現在、検索連動型広告ディスプレイ広告、リマーケティング広告など、Web広告の手段は多岐にわたっています。
その中でも特に好調なのが、Facebookが提供する「Facebook広告」です。

2004年に開設されて以降急速にユーザー数を増やしているFacebookは、2016年9月の段階で世界の月間アクティブユーザーが17億人を突破し、日本国内でも2,600万人が利用しています。(※1)

Facebookは「現実の人間関係を軸にしたソーシャルサービス」のため、ほとんどの利用者は実名で登録し、生年月日や性別、勤務先など自身の詳細なプロフィールを記載します。
詳細なユーザーデータを保持するFacebookが提供するFacebook広告は、詳細で正確なターゲティング機能で支持を獲得し、2016年9月には世界での利用者数が400万人を突破しました。(※2)

2016年3月の時点では利用者数は300万人でしたが、わずか半年で100万人増加しており、その注目度の高さが窺えます。(※3)

今後もさらに活用する企業が増えると予想されるFacebook広告ですが、SNS広告を実施したことがない企業にとっては、「そもそもどのようなメリットがあるのか」「どう始めれば失敗しなくて済むのか」など、不安に思う点が多々あるのではないでしょうか。

今回は、4年間、Facebook広告運用を実施した株式会社Ad Listingが作成した「Facebook広告完全ガイド」をもとに、Facebook広告の仕組みから導入方法、運用・改善までを解説します。
導入を検討されている方はぜひご一読ください。

Facebook広告の表示位置

まず、Facebook広告がどの位置にどのように表示されるのか確認しましょう。
Facebook広告の表示位置はPC版、スマホ版と合わせて3種類あり、どこの枠に配信するかを選定します。

モバイルの表示位置

FBアプリ.png

モバイルの場合は、ニュースフィードに自然に差し込まれる「インフィード型」の表示形式が採用されています。
2016年4月時点で国内Facebookユーザーの92%がモバイルから利用しているため、クリック率、コンバージョン率ともにPC版に比べると高い傾向にあります。
「画像+テキスト」だけでなく、カルーセルや動画形式での配信も可能です。

また、Facebookと提携してる他のアプリ広告を配信できる「オーディエンスネットワーク」という形式も存在します。
広告は画面下部にバナーとして表示され、誤クリックしやすい配置になっています。)

PC版の表示位置

FB広告PC.png

PC版では、ニュースフィードに差し込まれる形式(インフィード)と、ページ右側の枠に表示される形式の2種類があります。
インフィード型の広告は、モバイルと同様カルーセル、動画形式での配信が可能です。

PC版の場合、モバイルに比べてユーザーの母数自体は少ないものの、すぐにコンバージョンしにくい(スマホでの購入がしずらい)高単価な商品やBtoB案件においては効果が高くなる傾向にあります。

課金方式は?

課金方式はCPM・CPCの2種類

FB_price.png
Facebook広告の課金方式は、CPM・CPCの2種類から選択できます。

CPM・・・「Cost Per Mille」の略。広告が1,000回表示されるごとに課金される仕組み
CPC・・・「Cost Per Click」の略。広告がクリックされるごとに課金される仕組み

表示回数を保証するCPMより、より成果につながるクリック回数を保証するCPCの方が費用対効果が高いというイメージがあるかもしれません。
しかしFacebook広告の場合は、CPM課金の1つである「oCPM配信」が最も費用対効果の高い運用ができる傾向にあります。
「oCPM」は「optimized CPM」の略で、直近のコンバージョンデータを元にコンバージョンする可能性が高いユーザーに広告配信できる仕組みです。

Facebookはクリックするハードルが低いのでoCPM課金を採用した方が良い

冒頭で述べたとおり、Facebook広告は詳細なターゲティング設定ができるのが大きなメリットです。

ただ、Facebookユーザーは「興味はないけどとりあえずいいね!しておく」「何となくクリックした」「間違ってクリック」等の購入意欲が少ないユーザーからのクリックが通常の媒体より多い傾向にあります。
そのため、コンバージョンにつながらないクリックが増えて結果的に費用対効果が悪くなるケースが少なからず存在します。

商材にもよりますが、Facebook広告を運用する場合は、まずはoCPMを採用してみると良いでしょう。

Facebook広告を利用する前に準備するものは?

実際にFacebook広告を出稿する際、事前に用意しておかなければいけないものが3つあります。

1.Facebookページ
2.広告バナー
3.ランディングページ

Facebook広告はFacebookページを利用して配信するので、まずはFacebookページを開設する必要があります。
あとは一般的なWeb広告と同じように、広告枠に表示するバナー画像と、バナーの受け皿となるランディングページを用意しましょう。
バナーの飛び先をFacebookページに設定する場合は、ランディングページを作成する必要はありません。)

バナー画像は、以下の2種類のサイズを用意しましょう。

・1,200×628(通常広告用)
・600×600(カルーセル広告用)

5つのステップを踏めばすぐに配信開始できる

Facebook広告の配信手順は、大きく5つにわけられます。

1.Facebookページを作成する
2.ビジネスマネージャの設定
3.キャンペーンを作成する
4.広告セットを作成する
5.広告を作成する

Facebookページを作成し、広告マネージャーを開けば、あとは案内に沿って設定していくだけで広告セットできます。

広告をセットする際に選択できる「潜在リーチ」数は、最低でも5万人以上を目安にしましょう。
Facebook社は25万~50万人を推奨していますが、5万以上であればある程度安定して広告配信を継続できます。

潜在リーチ数.png
潜在リーチ数の設定画面

Facebook広告運用を失敗させないために知っておくべき7つのポイント

では、実際にFacebook広告を運用する際、どのようなポイントをおさえればいいのでしょうか。

1.広告のパフォーマンス(成果)を確認する

パフォーマンスとは「広告の成果」を指す言葉です。
当然のことですが、広告を運用するのであれば必ずパフォーマンスを確認しましょう。
Facebook広告では、クリックやコンバージョンなどの基本データに加え、「いいね!」の獲得単価や、エンゲージメント広告に対していいね!・シェア・コメントが発生した割合)単価など、様々なデータを確認できます。

特に確認しておきたいのは、「クリックの種類関連度スコア」です。

クリックの種類

Facebook広告は、「いいね!」「シェア」「コメントする」など、クリックできるポイントが多数あります。
クリック位置.png

その中でも、飛び先として設置したランディングページを計測できる「リンクのクリック数」は特に重要です。
上記の広告の場合、「3」と「4」の箇所をクリックするとリンク先に遷移します。

Facebook広告からどれだけランディングページへ遷移したか、Facebook広告経由でどれだけコンバージョンが発生しているかを測ることができます。

コンバージョンをゴールとした場合、全てのクリックを統合して計測してしまうと費用対効果を正確に計測できません。
クリック数の総数だけを見るのではなく、クリックの内訳いいね!なのかリンクを踏んだのか等)も確認するようにしましょう。

関連度スコア

関連度スコアでは、広告ターゲットユーザーとの関連度を確認できます。
Googleアドワーズの品質スコアと同じように、関連度スコアが高いほど優先して表示される傾向にあります。

関連度を決めているデータの詳細はわかっていませんが、基本的に次の2つが大きく影響しているようです。

・広告とターゲットのマッチ度
・広告がユーザーに受け入れられているか

ユーザーにとって興味がない広告が配信されてしまうと、ユーザーはFacebookから離れてしまう可能性が高くなります。
ユーザーの満足度を向上させるためにも、Facebookは広告とターゲットのマッチ度合いを重視していると思われます。

また、広告とターゲットのマッチ度が高くても、ユーザーに受け入れられていない場合は、関連度スコアが下がり広告の配信量が減ってしまいます。

広告がユーザーに受け入れられているかどうかは、「好意的な意見」の項目で確認できます。
好意的な意見は高・中・低の3段階で評価され、広告に対して、「いいね!・シェア・コメント」が付けば付くほど高くなります。
広告のクリック率や設定したURLページでの行動も指標に含まれていると考えられます。)

2.「内訳」の項目を確認する

広告の成果は、管理画面上にある「内訳」の項目から、さらに詳細に分析できます。

Facebook広告は、性別、年齢、地域などどのようなユーザーに配信したいのかを指定できます。

配信後は、実際に配信した結果、どの層で成果が出たのかを確認できます。
例えば日本国内に住む18〜30歳の男女に向けて配信した結果、地域別、年代別、性別ごとの成果を見られます。

また、表示枠別の成果も計測可能です。
先にお伝えしたとおり、Facebook広告には基本的にPC・モバイル合わせて4つの表示枠があります。

まずはテスト的に全ての枠に配信し、どの枠の成果が良いかを検証しながら表示先を絞っていくと良いでしょう。

3.オーディエンス(ターゲット設定)は複数作成する

Facebook広告で設定したターゲットを「オーディエンス」と呼びます。
オーディエンスは複数作成できることができるので、配信時は予算に関係なく、まず2〜3パターンは作成しましょう。

複数作成したオーディエンスに同時に配信することで、どのオーディエンスが適しているのかを一度に検証できます。
成果が出るまでの時間を短縮し、効率的な運用を実現するためにも、広告配信開始時はオーディエンスを複数作成しましょう。

4.オーディエンスは重複させない

オーディエンスを複数作成する時は、各オーディエンスの属性が重複しないように注意しましょう。
似たようなオーディエンスを複数設定し、同時に広告を配信してしまうと、自社のアカウント同士で競合し、成果が悪くなってしまいます。

そのような事態を避けるために、ターゲット層がなるべくかぶらないようなオーディエンスを作成するよにしましょう。

5.「バナー画像」に力を入れる

どの広告媒体でも同じことが言えますが、ユーザーの興味関心を喚起し、行動を促すには、ユーザーの目に触れる部分が重要です。
Facebook広告の場合、いかにユーザーの目を引くバナー画像を作成できるかで成果が変わってきます。

ただ、バナー画像に正解はありません。
バナー作成にできるだけ多くのリソースを割き、多めに作成して、どのバナー画像が適切なのか検証し続けましょう。

6.目的に応じて広告を使いわける

FB_ads_type.png

Facebook広告は、画像を1枚だけ表示する形式が最も一般的ですが、実はカルーセル(スライド)広告やスライドショー(画像の動画広告)、動画広告、キャンバス広告(Facebook上でLPのような広告を表示できる形式)の5パターン存在します。

キャンペーン広告セットの目的はもちろんですが、「広告」そのものの目的に合わせて、パターンを変更して広告を配信しましょう。

例えばカルーセル広告を使用して商品イメージを強く持ってもらったり、動画広告を使って認知度やイメージを上げたり、キャンバス広告を使って複数商品を紹介したりと、広告の特性と配信目的を踏まえた運用が重要です。

7.データ分析を行う

Facebook広告では、様々な配信データを確認することができます。

広告のクリック率やCPAはもちろん、対象となるユーザーの性別や年齢、デバイスでの成果や時間帯等を確認することができます。

データを一つひとつ確認する事で、成果の出ている部分や成果を悪化させている要因を知ることができるので、広告配信に活用していきましょう。

まとめ

Facebook広告は通常の運用型広告とは異なる運用が必要だと思われている方がいるかもしれませんが、「ユーザーとのマッチ度合いを重視する」「バナー画像に注力する」確実に押さえておくべき部分は同じです。

運用型広告の基本を理解した上で、Facebook広告ならではの要素(詳細なターゲット設定、多様なクリックポイントなど)をどう活用すればいいかを考えましょう。

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今回、Facebook広告運用のノウハウをご提供いただいたAd Listingは、2012年からFacebook広告運用代行業務を開始して以降、CPA改善率は97.8%にものぼっています。

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100ページ以上にわたるガイドですが、広告の運用を担当されている方にとっては、お手元に置き、わからないことがあったら参照するように使ってみてはいかがでしょうか。

     Facebook広告完全ガイド.png
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参考:
※1フルファネルのマーケティングプラットフォームとしてのFacebookの活用可能性 | AdverTimes(アドタイ)
※2Facebookの広告主が全世界で400万を突破 | Facebookニュースルーム
※3Facebookの広告主が全世界で300万突破 | Facebookニュースルーム