企業が動画で効率的に成果を出すためには、制作前に決めるべきこと制作の流れを理解しておく必要があります。

この記事では動画制作の流れや注意点、成功させるためのポイント、制作に関するチェックリストなどについて解説します。

目次

  1. 動画制作前に決めるべきこと
  2. 動画制作の流れ
  3. 動画制作の注意点
  4. 動画制作を成功させるためのポイント
  5. 失敗しないための動画制作チェックリスト
  6. 動画制作に関するよくある質問
  7. 動画制作の流れを知って成果の出る動画を制作しよう!

動画制作前に決めるべきこと

動画制作前に、次の4点をあらかじめ決めておきましょう。いずれも事前に決めておくことで、スムーズな動画制作につながります。

1. 目的

動画には主に、商品・サービスの「認知」「理解促進」の2つの役割があります。動画を制作するにあたって大切なことは、「認知」もしくは「理解促進」どちらの目的で動画を作成するのかを事前に決めることです。

その際、誰にどんな場面で見てもらいたいのか、などをイメージするとより目的が明確になりやすいでしょう。

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2. 表現

動画には実写アニメーションスライドショーなど、さまざまな表現方法があります。どれを選択するかで訴求力動画の成否が大きく左右します。内容を「どう伝えるか」を踏まえた上で、表現方法についてもよく検討しましょう。

3. 予算

動画制作にかけられる予算を決めましょう。

短尺か長尺かによって制作にかかるコストは大きく変動します。動画制作専門の会社に外注した場合の相場は30〜50万円です。個人の動画クリエイターなどに依頼するともう少しコストを抑えられる場合もあります。

4. スケジュール(納期)

動画を「いつまでに完成させるか」というゴールを明確にしましょう。

特に「新商品発売」「キャンペーン告知」といった目的がある場合には、他のマーケティング施策と連動して制作のタイムリミットがあるはずです。そのような場合、スケジュール管理を厳密に行う必要があります。

また外注の場合、繁忙期は納品までに2〜3ヶ月かかることもあり、短期納品を希望すると費用が上乗せされる場合もあるため注意が必要です。

動画制作の流れ

マーケターとして重要なのはプランニングですが、その後の流れも把握することで、業務の効率化が期待できます。

動画制作の流れは、大きく以下の5つのステップに分けられます。

  1. 企画・構成
  2. 絵コンテの作成
  3. 動画の撮影、素材集め
  4. 動画の編集
  5. 動画の公開

1. 企画・構成

動画の企画策定は、ターゲット媒体選定から行います。会員限定動画といったクローズドな動画ではない場合、媒体はYouTubeやInstagram、TikTokなどのSNSが挙げられるでしょう。

次にターゲットや動画制作の目的をもとに、表現方法を決めていきます。実写動画はもちろん、アニメーション動画や静止画を組み合わせたスライドショー動画など、企画次第ではコストを抑えつつメッセージを十分に表現できる場合があります。

実写ならキャスティング、オーディションを進めます。アニメーションならどのようなテイストに仕上げたいか、全体の方向性を決めます。

企画・構成によって、動画の内容や映像の品質が大きく異なってくることもあるため、制作会社に依頼するのもおすすめです。

2. 絵コンテの作成

企画内容に沿って「どんなメッセージをどのタイミングで盛り込むか」「どのようにシーンを展開していくのか」など、動画全体の構成をまとめた絵コンテを作成し、関係者とすり合わせを行います。

動画の骨格である絵コンテは関係者間で何度も修正を繰り返し、精度の高いものに仕上げていきましょう。

同時に撮影スケジュールなどが記載された「香盤(こうばん)表」​​も作成します。香盤表とは、キャストやエキストラの現場入り時間や場所、衣装・小道具に関する情報などを記載するもので、撮影を円滑に進めるために重要な役割を持ちます。

3. 動画の撮影、素材集め

動画の構成や絵コンテ、香盤表に従い、動画の撮影を行います。まずはテスト撮影でキャストやカメラの動き、小道具の配置などを確認し、その後本番撮影に移るのが良いでしょう。

アニメーション動画の場合は、必要となるイラストや背景などの素材を収集、あるいは制作します。

4. 動画の編集

動画編集ソフトを活用し、構成案や絵コンテに沿って編集を行います。編集作業では、各シーンで撮影した映像をつなぎ合わせます。つなぐ過程で不要な場面を削除し、カット間をつなぐトランジション用の効果を入れたりテロップ字幕を加えたりします。

同じ内容で尺を変えたバージョン(テレビCM用とSNS用など)を作成する場合にも、この段階で動画を用意しましょう。

5. 動画の公開

動画が仕上がったら、当初設定した目的や企画、仕上がりイメージと相違がないか、社内関係者で内容のチェックをしましょう。

内容に問題がなければYouTubeなどの媒体に動画をアップロードし、動画を公開します。セミナー会場で再生したりホームページに掲載したりする場合は、事前に再生チェック試写)を行っておくと良いでしょう。

動画制作の注意点

動画制作を進めるにあたっはて、以下の3点に特に注意が必要です。

著作権・使用権を確認する

動画で使う素材や、動画自体の著作権、動画の使用に関する権利などについてあらかじめ確認し、理解を深めておきましょう。

「手持ちの音源をBGMとして使いたい」「社内で保有しているイラストや写真を動画内に挿入したい」と考える人も少なくありませんが、一度購入したコンテンツを無断使用することは著作権法に抵触する場合があるので注意が必要です。

実写撮影後の修正は基本的にNG

実写動画の場合、撮影は基本的に「1回きり」です。

仕上がり後の確認・検収プロセスで「こんなシーンも欲しい」「こんなメッセージも盛り込みたい」と思っても、撮影スタッフやキャストを再び集め、同じ天候条件で追加撮影を行うことは容易ではありません。

仮に要望を受け入れてもらえたとしても、制作会社側の労力・コストが増大する分、制作費用も膨れ上がってしまうため、企画段階で訴求内容の抜けや漏れがないように十分注意しましょう。

実写とアニメーションは用途に合わせて使い分ける

動画を実写で撮るかアニメーション仕立てにするかで、必要な費用が大きく変動します。

例えばキャンペーン告知などは、端的にメッセージを伝えてスピーディーかつ安価に仕上げられるアニメーション動画が向いています。

一方、認知獲得やブランディングなど、視聴者に「自分ごと化」させたい場合には、ターゲット層に合致する人物を起用した実写動画のほうが効果的だと言えるでしょう。

動画制作を成功させるためのポイント

ここからは、動画制作を成功させるためのポイントを紹介します。

ターゲットを意識する

動画制作時には、企画段階で定めたターゲットを常に意識することが大事です。動画制作にはさまざまな工程があり、準備することも多いため、制作が進むにつれてターゲットが少しずつズレる、ということも少なくありません。

またペルソナ(人物像)を設定せずに制作会社へ依頼することも失敗例のひとつです。性別や年齢層はもちろん、ペルソナの職業や居住地、家族構成なども詳細に想定しておきましょう。

動画のイメージを明確にする

動画制作の際に大切なのが、関係者間でイメージを共有することです。企画段階でしっかりとイメージ共有ができていなければ、すれ違いが生じやすく、高いクオリティは期待できません。

イメージをより具体性を帯びた状態で共有するには、参考動画や資料を集め、企画や絵コンテをしっかり作りこむことが重要です。

動画のイメージに合った制作実績を持つ制作会社を選ぶ

動画の質を高めたい場合や初めて動画を作成する場合は、制作会社に依頼するのが良いでしょう。ただし制作会社といっても、それぞれ強み・弱みが異なります。中には特定のジャンルに特化している制作会社もあるでしょう。

そのため動画のイメージに合った制作実績を持つ制作会社を選ぶことが大切です。実績得意ジャンルなどを制作会社に問い合わせると、イメージに合った制作会社に出会いやすくなります。その際、1社に絞るのでなく、いくつか制作会社に当たってみると良いでしょう。

制作会社と密にコミュニケーションをとる

イメージ通りでクオリティの高い動画を作るには、動画の制作目的やイメージの共有を綿密に行うなど、制作会社との密なコミュニケーションが必要不可欠です。

依頼の前に一度打ち合わせを行い、しっかりコミュニケーションが取れる会社かを見極めましょう。

失敗しないための動画制作チェックリスト

ここでは、動画制作における失敗を防ぐためのチェックリストを紹介します。「予算」「スケジュール」「著作権・使用権」について、以下のチェックリストに沿って事前確認を進めましょう。

予算に関するチェックリスト

費用項目 内容
企画制作費 動画内容の企画を立て台本を作成する人や、ディレクターの人件費
スタジオ費 スタジオをレンタルする費用や、セットや小道具の調達のために発生する費用
移動費 撮影場所まで機材を運搬するために発生する車両の費用や、遠方の撮影場所まで移動するために必要な交通費や宿泊費
MA費 ナレーションの収録、BGMや効果音の挿入といった音の仕上げ作業であるMA(Multi Audio=マルチオーディオ)のためのスタジオ代やエンジニア費用
ナレーション費 ナレーターの人件費
撮影費 撮影に関係するスタッフの人件費や、撮影に必要な機材の手配のために発生する費用
役者・モデル費 動画に出演する人の出演料
編集費 映像の編集に関係するスタッフの人件費
素材費 動画の中に挿入する静止画・イラストなどのビジュアル素材や、動画内に挿入するBGM・効果音といった音楽素材にかかる費用
DVD制作費 完成した動画コンテンツを収めたDVDメディアを作成する費用およびそれを複数枚複製する費用

ひと口に「動画の制作予算」と言っても、制作プロセスをブレイクダウンして見ていくと、実にさまざまな作業が発生し、その分人件費もかかることが見えてきます。

ざっくりとした大枠で検討するのではなく、「企画制作費」「撮影費」など細かな項目の積み上げと考え、削れる項目を決めることも大切です。

なお、企画を膨らましていくうちに「あれもこれもやりたい」と工数が積み上がっていき、予算オーバーとなってしまう場合もあります。そのような場合も、「削れる工数は何か?」つまり「やらないことを決める」ことが重要です。

スケジュールに関するチェックリスト

プロセス かかる時間 内容
企画(プランニング) 約1〜2週間以上 ・目的設定
・絵コンテ作成
・ナレーション、字幕、推定秒数の決定
・キャスティング
・出演者のブッキング
・ロケハン(撮影場所の下見)
撮影準備 約1週間 ・機材調達
・ナレーション録音(撮影前に実施する場合)
撮影 1日以上 ・撮影
編集 2週間以上 ・編集
・動画のチェック
・MA(音の最終調整作業)

動画完成までのスケジュールを作成し、企画から編集までのプロセスでそれぞれかかる時間を可視化しましょう。実写動画の場合は、トータルで1.5〜3ヶ月程度はかかるのが一般的です。

スケジュール管理をしっかりとしておかなければ、PRしたい商品やサービスのリリース日に動画の完成が間に合わないリスクもあります。動画を活用して効果的な宣伝活動を行うためにも、スケジュール管理は徹底しましょう。

著作権・使用権に関するチェックリスト

チェック項目 内容
映り込み 動画の背景にポスターやキャラクター、ロゴなどが映り込んだ場合、映り込みの程度によっては著作権侵害になる場合があります。
音源 楽曲や、商標登録されているサウンドロゴを勝手に動画上で使うのは違法です。JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)が管理する楽曲の利用については、一部の非商用使用が認められているものの、営利団体である企業の活動においては基本的に商用利用にあたるため、許可申請が必要となります。
肖像権 肖像権とは、「自分が写っている画像や動画を守るための権利」のことで、人の顔だけでなく名前にも適用されます。自社の社員であっても、許諾が必要です。
海外コンテンツ 海外コンテンツも国内同様に著作権保護の対象です。ベルヌ条約や万国著作権条約などで国を超えた著作権保護がされているので、たとえ日本のコンテンツではなかったとしても自由に使えるわけではありません。著作権上の違反がないか必ず確認しましょう。
動画配信サイトでの留意点 動画配信サイトでも著作権は当然適用されます。たとえ著作者の情報が記載されていたり、但し書きが書かれていたりしても、著作者に許諾を得ず無断で使用していればそれは著作権侵害となります。
外注した場合の権利 動画制作を外注した場合、著作権は基本的に制作会社に帰属します。依頼側が有するのは、著作権ではなく「著作利用権(著作物を利用する権利)」です。利用可能な範囲は契約ごとに異なるので、外注する際には事前に確認しましょう。

制作した動画が、著作権上の違反を起こしていないか必ずチェックしましょう。例えば、動画に使用するBGMを例に挙げると、市販音源は無断で使用できません。PR動画(営利目的)の場合は、許諾の問題をクリアにしていることが必須です。

違反すると動画プラットフォーム(You Tubeなど)において、配信自体をストップ・削除される場合があります。また、法的に罰則を課されることも考えられます。

動画制作に関するよくある質問

ここでは、動画制作に関するよくある質問とその回答を紹介します。

動画制作の費用相場はどれくらい?

自社で動画を制作する場合、撮影機材や編集ソフトなどの費用がかかります。本格的な撮影機材や照明器具も揃えるとなると、数十万円以上になるケースもあるでしょう。ただし、スマートフォンでも画質の良い動画は撮影できるため、機材などにこだわらなければ費用を抑えることは可能です。

制作会社へ外注した場合の費用は、依頼範囲によっても変わりますが、企画段階から依頼するとおおよそ200万円ほどかかる場合もあります。

関連記事:動画制作の費用相場は?安く抑えるコツや進め方、外注先を選ぶ時のポイント

動画制作を外注した場合の制作期間の目安は?

企画内容にもよりますが、大まかな動画制作のスケジュールは、企画に3週間、撮影に1週間、編集に3週間程度となっています。そのため、動画制作の発注から納品までは約1~3ヶ月程度が目安であると言われています。

また、編集完了後のチェックに時間がかかってしまうと動画の完成日が後ろ倒しになるため、できるだけ早めにチェックすることも大切です。

動画を自作する場合のおすすめツールは?

効率的かつクオリティの高い動画制作を行うためには、プロが使用している有料ソフトがおすすめです。その中でも「Adobe Premiere Pro」は、汎用性の高いソフトとして知られています。

他にも3,500以上のテンプレートが用意されている「Video BRAIN」や、多彩なAI技術が充実している「PowerDirector 365」などもおすすめです。無料トライアルのあるツールもあるため、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

他の動画制作ツールも知りたい方には、以下の記事で詳しくまとめていますので、チェックしてみてください。

関連記事:動画制作ツール・ソフトを22選比較!目的を明確にしてから選ぼう

▼自作したい動画制作初心者むけ!撮影・編集のポイントはこちら

初心者でもできる!動画制作の撮影のポイントと編集方法

初心者でもできる!動画制作の撮影のポイントと編集方法

初⼼者でもできる! 動画制作の撮影のポイントと編集⽅法について説明します。

掲載先の媒体に合わせて動画は変えるべき?

動画が配信できる媒体は数多くあり、ユーザー層や特徴も違うため、それぞれの媒体に合わせて適宜動画を変えて掲載するのが最も効果的です。

またどの媒体を使うかによっても動画の長さや画像の解像度、撮影機材、動画の世界観が変わってきます。

媒体は定期的にアップデートされ、新しい機能が随時追加されます。そのため常に最新の情報をもとに、ユーザーが求める形で動画を編集していくことが大切です。

撮影と編集を別の外注先にするのは有効か?

撮影と編集をそれぞれ別の外注先にすれば、各社の専門性を最大限に活用できることから、クオリティの高い動画制作につながりやすいでしょう。

ただ、制作会社を活用する際は、撮影と編集の両方を一つの会社に依頼することが一般的です。それぞれ別の外注先にすることで、費用が高額になりやすい点には注意しましょう。

動画制作の流れを知って成果の出る動画を制作しよう!  

動画制作を行う際は、目的やターゲットなど決めておくべきことを定めた上で、企画や構成につなげていくことが大切です。

「動画制作って難しそう……」「プロに任せたほうがいいのかな?」「でも、あまり費用はかけられないし」とお悩みの方には、インハウスでの動画制作を強力にサポートしてくれるツールもあります。こうしたツールを活用しながら、動画制作を行うのも良いでしょう。