近年、マーケティング施策において「動画」を活用した事例を多く目にするようになってきました。その一因として、企業規模を問わず動画を無料で配信できる環境が充実してきたことが挙げられます。

果たして企業は、どこに強みを感じ、どのような選定基準でその動画プラットフォームを利用しているのでしょうか。

そこで今回は、動画共有サイトの代表格である「YouTube」と「Vimeo」を取り上げ、どちらが企業の動画マーケティングに適しているか、徹底的に比較検証してみます。

「YouTube」と「Vimeo」、それぞれのメリット・デメリットをきちんと押さえて、自社のマーケティング施策に利用してみてはいかがでしょうか。ぜひご一読ください。
  

最適なプラットフォームを見極めるための3つのポイント

YouTubeやVimeoに限らず、動画をどのプラットフォームやSNSから配信すべきかを検討する際は、次の3つの視点が基本となります。まずは下記を参照ください。
  

1. マーケティングの目的は何か?

動画配信の最終的な目的を改めて確認しましょう。
自社のWebサイト上で商品の使い方を紹介したいのか、それとも大規模なバズを狙いたいのか、など目的によって動画配信プラットフォームに求める機能や特性が変わってきます。
  

2. 視聴者に何を期待するのか?

動画マーケティングの目的は、動画をとおして視聴者との関係性を構築することです。

・どのようなターゲットを対象にマーケティングを展開するのか?

・どのように視聴されたいのか?

・視聴者からどのようなリアクションを得たいのか?

上記について確認し、最適な形で実現できるプラットフォームを選ぶことが求められます。

例えば、動画視聴者をWebサイトに誘導したい場合は、それに関する機能が充実したものを選ぶ必要があります。
  

3. 再生環境としてのクオリティは適切か?

動画コンテンツそのもののクオリティも重要ですが、それを再生する環境のクオリティも無視できません。様々なタイプの動画に対応しているか、高画質で配信できるのか、なども配信前にチェックしておきましょう。

また、Webページに動画を埋め込むことを想定する場合は、プレイヤーデザインがそのサイトの世界観やデザイン性を損なわないことも大切なポイントです。
  

YouTubeの概要とメリット・デメリット

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それではまず、YouTubeの特徴とメリット・デメリットを整理していきましょう。
ご存じのように、YouTubeは世界最大の動画共有サイトです。最新のデータでは、1日に10億時間もYouTube動画が視聴されています。

YouTubeは誰でも無料で動画を視聴でき、アカウントさえ持っていれば無制限に動画を公開することができます。つまり広告を配信しない限り、すべて無料で利用できるのです。
  

YouTubeの主なメリット

1. ユーザー規模

YouTubeの最大の魅力は、その圧倒的なユーザー規模です。公式発表によると全インターネット人口の約 1/3を占める 10 億人以上のユーザーに利用されています。

また総務省の最新統計でも、日本国内の10代~20代のYouTube利用率はほぼ90%で、全年代平均でも66.7%に達しています。つまり、より多くの人に動画を視聴してもらいたい場合、“バズ”を起こしたい場合、YouTubeは不可欠な存在なのです。

参考:
平成 27年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
  

2. SEOに強い

もう1つ忘れてはいけないのが、YouTubeがGoogle傘下の世界第2位の検索エンジンであるという点です。YouTube内では毎日多くの人が目的の動画に出会うために検索を繰り返しています。

さらにGoogle検索でもYouTube動画が上位に表示されやすくなっているため、ユーザーによる検索という行動をとおして、新しい視聴者に出会える可能性を期待できます。
  

3. 動画広告

特定のターゲットに確実に動画を届けたい場合は、動画広告が有効です。
YouTubeはユーザー規模が大きいため、ターゲティングをしても一定のリーチ規模を担保することができます。動画開始5秒後にスキップが可能になるTrueView動画広告プレロール広告の代表格として多く企業に活用されています。
  

YouTubeのデメリット

1. 無数に存在するライバル動画

誰でも動画をアップロードできるため、YouTube内にはありとあらゆるタイプの動画が無数に存在します。そのため、SEOの面でライバルとなる動画が非常に多く、適切にSEOを行わなければ検索時に上位に表示されることは難しいのが現実です。

また“関連動画”に表示される動画をコントロールできないため、自社の動画コンテンツのすぐ近くに競合企業の動画が表示されたり、素人が投稿したクオリティの低い動画が並ぶ可能性がある点も認識しておく必要があります。

例えば、下図のように自社の採用目的の動画の“関連動画”として、他社の採用動画が並ぶようなケースも起こり得るのです。

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2. 動画を公開した時点でコントロールは不可能に

YouTubeには動画を視聴できる人を制限するプライバシー設定機能が備わっています。一般公開したくない動画については「非公開」や「限定公開」とすることで、チャンネル内や検索時に表示されなくなります。

ただし「限定公開」の場合、URLを知っている人であれば誰でも視聴できるため、自分が知らないところでURLが勝手に拡散され、大勢に視聴されていたという事態も起こり得ます。さらに、公開されている再生リストの中に限定公開動画を加えると、再生リストをとおして一般公開されている状態となるので注意が必要です。
  

3. YouTubeの閲覧を制限している企業もある

企業のインターネット利用方針によっては、YouTubeの閲覧を制限している場合もあります。そのため、例えば自社サイトに商品紹介用のYouTube動画を埋め込んでいる場合、YouTubeへのアクセスが制限されている企業の人はその動画を視聴することができません。