BtoB企業が陥るテレビCMの間違い。成功に導くCMクリエイティブ6つの秘訣とは?
近年では、求人サービスや経理システムなどのプロモーションのため、BtoB企業がテレビCMを活用する機会が増えています。
テレビCMで得られるメリットには大きく「製品やサービスの認知度アップ」と「ブランディング」の2つがあります。しかし、単にCMを流せば効果が得られるというわけではありません。BtoB企業がCMを制作する際は、あらかじめクリエイティブのポイントを押さえておくことが重要です。
この記事では、動画編集ツール『Video BRAIN』を提供する株式会社オープンエイト監修のもと、BtoB企業のテレビCMでよくある間違いや制作のポイントを解説します。効果の高いテレビCMを制作したいマーケティング担当者の方はぜひ参考にしてください。
目次
- テレビCMの効果
- BtoB企業のテレビCMで上手くいかない理由
- 効果の高いテレビCMを制作する6つのポイント
- BtoB企業のテレビCMは共感できる悩み+独自性のあるストーリーが鍵
- 目的に合わせたCMクリエイティブで効果を出そう
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テレビCMの効果
出典:株式会社サイカ
テレビCMを出稿する企業の広告宣伝担当者に対するアンケート調査の結果によると、他の広告媒体に対するテレビCMの優位性として「消費者からの信頼性」が上位に挙がっています。消費者が感じるブランド価値が向上しやすい点や、印象に残りやすい媒体である点もテレビCMの特徴です。
BtoB企業がテレビCMを活用すると、ターゲットとする企業の担当者や決裁権者から信頼を得られるという効果が期待できます。また、多くの視聴者の目に触れるため、製品やサービスの認知度が高まる点もテレビCMのメリットです。
BtoB企業のテレビCMで上手くいかない理由
BtoB企業がテレビCMを活用する際に上手く行かない理由として、以下のような項目が挙げられます。
テレビCMを放映することが「目的」となっている
テレビCMは、とにかく放映すれば製品やサービスが認知され、Webで検索してもらえると考えられがちです。しかし、実際はクリエイティブをきちんと考え、設計した上で放映しないと狙った成果が得られません。
テレビCMを実施する目的は、商品・サービスの認知度の向上、リーチ獲得をした結果、サービス利用への態度変容を促し、Webサイトへ誘導させることが基本です。
インパクト重視のクリエイティブで、仮にCM自体が話題になったとしても、ターゲットの消費行動に繋がらなければ、投資としては厳しいのではないでしょうか。
そして、クリエイティブ(What)のみならず、ターゲット(Who)に、どのように伝えるかという意味で、どの放送局の、どの番組や時間にどういった尺で出稿するのかも、当然ながら検討する必要があります。
タレントを起用するだけでは成果に繋がらない
多くの企業がテレビCMの広告塔となるタレントを起用していますが、ターゲットに共感され、最終的に自社の商品・サービスのブランドと親和性があることがベストです。
タレントのイメージ=企業(商品・サービス)のイメージにも間接的に繋がるため、むやみにタレントを起用すれば良いというわけではなく、起用するタレントが既に持っているイメージを考慮すると良いでしょう。また認知スコアを上昇させるためには、一定期間は起用タレントを変えないことも重要です。
なお、タレントを起用するためには、放映費とは別で契約費、出演料が発生するため、そこも踏まえたROIを考えましょう。
成功している他社のCMを真似してしまう
初めてテレビCMを制作する場合、過去に成功した同業界の事例を真似してしまうことがありますが、これもよくあるテレビCMが成功にしにくい誤りの一つです。
競合他社のCMが過去に成果を上げていたとしても、プロダクトのフェーズや、事業計画、出稿の目的が異なるため、あくまでも自社にとって何が重要かを考える必要があります。
それがブレると、狙った成果が得られないばかりか、二番煎じとなり、思った以上にターゲットは反応してくれません。自社の目的に合わせて最適なクリエイティブを考えることがベストです。
効果の高いテレビCMを制作する6つのポイント
テレビCMという手段によって、製品やサービスの「リーチ×認知度向上」を狙った態度変容を起こすにあたり、企画段階からいくつかのポイントを押さえて制作することが重要です。
効果が期待できるテレビCMを制作するポイントは以下の6つ。
- カテゴリ認知度によりクリエイティブを工夫する
- ターゲットと目的ありきで考える
- 機能の説明でなく顧客の便宜を第一に考える
- 競合が存在する場合は独自性、差別化ポイントを伝える
- クリエイティブは最低2本以上作る
- Webでの展開、活用も視野に入れる
それぞれ詳しく解説します。
カテゴリ認知度によってクリエイティブを変える
BtoB企業のテレビCMを作る時のポイントとして、マーケット、カテゴリ認知度によってクリエイティブを変えることが重要です。
例えば、「転職支援サービス」や「人事労務系ツール」などはそのカテゴリ認知度が高いため、視聴者は全体として、どんなジャンルのものか想像しやすく、その中で自分たちの主張として、サービス名を連呼するようなクリエイティブも有効です。
しかし、一般的にまだまだ当たり前に知られていない新しい分野(例えばRPA×AIツールなど)は、そのサービスのニーズ喚起、カテゴリ啓蒙、何が解決できうるのかなどをメインメッセージとして訴求しなければ、同じようにサービス名を連呼するだけでは、名称は分かったけど、結局何のサービスだろう?自分に関係あるのかな?と視聴者に伝わりません。
広告主(その業界の当事者)においては、つい皆が当たり前に知っていることだと錯覚しますが、客観的にその商品・サービスが属するカテゴリの認知度を把握する必要があります。
把握するには、調査会社に依頼したりセルフリサーチなどをしたりすることでも補えるでしょう。マーケットの醸成具合と、その中での自社のシェア、ポジションを把握することから始めるのが重要です。
ターゲットと目的に合わせて設計する
誰に対して、どういった態度変容を狙うためのCMなのかを明確にすることも重要です。
「CMのターゲットは経営者層なのか現場担当なのか」「目的は認知とセットで何を想起させるのか、理解〜興味まで到達させたいのか、アクションとしてダイレクトレスポンスを狙うのか」などによって適切なクリエイティブは変わります。
例えば、ターゲットが金融業界の企業の場合には、プロダクトのセキュリティ性の高さを証明できるエビデンスも有効ですし、大手企業など競合他社を意識する性質の企業がターゲットであれば、同様の規模の顧客のインタビューなどを設けるなど、工夫できる点が異なってきます。
機能の説明でなく顧客の便宜を第一に考える
機能はあくまで機能でしかなく、その機能により顧客が得られる利益、便宜を伝えることがポイントです。機能自体やスペックを訴求するだけでは、その先の導入する意味まで落としこめず、よほどの能動的な顕在顧客でない限り、検討が進みにくいです。
機能=便宜になっているものであれば、機能でも問題ないですが、実例としてはそこまで多くありません。
なお、経営者層をターゲットとするサービスでは、結果としてのコスト削減や事業成長(売上、利益)に繋がる示唆を何かしらエッセンスとして入れると良いでしょう。
競合が存在する場合は独自性、差別化ポイントを伝える
特にマーケットが成熟していてレッドオーシャン状態である場合は、自社ならではの顧客ありきの独自性、差別化ポイント、いわゆるPOD(Point of difference)を伝えることが重要です。競合他社の製品とどのような違いがあり、それがターゲットに対してどう有効なのかを提示しましょう。
「他社と同じことがよりカンタンにでき、既存ツールとシームレスに連携できる結果、工数削減につながる」「必要な機能だけをカスタマイズ契約できる」などでも良いでしょう。
クリエイティブは最低2本以上作る
テレビCMのクリエイティブは最低2本以上作ることをおすすめします。訴求を複数用意することで、大きく2つのメリットが生じます。
◎メリット① 2つの訴求を合わせることで、相乗効果が生まれる
例えば某アイドルグループを知ってもらうにはAさんだけを露出するのではなく、Bさんも別軸で露出させた方が有効です。多角的情報により、1つのメッセージではアクションを起こにしくいものも、2つのメッセージがあることでアクションを起こしやすくなることがあります。
◎メリット② 効果検証が出来る
例えば、1週目にクリエイティブA、2週目にクリエイティブB、3週目にABミックス、4週目に3週を通して効果が良かったクリエイティブを起用といった具合に、キャンペーン中に効果を見ながら差し替えが出来るため次回キャンペーンのクリエイティブを制作する際の参考にもなります。
(差し替えは入稿日の都合もあるので、早めに代理店に相談しておく必要があります)
最後に、テレビは「ながら視聴」が多いです。つまり目で見ることだけにフォーカスを当てずに、聞くCMを意識しましょう。音でハッとテレビ画面を見るという動線を視聴者に与えるテクニックが必要です。これは某企業の宣伝部長が大事にしているテクニックでもあります。
Webでの展開、活用も視野に入れる
Webでの活用を予め視野に入れてテレビCMを制作することも重要なポイントです。テレビCMをそのままYouTubeや自社サイトに置くケースは多くあります。
ただ、例えばYouTubeに公開する場合、スマホやタブレットなどの画面で視聴されるケースもあるため、特に強調したいキャッチコピーや商品・サービス名、ラストカットの検索ボックスを大きめに設置したり、字幕を付けたりなど、視聴環境を想定した編集をすることをおすすめします。
また、メイキング動画をWeb限定版として公開したり、興味を持っていただいた顧客用に長めの尺の編集素材を用意をしておくことで、より視聴機会も増え、サービス理解がスムーズに進むでしょう。
テレビCMはテレビという媒体に留めず、素材をWebなどで展開することも考えた上で制作しましょう。
BtoB企業のテレビCMは共感できる悩み+独自性のあるストーリーが肝
CMクリエイティブは100社あれば100通りの最適解があるため一概には言えないものの、成果が出やすい基本的なフレームは存在します。
▼CMクリエイティブのフレーム
冒頭:「共通の悩み」
中盤:「悩みの解決策」「危機感」
後半:「理想の姿」
まず、CMの冒頭では、ターゲットから共感が得られる「共通の悩み」を課題として提示します。共感できる悩みを最初に見せることで、自分事として興味を持ってもらいます。
次に、自社の製品やサービスを「悩み解決の必需品」として打ち出し、「危機感」を煽ります。最後にその製品を利用した後の「理想の姿」を演出する流れが反応を得やすいフレームです。
ただし、フレームを活用しつつ、あくまでも独自性のあるストーリーで内容を伝えることが鍵となります。
BtoB企業のテレビCMを作る場合は「共感できる悩み」「解決策の提示」「乗り遅れる危機感」を基本としつつも、その中で独自性のあるストーリーを組み合わせてアイデアを考えると良いでしょう。
目的に合わせたCMクリエイティブで効果を出そう
CMクリエイティブは時代とともに傾向が変わるため正解はありません。本質的には、テレビCMを放映することで達成させたい目的が何であるかを突き詰めることが重要です。
BtoB企業のテレビCMで成果を得るためには、マーケットやカテゴリ認知度を把握し、ターゲットに合わせたメッセージングを設計した上で、狙った態度変容を促すことが重要です。
今回お話したポイントを参考にテレビCMなどマスコミュニケーションにおいて、ぜひ顧客獲得の新しい手段を検討してみて下さい。
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