こちらの記事は2017年11月29日に更新しました。

PCを用いて仕事をする中、私たちは日頃から数多くの種類のファイルを管理しています。その際、意識したいのがファイルの種類を見極める意味で重要となる「拡張子」です。

拡張子とは、ファイル名の後ろに付いている「ファイルの形式」を示した文字列のことです。

・拡張子を変えたら、もともと使っていたファイルで見られなくなってしまった
・csvファイルのグラフに色を付けようとしたらできなかった
・jpegではなく、pngにしてくれと言われたけど依頼内容が理解できていない

拡張子を意識していないと、上記のような事象につながってしまいます。このようなところで躓いてしまっては、本来時間を費やしたい業務に専念できなくなってしまいます。

そこで今回は、拡張子とは何か、また違いのわかりづらい拡張子について解説します。

Web担当者の方はもちろん、ビジネスでPCに関わる方も、きちんと理解を深めましょう。
  

拡張子とは

拡張子とはファイル名の末尾に.(ピリオド)で区切られた文字列を指します。

以下の例をご覧ください。こちらの場合は、ファイル名が「シナリオメール案1212.pptx」で「シナリオメール案1212」の後ろについている「.pptx」が拡張子となります。つまり、このファイルはWindows PowerPointで利用できるファイル形式だというのを、この拡張子は示しています。

Windowsはソフトと拡張子を結び付けていて、ファイルをダブルクリックするだけで拡張子に対応するソフトを開くことができます。ソフトによっては対応しているファイル形式が異なるため、注意が必要です。

例えば、同じ画像編集ソフトであってもAdobe Photoshopでは「psdファイル」を利用できますが、Adobe Illustratorでは利用できません。自分の利用しているソフトは相手も持っているとは限らないので、特殊な拡張子のファイルを共有する際は気を付けましょう。
  

拡張子の種類

Windows関連

マイクロソフトが提供しているWindows Officeシリーズでは、独自のファイル形式を利用しています。PCの基幹システムであるOSの中で、Windowsは世界シェア1位を誇っているため、仕事で利用している方も多いでしょう。拡張子はそれぞれソフトと結び付いているので、対応するものを一緒に覚えておきましょう。

・doc/docx:ワープロソフト「Word」で使われる
・ppt/pptx:プレゼーションソフト「PowerPoint」で使われる
・xls/xlsx:表計算ソフト「Excel」で使われる
・mdb/accdb:データベースソフト「Access」で使われる

参考:
Windows XPがシェア増で3位 - 10月OSシェア|マイナビニュース
  

Adobe関連

Adobe Systems Incorporatedが提供しているソフトにもWindows同様、独自のファイル形式があります。

・pdf:文書ファイルで、読み込む際には「Adobe Acrobat Reader」が必要
・psd:「Adobe Photoshop」で使われるファイル形式
・ai:「Adobe Illustrator」で使われるファイル形式

  

画像関連

画像はものによってファイルの保存形式が異なります。保存形式次第では、画質が荒くなってしまうなどの思わぬミスが発生してしまうので注意が必要です。画像を保存する際は、どのようなファイル形式にするかを意識して保存するようにしましょう。

・jpeg:デジタルカメラの写真データなどで使われるファイル形式
・png:Web上での画像表示を目的としてつくられたファイル形式
・gif:画像データを圧縮して保存するファイル形式。ファイルサイズを小さくできる。
・bmp:Windowsの標準的な画像ファイルの形式

参考:
代表的な「拡張子」について|シャープ
※このWebページは2023年6月現在公開されていないためURL削除しました
  

音声関連

皆さんの中でも、業務中、もしくは自宅で調べ物や作業をしている際、PCで音楽を聴く人もいるのではないでしょうか。ちなみに、この音楽ファイルにも保存形式が複数あります。mp3(エムピースリー)やwma(ダブル・エム・エー)などのファイル名を一度は見たことがあるはずです。

音声関連のファイル形式は音質やサイズ容量が違うため、目的にあったものを選ぶようにしましょう。

・mp3:音声ファイルの中では最も一般的なファイル形式。データ量を約1/11(128kbps)に圧縮することが可能
・wav:主にWindowsで使われるファイル形式。CDとほぼ同じ音質で音楽を楽しめる
・wma:マイクロソフト社が開発したファイル形式。デジタル著作権管理機能が含まれる

  

動画関連

続いては、動画関連です。Youtubeやインスタグラムなどを普段から利用する方も多くなり、PCを活用して動画編集をしているという方も少なくないのではないでしょうか。動画についても保存するファイル形式によって再生できるプレイヤーが違うため、注意してください。

・avi:マイクロソフト社が1992年に開発した比較的古いファイル形式。互換性が高く、多くのプレイヤーで再生できる反面、機能が乏しいところが弱点
・mov:Apple標準のファイル形式で、QuickTime Playerで再生できます。Apple製品と相性の良い点が特徴
・mp4:比較的新しいファイル形式。無劣化で圧縮ができる上、多くのデバイスが再生対応していることから、幅広く活用できる

参考:
映像関連用語集・AVIとは|ダビングセンター
  

拡張子の表示・非表示を切り替える方法

「ファイル名だけで拡張子が表示されていないから、どのソフトで使えるかわからない」と困ってしまった経験はありませんか。

拡張子はPCの環境によっては、表示されている場合とそうでない場合があります。ここでは拡張子の表示・非表示を切り替える方法についてご紹介します。
  

Windows

画像1.png
タスクバーのエクスプローラーを開きます。上部の表示タブ内のメニューにある「ファイル名拡張子」にチェックを入れると、拡張子を表示させることができます。
※上記はWindows10における変更方法です
  

Mac

画像2.png
ファインダーの環境設定ダイアログを開き、詳細タブをクリックします。詳細タブの中にある「すべてのファイル名拡張子を表示」にチェックを入れると、拡張子を表示させることができます。
  

わかりづらい拡張子の違い

「Excelで "csvファイル" をいじったら表がズレてしまった」
このような経験ありませんか。この場合は、ファイルの保存形式が異なると、たとえ同じソフトで開くことができても機能が制限されたり、ファイルの内容が変わってしまったりします。

下記では、特に間違いやすい「csvとxls」「jpegとpngとgifとbmp」「mtsとm2ts」の違いについて解説します。
  

csvとxlsの違い

Excelの保存形式には、xlsのほかに、csvというファイル形式もあります。

スクリーンショット_2016-12-15_14.14.36.png

アイコンの表示も似ていて、ともにExcelで操作することができるので、混同しやすいかもしれません。
  

csv

csvファイルは、どのソフトでも開くことができる文字で構成されたテキストファイルです。ただし、セルに色を付けたり、関数による計算式を利用したりといったことはできません。

xls

xlsはExcel独自のファイル形式です。テキスト情報のほか、セルのサイズやフォントの色、関数の情報などが含まれています。

csv xls(Excelのファイル)
Excel以外のソフトで閲覧できる
文字の装飾ができる
SUM、ifなどの関数が利用できる

csvとxlsの2つの違いをおおよそまとめると上記の図のとおりです。

データベースのデータを出力する際、逆にデータベースにデータを取り込みたい時には、csvを利用することがあります。

ホームページのアクセスを分析するためのツールであるGoogleアナリティクスでも、レポートのデータを出力する際にcsvファイルを利用します。

ともに触れることの多いファイル形式なので、それぞれのできることと、できないことを把握しておきましょう。
  

jpegとpngとgifとbmpの違い

Web担当者であれば、ホームページに掲載するイラストや広告に使用する写真など画像ファイルに触れることも多いでしょう。

画像ファイルの保存形式には、主に、jpeg、png、gif、bmpという4つが存在し、どれもよく使われるので各々の特徴を理解する必要があります。

まずは基本的な知識として、それぞれの違いを覚えておきましょう。

jpeg

● 特徴
・非可逆圧縮方式で、圧縮後元の画像品質には戻らない
・透過はできない
・ 圧縮率の指定が可能

● 使用用途
・フルカラーの写真

png

● 特徴
・完全な透明、不透明、半透明の表現ができる
・フルカラーをサポートしている
・可逆圧縮方式で圧縮後に品質劣化がない

● 使用用途
・透明色を使った画像
・画質劣化をさせたくない画像

gif

● 特徴
・透明色の指定ができる
・アニメーション作成ができる
・可逆圧縮方式で圧縮後に品質劣化がない(ただし256色以上の画像は圧縮前に減色が行われる)

● 使用用途
・256色未満の画像の圧縮
・透明色を使った画像
・アニメーション画像

bmp

● 特徴
・Windows標準の画像ファイル形式
・無圧縮のため劣化がほぼ無い
・無圧縮のためファイル容量が大きくなる

● 使用用途
・画質劣化をさせたくない画像

4つのファイル形式の大きな違いは、*「ファイルを圧縮してファイルを保存する際に、元の画質をキープできるようになっているか否か」*という点です。

キープできるようになっているのが可逆圧縮方式で、pngやgifであれば縮小して保存した画像を後で拡大しても元の画質を維持することが可能です。ただし、jpegでは画像を圧縮してしまうと画像が荒れてしまうこともあるので気を付けましょう。bmpは、圧縮を行わないため可逆圧縮でも非可逆圧縮でもありません。

詳しくはこちらの記事でもご紹介しています。よかったら参照してみてください。

参考:
デザイナーなら知っておきたい!画像ファイルの拡張子比較(JPG、PNG、GIF、BMP)|ferret
  

mtsとm2tsの違い

次は、動画編集を行う方であれば知っておきたい拡張子、mtsやm2tsについてご説明します。名称が似ているため、混同しないように注意しましょう。

mts

こちらは、HDデジタルビデオカメラの規格の1つ「AVCHD(Advanced Video Coding High Definition)」の形式で撮影されたハイビジョン動画の形式です。ビデオカメラに保存するための形式としてmtsと表示されています。

m2ts

mtsの形式で保存した動画をPCに取り込んだ際に自動的に変換されるファイル形式です。mtsと中身は変わりません。
  
つまり、mtsとm2tsは利用する端末によって拡張子が異なるだけでファイルの中身は変わりません。ただし、ハイビジョン動画に対応するソフトは少ないのが現状です。他人に共有する際は、相手がハイビジョン動画を再生できる環境にあるのか考慮するようにしましょう。

参考:
MTSとM2TSの比較
  

拡張子の変換をするには

違うソフトでも利用できるようにファイル形式を変えたいという時は、以下のような方法で拡張子の違うファイルを作成することができます。

各ソフトのエクスポート機能を利用する

ソフトで使っている形式以外の、ほかのソフトで使えるようにファイルを保存できる機能です。主にファイル保存のメニューとして選ぶことができますが、ソフトによって利用できるファイル形式の種類や操作方法が異なります。

拡張子変換ソフトを利用する

Namery、極窓、XMedia Recodeなど、変換できる拡張子によって様々な種類が存在します。
  

拡張子を変換する際の注意点

拡張子を変換する際に注意したいのは、変換したことでデータの改変が起こらないかということです。

例えば、Excelのファイル(xls)をcsvファイルに変換すると、文字の装飾や計算式のデータが消えてしまいます。

また、本来のソフトで見ていた表示と、大きくデザインがズレてしまい、本来意図していた内容でなくなってしまうことがあります。エクスポート機能や拡張子変換ソフトを利用する際は、どの情報が失われる可能性があるのかをよく注意して利用するようにしましょう。

参考:
Windows 10で「拡張子を変更すると、ファイルが使えなくなる可能性があります。」というメッセージが表示される場合の対処方法|LAVIE
  

まとめ

様々なファイルを作成する上で、拡張子を意識していないと思わぬトラブルが起こってしまいます。

自分のインストールしているソフトでしか利用できないファイル形式で取引先に送信してしまい、先方から開けないとクレームになってしまうということもあるかもしれません。

特にcsvとxlsは、Webに関わるデータやグラフの作成で利用する機会も多いので、きちんと違いを押さえておきましょう。