リスティング広告シミュレーションを作成すると、データに基づいた効果的な広告運用が可能になります。また、実現性の高い目標を設定するためにも、シミュレーション作成は重要です。

この記事では、リスティング広告のシミュレーションを作成する際に押さえておくべき指標や、具体的な手順について解説します。リスティング広告を運用するマーケティング担当者の方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. リスティング広告でシミュレーションを行うべき理由
  2. リスティング広告のシミュレーションをする際に必要な数値
  3. リスティング広告のシミュレーションを作成する手順
  4. リスティング広告のシミュレーションを活用するポイント
  5. シミュレーションでリスティング広告の成果・予算を把握しよう

▼Web広告の成果に伸び悩みを感じる方におすすめの資料はこちら

広告運用経験0でも判断できる10のチェックポイント

広告運用経験0でも判断できる10のチェックポイント

今の広告パフォーマンスは頭打ち??広告運用経験ゼロでも判断できる10のチェックポイントをご紹介致します。

リスティング広告でシミュレーションを行うべき理由

リスティング広告の運用を始める前にシミュレーションを作成しておくべき理由として、次のようなものが挙げられます。

広告シミュレーション提案書の例.png

実現性の高い目標を設定するため

リスティング広告を運用する上で、CVやCPAなどの目標を決めることは重要です。しかし、データに基づくことなく目標を設定してしまうと、達成できないリスクが高まります。

例えば、「月間150件のCVをリスティング広告で獲得したい」と考えたとしても、そもそも検索ニーズ自体が少なければ目標達成は難しいでしょう。実現性の高い目標を設定するために、データに基づくシミュレーションを作成する必要があります。

予算に合わせて最適な施策を行うため

リスティング広告のコストは、広告を出稿する媒体やキーワードなどによって変化します。例えば、競合の広告主が多いキーワードは、1クリックあたりの広告費が高くなることが一般的です。そのため、広告予算を最大限に有効活用するには、適切な媒体やキーワードを選ぶ必要があります。

リスティング広告のシミュレーションを作成すれば、高い費用対効果が見込める媒体やキーワードに広告予算を配分することが可能です。

運用開始後のPDCAをスムーズに回すため

リスティング広告は、出稿後に成果を確認し、入札単価やターゲティングの設定、クリエイティブなどを改善することで費用対効果を最大化できます。

あらかじめシミュレーションを作成しておけば、目標の達成度合いを定量的に把握し、改善すべきポイントを特定できます。運用開始後のPDCAサイクルをスムーズに回すために、データに基づくシミュレーションを作成しておくことが大切です。

リスティング広告のシミュレーションをする際に必要な数値

リスティング広告運用においては様々な数値・指標があります。その中でも、シミュレーションを作成するには以下のような数値が必要となるため、把握しておきましょう。

項目 概要
IMP:表示回数 広告がユーザーに表示された回数
CTS:クリック数 広告がユーザーにクリックされた回数
CTR:クリック率 広告の表示回数に対するクリック数の割合
※算出方法:CTS(クリック数)÷ IMP(表示回数)×100
CPC:クリック単価 広告1クリックあたりにかかる費用
※算出方法:広告費用 ÷ クリック数
CV:コンバージョン数 広告経由で発生したコンバージョンの数。資料請求や見積もり依頼、商品購入など、Webサイトの目的に応じてコンバージョンの内容を設定できる
CVR:コンバージョン率 広告のクリック数に対するコンバージョン数の割合
※算出方法:CV(コンバージョン数) ÷ CTS(クリック数)×100
CPA:コンバージョン単価 コンバージョン1件あたりにかかる費用
※算出方法:広告費用 ÷ CV(コンバージョン数)
COST:費用 広告費の総額

リスティング広告のシミュレーションを作成する手順

リスティング広告のシミュレーションを作成する際は、GoogleやYahoo!が提供するツールを用いて、キーワードの検索ボリュームやクリック率、広告コストなどの推定値をリサーチします。

ここでは、Googleが提供する広告運用担当者向けのツールである「キーワードプランナー」を使ったシミュレーションの作成手順をステップごとに解説します。

キーワードプランナーの登録方法は以下の記事で解説しているため、初めて使う方はあわせてご覧ください。

関連記事:Google(グーグル)広告「キーワードプランナー」の使い方!導入から実践までを徹底解説

1. 入札するキーワードを決める

まずは、リスティング広告を出稿するキーワードを決めましょう。キーワードは、自社商品・サービスのターゲットとなるユーザーが検索すると考えられるものを選ぶのがおすすめです。

また、キーワードの考え方には次のようなものがあります。

● 商品・サービスそのものを表すキーワード

すでに購買意欲が高まっているユーザーは、商品・サービスそのものを表すキーワードで検索します。商品の型番ブランド名のキーワード、「会計ソフト」「勤怠管理システム」といったサービスを表すキーワードなどをリストアップしてみましょう。

● ユーザーが抱える課題やニーズを表すキーワード

自社のターゲットユーザーが解決したいと思っている課題やニーズを表すキーワードからも、リスティング広告経由のコンバージョンが見込めます。

例えば、営業支援ツールを販売する場合なら「営業 効率化」や「セールス 成約率アップ」などのキーワードに広告を出稿すると、ターゲットユーザーへのリーチが可能です。

● 検索エンジンに表示される関連キーワード

検索エンジンに表示される関連キーワードも、リスティング広告で入札するキーワードの参考となります。

例えば、Googleで「営業支援」と検索すると、「営業支援サービス」や「営業支援 コンサル」などの関連キーワードが表示されます。

キーワードプランナー_シュミレーション_1

関連キーワードの中に、自社の販売する商品・サービスと関係するものがあれば、入札するキーワードの候補に加えるのも良いでしょう。

● キーワードプランナーで表示されるキーワード

キーワードプランナーに商品を表すキーワードWebサイトURLを入力すると、新たなキーワードの候補を見つけられます。

キーワードプランナー_シュミレーション_2

Google広告アカウントログインし、画面上部の「ツールと設定」から「プランニング」→「キーワードプランナー」をクリックしましょう。

キーワードプランナー_シュミレーション_3

「新しいキーワードを見つける」の入力欄に、自社の商品やサービスを表すキーワードを入力し、画面下部の「結果を表示」をクリックします。

キーワードプランナー_シュミレーション_4

指定したキーワードと関連性の高いキーワードの候補が表示されました。これらの方法で、リスティング広告を出稿するキーワードのリストを作成しましょう。

2. 検索ボリュームや推定クリック数を調べる

次に、広告を出稿するキーワードの検索ボリュームや推定クリック数を調べます。

キーワードプランナー_シュミレーション_5

Google広告アカウントにログインし、キーワードプランナーの「検索のボリュームと予測のデータを確認する」をクリックしましょう。

キーワードプランナー_シュミレーション_6

広告を出稿したい候補キーワードのリストを入力し、「開始する」をクリックします。入力欄にコピー&ペーストする以外に、Excel形式のファイルをアップロードすることも可能です。

キーワードプランナー_シュミレーション_7

結果が表示されたら、画面の下部にて月間の検索ボリュームを確認できます。

キーワードプランナー_シュミレーション_8

次に、左メニューにある「予測」をクリックしましょう。

シミュレーション_フォーマット_1

キーワード候補全体のクリック数や表示回数などが表示されるので、以下のようにメモしておきましょう。

シミュレーション_フォーマット_2

キーワードプランナー_シュミレーション_9

下にスクロールすると、過去のデータに基づいて算出された、推定クリック数や推定費用などがキーワードごとに表示されます。

例えば、「SFA 営業支援ツール」というキーワードでは、1ヶ月の表示回数の推定値は約732回、クリック数の推定値は32回です。平均クリック単価は237円、費用は7,593円と推測されています。

3. 推定CV(コンバージョン数)を算出する

次に、推定されるCV数を算出しましょう。CV数の算出方法は以下の通りです。

推定CV数の算出方法.png

リスティング広告CVRは商材やキーワード、ランディングページの内容などで異なるものの、相場は1~3%程度とされています。そのため、分からない場合はこの相場をもとに計算しましょう。

例えば、前述の手順でリサーチした推定クリック数が、キーワード候補全体の合計で1,000クリックだった場合、推定CVは次の通りです。

シミュレーション_フォーマット_3

  • CVR1% の場合:1,000クリック×1%=10件
  • CVR3% の場合:1,000クリック×3%=30件

この場合は、10〜30件のクリックが見込まれると予想できます。

4. 推定CPA(コンバージョン単価)を算出する

推定される広告コストとCVから、推定CPAを算出しましょう。例えば、キーワードプランナーでリサーチした平均クリック単価が100円、クリック数が1,000回、データから算出した推定CVが10件だった場合のCPAは次の通りです。

推定CPAの算出方法.png

シミュレーション_フォーマット_4

つまり、1件のCVを獲得するために10,000円広告費がかかる見込みとなります。

4. 予算の配分を決める

広告のCTS(クリック数)やCPA(コンバージョン単価)などの推定値が用意できたら、予算の配分を決めましょう。シミュレーションした数値を比較し、より高い成果が見込まれる媒体に多くの予算を配分すると効果的です。

また、実際にどのキーワードに入札するかの判断もこのタイミングで行います。キーワードのクリック単価が高いと、リストアップした候補のキーワード全てに広告を出稿した場合に予算をオーバーしてしまう可能性があります。CPAが低く、CVの獲得が見込めるキーワードを選びましょう。

リスティング広告の予算の決め方については、以下の記事でも詳しく解説しています。

関連記事:はじめてのリスティング広告。Web広告担当に配属した新人マーケターにおすすめ資料まとめ

▼Web広告担当者はこちらのガイドブックもチェック!

広告運用経験0でも判断できる10のチェックポイント

広告運用経験0でも判断できる10のチェックポイント

今の広告パフォーマンスは頭打ち??広告運用経験ゼロでも判断できる10のチェックポイントをご紹介致します。

リスティング広告のシミュレーションを活用するポイント

シミュレーションを作成し、リスティング広告の運用で成果を上げるために気を付けるべきポイントは次の通りです。

シミュレーション作成に時間をかけすぎない

シミュレーションを作成する際は、過度に時間をかけないようにしましょう。

リスティング広告のシミュレーションで算出される表示回数やクリック数、CVやCTSなどはあくまでも推定値です。そのため、シミュレーション作成に長い時間をかけたからといって、実際にその通りになるとは限りません。

また、シミュレーションをしてから運用までに数日・数週間かかってしまうと、実際の運用に反映させる前に情勢が変化する可能性があります。

キーワードの検索ボリュームや必要な広告予算などがある程度把握できた段階で、広告運用を開始しましょう。

実際の成果とのギャップを確認し改善を行う

広告運用を開始したあとに、実際の成果とシミュレーションのギャップを確認しましょう。

例えば、シミュレーション作成時に想定していたよりも広告の表示回数が少ない場合、別のキーワードや媒体への広告出稿を検討するなどの対策が必要です。また、CVRが想定よりも低ければ、ランディングページを見直すことで改善できる可能性があります。

実際の成果とシミュレーションのどこにギャップが生じているかを確認し、改善施策に取り組むことがポイントです。

関連記事:【初心者向け】リスティング広告を改善する11個の方法。CPAやCVRなど指標別の改善方法を解説

目標や予算を定期的に見直す

リスティング広告の成果は、検索ニーズの変化競合広告主の状況などによって変化します。そのため、目標数値や予算配分を定期的に見直すことが大切です。

週次や月次など、一定の期間ごとに広告運用の状況をまとめ、最適化のための施策に取り組みましょう。

シミュレーションでリスティング広告の成果・予算を把握しよう

リスティング広告を運用する際は、キーワードの検索ボリュームやCVRの推定値などのデータをもとにシミュレーションを作成することが重要です。

シミュレーションと実際の成果を比較することで、改善すべきポイントを特定し、PDCAサイクルをスムーズに回せます。

リスティング広告の運用を担当する方は、キーワードプランナーなどのツールを用いてシミュレーションを作成し、見込める成果必要な予算を把握しましょう。

▼Web広告担当者はこちらのガイドブックもチェック!

広告運用経験0でも判断できる10のチェックポイント

広告運用経験0でも判断できる10のチェックポイント

今の広告パフォーマンスは頭打ち??広告運用経験ゼロでも判断できる10のチェックポイントをご紹介致します。