなのは、サブミットしてエラーが出ること。
商売やってるのにエラーはダメでしょう。

ユーザーの変化がWebサイトに劇的な変化がある

スマホからの流入が増えたのは1つの事象です。
そこから読み取るべきなのは、「スマホ流入が増えた」ということではなく、「ユーザーのライフスタイルが変わっている」ということです。

PCとスマホでは、必要な情報が異なります。デバイスごとに求められるサービスやコンテンツが変化しているのです。

大抵のユーザーは、問題を解決するページに直接たどり着きたい。

なので、階層を順番に下るのではなく目的のページをダイレクトに見ます。
ユーザーは下層のページにしかいかなくなっています。

その中で重要になってくるのがリストページです。ナナピやクックパッドのリストページってよく当たりますよね。

これからは、ソリューション型のリストページが必要になります。

詳細ページからリストへ

お客様は問題解決する為にページを見ています。

3階層以上のページからトップに来てるのは2割ぐらいです。
その2割も、たいてい競合です。

さらに、ページ閲覧行動もI型に変化しました。

検索エンジンも変化しています。
今ではディレクトリ構造ではなくリンクの構造が重要になっています。
ユーザーに優しいコンテンツを作れとGoogleも言っています。

次世代型のWebサイト

主流は「探す必要がない」提案型のWebサイトへ

これまでは「探しやすい」Webサイトが主流でした。
トップから流入したユーザーにとっていかにお目当ての情報が探しやすいかを追求していました。

これからは「探す必要がない」Webサイトが求められます。
Amazonが既にやってますよね。
例えば、皆さんAmazonにどんなカテゴリがあるのかほとんど覚えてないと思います。

なぜなら、何が目標かを忘れるぐらい、レコメンドによって潜在的な問題解決を行っているからです。
今後向かうべきはそういう「提案型サイト」です。

ニーズマッチングを行い、ユーザーごとに最適な情報を動的に提供する

今は1億円かかるような施策ですが、2年後には1,000万円ぐらいでできるようになります。なので、いずれはどこの企業でもできるようになります。

これからのWebサイトのあるべき姿は、ユーザー毎に最適化されたページを動的に提供することです。
それぞれのデバイスごとにテンプレートを用意し、ユーザーニーズに最適化したページを動的に表示する。
そして、コンテンツの管理はCMSで一元化します。

ユーザーの利用シーンごとにテンプレートを増やすだけで、お客様の属性がより多く分かるようになります。

ユーザーの行動履歴を元に、情報最適化

お客様の「行動」をもとに出し分けできるようになったら最高ですよね。
だから、最終的にマイページの概念がなくなればいいですね。

ユーザーニーズの最適化の重要性

ユーザーニーズ最適化とは、いつでも、どこからでも、誰でも、どんなデバイスからでもアクセス可能であり、常にユーザーニーズと、そのシチュエーションに応じた最適なコンテンツを提供することです。
最適化するうえで考えるべきポイントは5つあります。

最適化のポイント

1.ユーザー体験シナリオ
2.コンテンツファースト
3.粒度の設定
4.マルチデバイス対応
5.コンテンツ・データ一元管理

1.ユーザー体験シナリオ

ユーザー体験シナリオとは「お客様がニーズを満たすまでの行動の流れを可視化した設計図」です。

お客様が満足するシナリオは何かということを考えましょう。
大規模なサイトでも小さなサイトでも全て同じです。
そしてこのユーザー体験シナリオにより、「Webサイトに必要なコンテンツ」を洗い出すことができます。

2.コンテンツファースト

そもそもインターネットコンテンツはあるのかという問題があります。
クライアント企業から頂いたデータをコンバートするのはただの印刷です。
でもなぜかWeb業界における「制作」は、そのような作業を指している場合が多いですよね。

Webサイトを作ることは本来は「コンテンツを作ること」なんです。
(印刷、映像など)他の業界での制作は全て「コンテンツを作ること」ですよね。
そして作るのは、お客様の問題を解決するコンテンツです。

3.粒度の設定

粒度とはつまりテンプレートを作りましょうという話です。
テンプレート化することで、デザインの自由度は低くなります。
しかし、お客様は 、デザインを見に来ているのではなく問題解決しにきていることを念頭に置くべきではないでしょうか。

テンプレートを利用すればナビゲーションのルールも統一されるのでお客様もわかりやすくなります。

4.マルチデバイス対応

ユーザーが使うデバイスが増え、ニーズも多岐に渡っている今は、マルチエントランス&マルチデバイス対応が必須です。
(TOPページ、下層ページ関係なく)全てのページが入り口となり、どのデバイスからアクセスしても最適な表示と情報を提供する必要があります。

5.コンテンツ・データ一元管理

今後、また新たなデバイスが出現し、急速に普及する可能性は十分あります。
そのような変化に柔軟に対応できるシステム基盤を持ちましょう。
商品情報や顧客情報は一元管理し、そこからあらゆるサービスやデバイスに対応できるようにしておくのが理想です。

まとめ

生田代表は、Web業界に足を踏み入れた当初から徹底した顧客視点を貫いており、ユーザーニーズが存在するインターネット上でビジネスを行うのであればそれが正しいやり方でしょう。
Googleのアルゴリズム変更やユーザー行動の変化など、様々な要因が合わさり、「コンテンツファースト」や「ユーザーファースト」が叫ばれ始めた今、ようやく本来行われるべきWeb施策が広まってきているのかもしれません。

規模関係なく、Web上でビジネスを行っている方であればまずは自社のユーザーのニーズを明確にして、自社サイトはユーザーのニーズを満たしているか、問題解決できているかを見直してみましょう。

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