ビッグデータ、AIやIoT、フィンテックなど、近年さまざな最新テクノロジーが毎日のようにニュースを賑わせています。
ビジネスやマーケティングのあり方を大きく変える可能性があるものが多いので、Web担当者の方であれば定期的にチェックされているのではないでしょうか。

ただ、新しい技術が世間に浸透するには、いくらかの時間を要します。
例えば2016年に元年と言われていたVRも、その先頭を走るOculusがプロトタイプを発表したのは2012年です。
また、無人配達などのニュースで注目を集めている無人航空機ドローンも、2000年以前から農薬の散布や空撮などに使われた例があります。

そうした中で、一歩先を見据えて私たちがキャッチアップしておくべき新しい技術は、一体どんなものなのでしょうか。

今回は、MIT Technology ReviewでもBreakthrough Technologiesとして取り上げられている、2017年にキャッチアップしたい最新テクノロジー5選をご紹介します。
中にはまだあまり耳にしない分野もあるかもしれませんが、これから研究が進むにしたがって広まっていく可能性のある分野ばかりです。
果たしてどんなテクノロジーが注目を浴びるのでしょうか。

2017年にキャッチアップしたい最新テクノロジー

1. 360度セルフィー

YouTubeが360度動画に対応したのは2015年3月と今から2年前、そしてFacebookが対応したのはその半年後の9月です。
そして2016年の12月にはFacebookは360度のライブ動画にも対応しました。
360度カメラが全世界の出荷台数でカメラ全体に占める割合は、2016年の1%に比べて、今年は4%にまで増えることが予想されており、360度動画のシェアはますます加速的に増えていくのではないかと予想されています。

中でも、RICOHのTHETAシリーズの売れ行きは快調です。
360度カメラの定番として定着しており、4万円弱で購入することができるからです。

これから360度動画はジャーナリズムにも積極的に活用されていくでしょう。
New York Timesやロイターのジャーナリストは、サムスンのGalaxy Gear 360を使って、ハイチのハリケーン被害からガザの難民キャンプに至るまであらゆるものを撮影して公開しています。

また、360度カメラは他の技術との組み合わせで使われていく可能性もあります。
例えばKodakのPixproというカメラは、ドローンに搭載するため、空中での360度動画を撮影する目的で作られました。

また、ロサンゼルスのスタートアップ企業Giblibが開発した野球ボールほどの大きさの360fly 4Kカメラは、患者の外科手術用のライトに接続することで手術の様子を撮影し、手術そのものの改善だけでなく、手術室の編成方法や手術室のスタッフがどのように対話するかを生で捉えることができます。

360度カメラは多くの電力やメモリを必要とするのでこれまでの携帯電話には搭載されていませんでしたが、今後はスマートフォンにも標準で搭載される可能性は十分にあります。

というのも、360flyやALLieのような360度カメラにはクアルコム製のプロセッサが使われていますが、これはSumsungのハイエンドスマートフォンにも使われているからです。

ほとんどの360度カメラにはディスプレイやビューファインダーがなく、これまではカメラをBluetoothなどで接続するという面倒な作業が必要でしたが、スマートフォンに標準で360度カメラが搭載されれば、そうした面倒さが改善されるでしょう。

2. 顔認証による決済

時価総額10億円の中国の北京近郊にあるスタートアップ企業Face++(「プラスプラス」と読みます)は、この数年で中国における顔検出システムの進展に大きく寄与しました。
実際、この顔検出システムによって、顔をカメラにかざすだけで支払いができるだけでなく、施設へのアクセス許可を出したりすることができるようになりました。
すでに中国の1億2000万人以上が利用しているスマートフォン決済アプリのAlipayでは、顔を身分証明書の代わりにしてお金を送金することが可能になっています。

また、中国政府はIDカードで使われている写真のデータベースを持っているので、各都市に設置されている監視カメラから犯罪者を特定する技術をも有しています。
驚くべきことに、数年前の映像や写真であったり、画質が不鮮明であっても、ある程度正確に識別できるようです。

中国で検索エンジンや他のサービスを展開するBaiduも、顔認証の技術を研究している企業のひとつです。
現在Baiduでは、人々が顔をかざすことで電車の切符の代わりになるシステムを開発しています。
例えばこれが日本でも可能になれば、Suicaのような非接触端末を財布やポケットから出さなくても、顔パスで多くの観光スポットを回ることができるようになるのです。

現在のところ顔認証技術は中国が圧倒的に先を行っていますが、韓国のSamsungがGalaxy S8に虹彩認証を搭載するなど、他国も別の角度から追随しています。
まるでSF映画のような話が隣国ですでに起こっているので、日本に広まるのも時間の問題かもしれません。

3. 量子コンピューティング

以前では想像もできないようなパワーを備えたコンピュータが、この5年間で形になろうとしています。
そのコンピュータは「量子コンピュータ」と呼ばれ、IntelやMicrosoft、GoogleやIBM、オランダのQuTechなどが研究を重ねてきました。

量子コンピューティングでは、従来のコンピュータのトランジスタが情報の基本単位としてきた「0」と「1」の「ビット」に類似した「量子ビット」(通称キュービット)を扱いますが、「0」と「1」の両方を同時に表すことができるのです。
これによって、従来型のコンピュータの「1億倍高速」になると言われています。

参考:
グーグルの量子コンピューター、従来型PCよりも「1億倍高速」と発表|WIRED.jp

量子コンピューティングはまだ発展途上ではありますが、最終的にGoogleの量子コンピューティングチームは約50キュービットのスーパーコンピュータを作りたいと考えています。

4. 強化学習

人工知能が行う学習方法の中でも、最も注目を集めているのが強化学習(Reinforcement Learning)です。
この機械学習の方法はロボット工学やゲーミングなどでよく使われる機械学習の方法で、どの行動が最大の成果(報酬)をもたらすかを、アルゴリズムを通して試行錯誤して突き止めていく手法です。
Alphabetの子会社であるDeepMindが開発した強化学習で碁を打つコンピュータプログラムAlphaGo(アルファ碁)が昨年3月に李世乭(リー・セドル)9段に勝利したのを憶えている方もいるでしょう。

この分野がなぜ注目を浴びているのかといえば、ソフトウェアが従来の意味で全くプログラムされていないからです。
例えば昨年12月にバルセロナで開催されたAIに関するカンファレンスで公開された運転シミュレーションでは、自動運転車が訓練するだけで合理的に安全に走行する方法を学んでいきます。
訓練中に、制御ソフトが操作を何度も繰り返し実行し、試行ごと指示を少し変更していきます。

強化学習は、例えばラットが迷路を抜け出す時に正しい道順と間違った道順を学習してそのデータに格納し、新たな学習によってさらにこれらの値を更新するような大規模で複雑なタスクを行います。
しかし、近年ではディープラーニングの発達によって、迷路を抜け出す時も、碁盤に打つ碁石の位置も、画面上のピクセルを分析するときも、瞬時に素早く「期待値」を求めることができるようになりました。

イスラエルの自動運転技術を開発するスタートアップMobileyeは、テスラ・モーターズを含む十数の企業の自動運転車に使われている安全技術を買い月しています。
Mobileyeは今年の下半期にBMWやIntelと提携して試験用のソフトウェアを開発する予定で、GoogleやUberも強化学習による自動運転技術を開発しています。

5. 受動WiFi技術

現在、インターネットに接続されたデバイスはどんなに小さなものでも、バッテリーか電源コードが必要です。
しかし、近くのWiFi信号から電力を受け取ってガジェットを作動させる仕組が商業化に向けて動き出しており、この2〜3年で実用化するのではないかと注目を集めています。

無線充電を行える規格のひとつとしてQi(チー)がよく知られていますが、無線で電力を転送すること自体は真新しいものではありません。
しかし、従来の電源のないデバイスに電波を飛ばして通信を行うことは困難だと言われていました。
ラジオやテレビ、通信デバイスから発せられる電波は、ほとんどエネルギーを保持していないからです。

ところが、弱い無線信号であっても、実際にはバックスキャッタリングと呼ばれる原理を使ってガジェットに電力を送る方法があることが見つかりました。
もとの信号を発生させる代わりに、そのデバイスの1つが受け取った電波を内部で反射させて新しい信号を作ります。

Suicaなどに利用されている非接触型カードのRFIDチップもバックスキャッタリングを使っていますが、特殊な読み取りデバイスが必要で、リーダー自体が干渉を起こすため、数センチ以内でしか通信することができませんでした。
しかし、ワシントン大学で研究されている受動WiFIと呼ばれる技術によって、距離の問題も解決されます。

WiFi通信をバックスキャッタリングさせることで、電池不要のガジェットをコンピュータやスマートフォンなどの従来のデバイスに接続することができます。
実験では、受動WiFiのプロトタイプが最大約30メートル(100フィート)の距離でデータを送信し、壁をすり抜けて接続に成功しました。

研究者によれば、受動WiFiは既存のWiFiの10,000分の1相当の電力しか消費しないので、小型デバイスでもより遠い距離で通信することができます。
また、受動WiFiのデバイスはおそらく1ドル未満と安価になるだろうと考えられており、防犯カメラや煙探知機に搭載すればバッテリーを交換する必要もなくなるでしょう。

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まとめ

いずれの技術も現在進行形で研究が進んでおり、私たちの手元にやってくる日もそれほど遠くないかもしれません。
今のうちから定期的に情報をチェックし、自社のビジネスに応用できるものがあればすぐに取りいれてみましょう。