近年、「SNSを活用して新たな顧客との接点を」という観点から、様々な目的でFacebookやTwitter、LINEの運用を行う企業が年々増加しています。

当社(株式会社サイバー・バズ)では、それらの効果を高める施策の1つとして、2006年から現在に至るまで "インフルエンサーマーケティング" を軸に数多くの提案・実績を重ねてきました。

当時はブロガーを中心とした施策を提案していましたが、FacebookやTwitter、そして現在ではインスタグラムやYoutubeなども含め、多様化するSNSに適応した広告提案が主流になりつつあります。

そこで今回は、当社がお客様から特に数多く頂戴するお問い合わせ、 "インスタグラムのインフルエンサーを起用したプロモーション"に関する事案として、その効果検証のポイントをご紹介します。

今後、インスタグラムのインフルエンサーを起用した広告施策をご検討されている方や、過去にインフルエンサーを活用した施策を実施したものの、広告効果の捉え方がわかりづらかったという方にオススメです。
  
参考:
インフルエンサー【Influencer】|ferretマーケティング用語辞典
レビュー数が2倍!SNS運用でインフルエンサーを正しく活用する方法|ferret
  

インスタグラムインサイトを活用した効果検証

効果検証の際に重要となる指標

現在、インスタグラムではアカウントをFacebookページリンクさせてビジネスプロフィールとすることで「インスタグラムインサイト」を確認することができます。アプリ版のみ

当社では起用するインフルエンサーがビジネスプロフィールの連携を行っていた場合、インフルエンサー本人の承諾を得た上で下記項目の開示を依頼し、広告主へのレポートの改善を行っています。

開示依頼をする項目例

・ フォロワーの属性情報(年齢層・性別)
・ 投稿のインプレッション
・ 投稿に対するいいね数、コメント数、保存数
※ 一部のインフルエンサーのみ情報開示が可能です

これまでインスタグラムのインフルエンサーを起用した広告については、当社でも、「フォロワー数」「投稿に対するいいね数」「コメント数」から、想定リーチ数とエンゲージメントの観点を軸にレポートを行わせていただくことが中心でした。しかし、今後はもう一段、数字を深ぼることで、広告のターゲットに適切にリーチができているか、実際にどのくらい投稿が表示されているか、を少しでも明示できるように努めています。

この背景としては、インスタグラムが2016年から、特定のアルゴリズムにより時系列順の表示から "ユーザーへのオススメ度" を加味したタイムライン表示へ変更したことが挙げられます。タイムライン閲覧者が高い興味を示すだろう、という想定のもと投稿が表示されていますが、このアルゴリズムにより、フォロワー全員にインフルエンサーの投稿が必ずしも届くわけではないことがわかります。
  

見逃せない!ハッシュタグからハッシュタグ検索ユーザーの流入

インスタグラムは、ほかのSNSと同様にタイムラインを中心としたフロー型のメディアでありながら「ハッシュタグ検索」という機能により、過去投稿された情報がストックされ、それをユーザーが能動的に取得するという行動が見受けられます。
  
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引用元:調査結果|株式会社サイバー・バズ

  
上記より、インスタグラムのインフルエンサーを起用する広告施策において、下記のパターンが考えられます。

A. フォロワー数よりもリーチ力が高いパターン
B. フォロワー数よりもリーチ力が低いパターン

Aの場合は、タイムラインへの高い表示確率をもっている可能性がある、もしくは、ハッシュタグ検索によりユーザーが流入することでリーチを最大化している可能性が高い、と想定できます。

つまり、フォロワー数も1つの指標となりますが、インスタグラムインサイトを活用することで判明する、投稿インプレッションも今後重要な指標となります。

※ただし、現在はインスタグラムインサイトでフォロワーの属性を確認することは可能ですが、投稿インプレッションに対する閲覧者の属性は確認できません。
  
参考:
調査結果|株式会社サイバー・バズ
  

インフルエンサーの正しい活用方法とは

ここからは、実際に当社で運営を行っているインスタグラムアカウント『RipreTV』を事例として挙げ、インサイト情報をもとに具体的なチェックポイントを解説していきます。
  
参考:
RipreTV(リプレTV):コスメのレビュー・ハウツー動画を中心に運営を行っているアカウント
  
まず、本アカウントのフォロワーの属性について下記項目を中心にご説明します。

・性別
・年齢層
・人気の場所
・フォロワーの平均滞在時間/曜日

  
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図1:フォロワー属性(提供元:サイバーバズ)
   ![7118_003e.png](https://ferret.akamaized.net/images/591bc1c37f58a86d8e00011e/original.png?1494991298)
図2:フォロワーの地域と曜日別滞在時間(提供元:サイバーバズ)
   実際にアカウントのデータを確認してみると、コスメのハウツー動画を中心に投稿を行っていることもあり、女性比率が高く、年齢層も18-24歳、25-34歳の層が中心になっていることがわかります(図1参照)。ここでフォロワーの【属性】をチェックし、そのアカウントからの投稿により、広告のターゲットにアプローチができているか否かを確認します。

次に、フォロワーの地域属性と、滞在時間の比較です(図2参照)。一部のアカウントでは、投稿時に付与しているハッシュタグの影響で、海外からのフォロワーが多い場合もあるため、"フォロワーの地域"も注視するポイントです。

インフルエンサー施策におけるレポートのチェックポイントからは、別軸の内容となりますが、図2のインサイトデータを見る限り、インスタグラムユーザーの休日と平日とでの時間による"滞在時間"の変化も確認ができます。日曜日は9時以降から21時にかけて徐々に伸びが確認できます。

一方で、平日の滞在時間を確認してみると、21時に滞在時間のピークを迎えている点は日曜日と同一ですが、出勤時間である7時、8時、お昼休憩時間の12時(図中では24時と記載)、13時にも滞在時間の山ができていることが確認できます。これにより、投稿時間のマネジメントも各インフルエンサーの投稿において気にすべきポイントとなります。

続いて、投稿に紐づくインサイト情報もチェックをしてみます。

『RipreTV』の動画投稿から、4月に投稿を行った2つの動画をもとに、投稿に対するインサイト情報を比較してみました。
  
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図3:RipreTVの2投稿におけるインサイト比較(提供元:サイバーバズ)
   商品Aと商品Bの動画投稿を比較すると、再生回数、インプレッションでは、商品Bの方が多いため、一見するとユーザーに対しての反応が良かった=広告効果が高かった、とも考えられます。しかし、いいね!数や、投稿の保存数を比較すると、商品Aの方が、商品Bよりも、いいね!数は約1.6倍、投稿の保存数は約2倍の数字が確認できます。

また、当時『RipreTV』のフォロワー数は、約2,000人だったことから、タイムライン経由で閲覧したユーザー以外に、投稿に付与したハッシュタグから、10,000人以上のユーザーがそれぞれの投稿に流入してきているだろうことも想定されます。

インサイト情報を活用することで、フォロワー数によるみなしリーチだけではなく、投稿の正確な表示回数(インプレッション)や、投稿に対するユーザーの反応率(いいね!数/保存数)を、明らかにしていくことができます。

今回、再生回数が近い数値ながら、エンゲージメント面で2倍近い差が出た要因としては、動画のクリエイティブや、投稿時に付与したハッシュタグ、といった点だと想定しております。
  

まとめ

ここまで、当社で運用中のインスタグラムアカウントのデータを中心に、インスタグラム施策における "インスタグラムインサイト" の重要性を説明させていただきました。

現在、当社では引き続きインスタグラムのインフルエンサーに対して、インサイト情報の開示を依頼しております。

今後も、注目度が高まっているインフルエンサーを起用した広告施策を少しでも可視化することで、インフルエンサーマーケティングの実情をわかりやすく解説していきます。また、マーケッターの皆さまが自身でもPDCAを回していけるサイクルを構築して参ります。

まずは、当記事を通じて得た知識をこれからのSNS運用に活用してみてください。