広告運用を始める前に整理しておきたいこと

前項で、運用フェーズに入ったら「PDCA」のうち「A=Action:改善行動」がカギとなることを述べました。しかし、その前段階の「Plan-Do-Check」という一連の流れがなければ、「A=Action:改善行動」も成立しません。そこで、広告出稿前のプランニング段階において、押さえておくべきポイントをお伝えします。

自社で広告を出す目的を明確にしよう

まずは、リスティング広告を出すことによって、自社ではどんなゴールを目指すのかを明確にしましょう。例えば、「自社の通販サイトで新規に○○人、購買してほしい」「実店舗に▲▲人、新規で問い合わせの電話をしてきてほしい」といったCVのことです。

なんとなく「リスティング広告を出して、売上が今までより上がったらいいな」という漠然とした目標ではなく、できるだけ細かな数字に目標を落とし込むことがポイントです。具体的なゴールを描けば、どんな広告文・キーワードで出稿すべきか、自ずと方向性が絞られて最適化でき、広告の品質を上げることに繋がっていきます。

自社の強み、競合との差別化を改めて洗い出そう

リスティング広告を出稿するにあたり、自社の強みや競合との差別化ポイントを改めて棚卸しし、言語化してみましょう。それらを広告文・キーワードに落とし込めば、ユーザーに対する訴求ポイントとすることができます。

また、競合との差別化ポイントが明確になれば、競合の多い広告キーワードへの入札を回避でき、比較的入札単価が安い広告キーワードを狙うことも可能になります。

自社のターゲットユーザー像をはっきり描こう

自社のターゲットとなるユーザー像をなるべく細かくイメージしましょう。マーケティング業界には「ペルソナ」という言葉があり、サービス・商品の典型的なユーザー像のことを指します。この「ペルソナ」は架空の人物像で良いので、なるべく細かく設定することがポイントとなります。

例えば「眼鏡店」という業種でも、ターゲット顧客が異なれば以下A、Bのように全く違うペルソナを描き出すことになります。

ペルソナA:東京都心に住む、20代大学生の男性。ゲームや動画視聴などで毎日スマホを長時間使い、ブルーライトの影響で眼精疲労や寝付きの悪さが気になっている。

ペルソナB:地方都市●●県に住む、40代有職の女性。スマホもパソコンもテレビもよく見るが、最近、老眼が気になり始めた。

このように自社商品・サービスのペルソナを鮮明に描き出すほど、リスティング広告出稿時の広告文・キーワードをどんなものに落とし込めば良いか、方向性が明確に定まっていきます。

リスティング広告の成果をアップさせるポイント

PDCA」のうち、「P=Plan:計画」の段階で考えの整理を行ったら、「D=Do:実行」、つまり、実際の広告設定・出稿に移りましょう。この「D=Do:実行」フェーズで知っておくと役立つポイントをお伝えします。

「ロングテールキーワード」を狙おう

「ロングテールキーワード」とは、競合の少ないニッチなキーワードのことです。これに対し、競合の多いキーワードは「ビッグワード」と呼びます。リスティング広告出稿時に「ビッグワード」を狙おうとすると、競合相手が多くなり、高い入札単価でないと掲載を望めない場合も出てきます。

ビッグワードの一例:「居酒屋」「居酒屋 大阪」

検索の際、ただ「居酒屋」と一語だけで検索されることを想定した場合、全国に競合相手があまりにも多すぎます。また、「居酒屋 大阪」であっても範囲が広すぎて競合相手が多くなり、やはりビッグワードとなってしまいます。

ロングテールキーワード(ニッチキーワード)の一例:

  • 「居酒屋 大阪 難波」
  • 「居酒屋 大阪 難波 おしゃれ」
  • 「居酒屋 大阪 難波 おしゃれ 個室」

上記のように、三語以上のキーワードを組み合わせることにより、どんどん競合相手が減り、ニッチな情報になっていきます。

リスティング広告を出稿する際のキーワードは、三語以上を組み合わせたロングテールキーワードを狙うことも検討してみましょう。

「マッチタイプ」を理解しよう

キーワードの「マッチタイプ」とは、ユーザーが検索した時にどのような検索語句によって広告が表示されるかを左右する設定です。例えばGoogle広告の場合、初心者にはまず*「部分一致」で出稿する*ことを推奨しています。

これは、誤字、送り仮名の違い、多少の言葉のゆれがある場合や、関連性のある語句で検索された場合にも広告が表示されます。具体的に言えば、キーワードに「女性用 ぼうし」を設定しておきます。ユーザーが「レディース ぼうし 購入」で検索した場合にも広告が表示される可能性がある、という訳です。

前述した「ロングテールキーワード(ニッチキーワード)」での出稿を狙う場合は、「絞り込み部分一致」か「フレーズ一致」がおすすめです。

「絞り込み部分一致」とは?

部分一致よりも細かいキーワードの調整が可能です。プラス記号を付けたキーワード(例: +赤 +靴)や、その類似パターンが検索語句に含まれる場合にのみ、広告が掲載されます。

(例)絞り込み部分一致キーワード:

+芝 +刈り +サービス

広告が表示される可能性がある検索語句:

  • 芝刈りサービス
  • 芝刈りと刈り込みサービス
  • 草刈りとガーデニング サービス
  • 草刈りサービスの料金

「フレーズ一致」とは?

指定したキーワードと同じ語順のフレーズや、その類似パターンに当たるフレーズが使用されます。その前後に他の単語が追加されている検索語句で、広告が掲載されます。

(例)フレーズ一致キーワード:

「テニス シューズ」

マッチする検索語句の例:

  • テニス シューズ
  • セール テニスシューズ 購入
  • 赤い テニスシューズ
  • 快適なテニススニーカー

参考:キーワードのマッチタイプについて|Google広告ヘルプ

ターゲットを絞り込んで広告配信する

例えば渋谷で雑貨店を営んでいるお店の場合、「渋谷 雑貨」だと、競合相手が多いビッグワードとなることが想定されます。

しかし広告配信時にターゲットを絞り込み、

  • 東京23区内にのみ広告を配信
  • 女性にのみ広告を配信

などと設定しておくことで、実際に来店・問い合わせしてくれる可能性の高い人だけに広告を表示させることができます。するとCV確度が上がることに繋がり、無駄な広告費削減を期待できます。

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