2016年秋クールのテレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』｜TBSテレビが、世間の注目を集めています。

新垣結衣さんと星野源さんのW主演で始まった本ドラマ。「逃げ恥」の愛称で親しまれており、ドラマ開始以降、回を重ねるごとに視聴率が上昇していました。

参照：
「逃げ恥」第９話１６・９％！また自己最高更新　一度も数字落とさず ― スポニチ Sponichi Annex 芸能

視聴率が右肩上がりに上昇した結果、残り2回放送は15分の時間拡大版となる運びになっています。

しかし、こうした人気を生んだキッカケが「Webマーケティングにおける細かな施策」の積み重ねだったことは、さほど知られていません。
今回は、「逃げ恥」が高視聴率を獲得するに至ったマーケティング戦略をご紹介します。

ユーザーが理解しやすいホームページの制作

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火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』｜TBSテレビ公式ホームページより

「逃げ恥」のホームページは、届けたい情報を端的にまとめているのが特徴です。

セルごとに1つのメッセージを伝える形式をとり、サイトの訪問者にとって使いやすいフロントデザインになっています。また、のちに紹介する各SNSを活用する際に、ドラマに関する全ての情報源が集約されるホームページの存在が大きな役割を担うことになります。

SNSの活用

LINE

「逃げ恥」の公式LINEでは、ドラマの放送日に合わせたリマインドや、見逃した方向けのダイジェストコンテンツのお知らせ、他の公式SNSの情報などをこまめに配信しています。執筆時（12月12日時点）では20万人以上の方が友達追加がなされており、追加者に確実に情報が届くようになっています。従来ではメールマガジンにてリマインドを促すマーケティングが主流でしたが、スマホユーザー向けにこうした施策を行うことも可能です。

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逃げ恥公式LINEにおける、放送日時のリマインドの様子

運用の特徴としては、公式アカウントの情報だからといって形式的な文にするのではなく、絵文字を多く用いる部分です。
LINEユーザーに対して親近感のあるコミュニケーションを意識し、「逃げ恥」のファンになってもらえる配信を心がけています。

また、以下のように「逃げ恥」とユーザーが送信すると、キーワード返信にて公式アカウントから自動で返答があるような設定もなされていました。
細かな部分ではありますが、こうした積み重ねもLINEアカウントの運用では大切となります。

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LINEクリエイターズ着せかえのキャンペーン

LINEに関する施策としては、「LINEクリエイターズ着せかえ」のサービスを利用し、税込360円にて販売を行っていました。「逃げ恥」のデザインに基づいた着せかえとなっており、ホームページ上に特設ページを作っての告知を行っていました。

参考:
TBS ishop｜火曜ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』

着せかえを販売するメリットは、LINEユーザーが自分のアカウントにて設定を行った場合、LINEを開くたびに「逃げ恥」の存在をリマインドできる点にあります。
友人・知人とLINEにてコミュニケーションを取るたびに、トーク画面の背景に設定された「着せかえ」を目にすることになりため、LINEユーザーに対して自然な意識付けが行うことができます。

自社でデザインを活かせるコンテンツを保有している場合は、こうした施策を打つことも効果的です。

Twitter

逃げ恥アカウントのTwitterは、ドラマ開始以降で最も投稿数の多いSNSとなっています。

フィード・タイムライン表示にてアルゴリズムを導入しているFacebookやインスタグラムとは異なり、時系列順に表示設定をしているユーザーが多いTwitterではタイムリーな投稿が重視されるからです。過去の投稿が繰り返し上がってくるFacebookやインスタグラムに比べ、Twitterではツイートにおける絶対数を増やすことを意識し、ユーザーとのタッチポイントを増やす施策は効果的です。

また、「逃げ恥」のTwitterアカウントをチェックしてみると、ドラマ放送日の火曜日と、そこに近い曜日でツイート数が増えていることがわかります。
2016年12月6日の放送日では10回以上のツイートが確認でき、放送にまつわる内容を細かに情報発信していることが伺えます。

ドラマ放送日の告知としては、こまめにカウントダウンを行っていました。12時間前、6時間前、4時間前、3時間前、2時間前、1時間前と小刻みにツイートし、どの投稿にも写真も必ず追加していました。写真を追加することでスマートフォンやパソコン上でのツイートの表示面積を広げることができ、Twitterユーザーへの注意が喚起されるのです。

インスタグラム

「逃げ恥」のInstagramは、ドラマ撮影中の絵になるシーンを投稿し、写真映えするアカウントになっています。

料理レシピのコミュニティWebサイト『クックパッド』とも連携しているため、ドラマ中で登場する料理を写真が頻繁に投稿されています。食材を活かした投稿内容については、過去にferretにて「衣食住」とインスタグラムの相性が良いという解説をしました。

【校閲ガール、逃げ恥他】ドラマもSNSを使うのが当たり前？テレビドラマのインスタグラム活用事例４選

また、投稿内容の中でもドラマのオフショットのシーンの人気は高く、1,000件以上のコメントが付いた写真もありました。

また、インスタグラム分析ツール『ナビスタ』を使って分析すると、インスタグラムアカウントのフォロワーがテレビ放送日に大幅に増加していることが確認できます。インスタグラムはアルゴリズムによって投稿が表示されるため、放送翌日にも人気投稿として表示され続け、フォロワーが増え続けています。

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Facebook

「逃げ恥」のFacebookは、週に2,3投稿ほどのペースで運用されており、執筆時点でのいいね！数は約7万いいね！でした。
FacebookではWebサイトへの流入を図る運用パターンが多いかと思いますが、「逃げ恥」のアカウントでは写真のみを投稿するパターンも多く見受けられます。

リンクを貼らない場合はユーザーがFacebook内に留まるため、Facebook内でのいいね！やシェアにつながりやすくなるのです。
以下の投稿だと、いいね！数が2万を超え、シェア数も500を超えています。