成功するポイントは「得意領域の掛け合わせ」と「反復」

津田氏:
失敗を重ねてきましたが、うまくいって今に繋がっていることもあります。

ナップスターが登場した当時、文化的、音楽的、技術的に解説できるライターがほとんどいなかったんですよ。
僕はインターネット系の雑誌で記事を書いていたものの、トップではなかった。音楽評論家になろうとも思わなかったし、音楽でもネットでも僕より詳しい人はたくさんいた。
だけど、両方を理解して、この事象が起こす未来を語れる人はいなかった。じゃあそこの領域で書き始めればトップになれるなと。そもそもライバルがいないわけですから。

ITジャーナリスとして単行本をいくつか出したんですが、『だからWinMXはやめられない』を書いたことがきっかけで、今はSmartNewsの取締役で、当時ネットイヤーにいた川崎裕一さんに「勉強会で話してもらえませんか」と言われてそこで初めて人前で登壇しました。

2006年に著作権問題を提言するフォーラムを世話人として立ち上げたのですが、それもあってパネルディスカッションの司会を務める機会が増えました。その後テレビやラジオで仕事をするようになり、年間300人くらいにインタビューしたり司会を務めたりしています。結果、今は自分の仕事の中で司会が一番得意になりましたね。
 
司会をうまくこなすにはいろいろノウハウはありますが、結局数をこなすのが一番です。
人は反復することで得意になるんだろうなと思います。

まとめ

前編では、津田氏の略歴から、仕事との向き合い方やメディア運営の考え方について語っていただきました。
大学時代にインターネット黎明期を体験し、ナップスターを知り、新しいメディアの可能性に気づいたと同時に大きな変化が起きることを予見した津田氏は、恐れることなく大胆な試行錯誤を繰り返し、今のジャーナリスト/メディアアクティビストに繋がる道を切り開いていかれたようです。

後編は、津田氏の更なるキャリア転換のきっかけとなるTwitterとの出会いから、メディアとの関わり方、オウンドメディア運営の際に意識するべき点についてのお話をお届けします。

インタビュー後編はこちら
【津田大介氏特別インタビュー】あらゆる企業がメディア化する今、情報発信側が見失ってはならないものとは(後編)