カンボジアの若い人たちは幸せそうに見えた

西井:僕の高校の同級生でクラスで一番成績がよかった友だちは、ICUでした。今、すごいちゃんとした大企業に勤めています。
ICUの出身で起業しているというのは結構珍しいですよね。

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鈴木:僕も知り合いにはいませんね。NPOをやっている方はいますけれど。大学入学当時は、最初金融業界、投資銀行に行こうと思っていました。
大学1年生のときは勉強しかしていませんでしたね。ただ2008年に入学したのですが、その年にリーマン・ショックがあって。

大企業も安定していない。投資銀行はさらに不安定。そもそも金融自体実態のない商売をしていたことにも気づきました。
そもそも、何のために自分はそういうお金稼ぎをしたかったのか?初めて考えました。そこから悶々とする日々が始まるんですが。

西井:多感な環境にいたから、深く考えていますね。
大学のときにそんなに勉強したの、ここにいる人のなかで、一人だけですよ(笑)(ワンダーシェイク鈴木、インタビュアー西井、ferret編集長飯髙、カメラマン三浦で失笑)

鈴木:座学だけですけど。授業出てるみたいな感じで。それで読書して。
そのとき読んだのが「リーダーシップの旅」という本です。自分の人生で一番影響を受けた本ですね。

リーダーになりたいと思ったことは1回もないんですけど。リーダーシップとは、リーダーになる人が自分でやりたいことを見つけて、追求し続けて、その結果人がついてくる。
社長になりたいから社長になるわけではなく、結果としてなるものだと書いてあったんです。

確かにそうだなと気付きまして。自分は好きなことがあったりとか、一番になりたいとか、追求したいものがその時ないなと思いまして。
まずはそれを見つけようと純粋に思って、それが転機でしたね。

西井:多くの経営者がバイブルになる本ってありますよね。

鈴木:同時期に、ルーム・トゥ・リードという、元マイクロソフトの幹部が作った、途上国に教育を提供するNGOの存在を知り、ベトナムとカンボジアを1週間くらい旅行しました。

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目的は、現地の人たちにどういった課題があるのかということのヒアリングです。カンボジアで若い女の子たちがたくさんいるんですが、みんな学校に行っていない。

でも、すごく楽しそうにしているんです。普通に幸せそうなんです。途上国の方々って明らかに日本の大人よりいい顔をしているんですよ。
「カンボジアが好き?」と聞くと、みんな即答で「故郷だから大好きだ」というんですね。とてもシンプルな理由だなと。

日本人の若い人に同じ質問をしたら、絶対そういう答えは返ってきませんよね。日本を好きでも嫌いでもないって感じじゃないですか。
カンボジアの若い子たちと話していて、素直で余裕を持って生きているなと思ったんですよ。それは何かなと考えたら、リアルな繋がりがあるからかなと思いまして。
人が毎日出会って話す。そういうところが人の豊かさ、心の豊かさみたいなものを生み出しているんだなということに気が付いて。

当たり前といえば当たり前なんですけど、結構ショックを受けて。
こういう新しい出会いとか驚きというものを提供できるサービスや事業をやっていきたいと思ったのが大学2年生のときでした。

西井:私も多くの国に行ってますが、途上国だからといってそこに住んでいる人が不幸せかというとそうでもなくて。
むしろ1日1日が楽しんでいるなと思います。

鈴木:当時、ビジネスサークルを運営していて、ベンチャー企業の社長にインタビューをするという企画をやっていたのですが、そのとき出会ったのが藤沢烈さんです。
藤沢さんと話をしていて、自分はこういうことがしたいと言ったら、その言葉の意味は何?というように全部分解していったんです。

そうしたら、自分の言葉で全然説明ができない。本を読んだり、人から聞いたことを言っているだけということに気付きまして。自分で体験をしていないんですね。

それをきっかけに、ルーム・トゥ・リードを支援するようなイベントを始めました。イベントの資金は全部チャリティで、1回で30万円くらい売り上げがありました。
売り上げは全部寄付していました。それを何回かやって。

大学3年生の割にはよく稼いだビジネスを作ってたなと思います(笑)。

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その後、カリフォルニアのサンディエゴの大学に1年間留学をしました。勉強が目的ではなく、ビジネスをしようと思って。座学はもういいやと。

当時、アメリカにあった好きなWebメディアを訳したブログを運営して、メディアっぽいことをやっていました。
それをTwitterで流すとフォロワーが増えていくと、いろいろなところから声がかかるようになりました。

Twitterは、新しい繋がりがバンバン生まれるんですよね。すごくネットライクなサービスだなと思いました。
自分が発信している情報を元に、他人と繋がることに感動をして、そこから人と人を繋げるサービスをWebでできないかと思い始めました。
それから、シリコンバレーに行っていろいろな方にお話を伺って。

現地にいる日本人の起業家の方は、お金を稼ぎにきているのではなく、産業や世界を変えるために頑張っているんです。

西井:僕も、Twitterが出たときは感動していて。

FacebookはFacebookで「リアルを繋ぐ」という価値はあると思いますが、Twitterのほうが衝撃でしたね。
大学生のときに、そういうことを感じているという感度の高さがすごいですね。

僕、大学生のときにまったくそんなこと考えてなかったと思います(笑)。

鈴木:シリコンバレーで、現地で起業している日本人の方と会食をする機会がありまして。

自分のアイデアを話したら、「君は絶対にアメリカで起業したほうがいい」と言われまして。
英語ができる日本人が少ないこと、ネットで勝負するならアメリカのほうが向いていることなどがその理由でした。ちょうどiPhone3GSが発売されたくらいのときだったと思います。

当時、Forsquareのようなチェックイン系のサービスが流行っていまして、そのチェックイン情報とFacebookの情報を掛けあわせて、お互いに今ここにいるという状態を可視化して人を繋げてコミュニケーションができるサービスを作りたいと思いました。

それがワンダーシェイクという、会社設立当時に手がけていたサービスです。それを作りたいと考えたら日本よりアメリカのほうがウケると思っていました。
それで、留学が終わり日本に帰ってきて、起業の準備を始めます。大学4年生のときですね。

西井:そのときはもう就職するつもりはなかった。

鈴木:ありませんでした。ゼロから自分でやりたいと思っていました。