社員を「採用アンバサダー」に

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ポジティブなクチコミを拡散させるマーケティング活動として、熱心なユーザーをアンバサダー(親善大使)に任命し、報酬の代わりに特典を提供する「アンバサダーマーケティング」という手法があります。その代表例として、日本国内で最も有名なのがネスレ社の「ネスカフェアンバサダー」です。

ネスカフェアンバサダーは、アンバサダーに応募して選考を通過すると、バリスタがオフィスに無料で提供されるという仕組みで、コーヒーメーカー「バリスタ」の法人向け販売の売上増に大きく貢献しました。

採用活動においても、こうした「アンバサダーマーケティング」的な発想が必要になります。

営業担当者だけが営業活動を行うのではなく、消費者がアンバサダーとなって商品の販売に貢献したように、人事・採用担当ではない、現場の社員に「アンバサダー」になってもらい、自社の採用活動に貢献してもらうことが重要です。これこそがリファラル採用がほかの採用手法と決定的に違うユニークな点になります。

広告を見ても全く興味が湧かなかった商品でさえも、実際にそのサービスを使ったユーザーから勧められたら興味が湧いてしまうものです。それと同様に、実際にその会社で働く社員から「正直、まだまだベンチャーで整っていないところもあるけど、うちの会社はこんなやりがいがあるよ」と勧められると、聞いたことのない社名の企業でも興味を持ってしまうものです。

社員をアンバサダーとして活用する「リファラル採用」は、時として求人広告以上のインパクトをもたらすのです。
  

「エンゲージメント」が全ての出発点

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社員をアンバサダーとして採用活動に巻き込むためには、まずは採用活動についてきちんと伝え、理解してもらう必要があります。

どの職種で採用活動していて、それぞれの職種で求めているのはどんな人なのか。
その職種の仕事内容は何で、どんなやりがいがあるのか。

採用活動にかかわる情報をきちんと伝えなくてはなりません。
  
ただし、採用活動への協力を呼びかけたところで、全ての社員がアンバサダーとしてリファラル採用に貢献してくれるわけではありません。社員をリファラル採用に巻き込む上で重要なのが、「エンゲージメント」という概念です。

エンゲージメント」とは、社員の会社に対する愛着心や『自社で働くことを自分の知人・友人に薦めたい』という気持ちを指します。『自社で働くことを自分の知人・友人に薦めたい』と思えていない、エンゲージメントが低い社員に対して採用活動への協力を呼びかけたところで、のれんに腕押しです。

逆に、『自社で働くことを自分の知人・友人に薦めたい』という気持ちの強いエンゲージメントが高い組織や個人に対して協力を呼びかけると、高い効果を発揮することができます。

そのため、リファラル採用を始めるに当たっては、社員のエンゲージメントを可視化する手法として知られるeNPSなどを活用。自社社員のエンゲージメントが高いのか、あるいは低いのかをきちんと可視化すること、またエンゲージメントが高い組織や個人を特定し、適切に巻き込んでいくことが重要になります。
  
参考:
eNPSとは?|NPSラボ