BtoBの営業担当者であれば、展示会で得た顧客リストが実際の案件にまで繋がらないという課題を抱えている方が多いのではないでしょうか。
一度はアポを取ろうとしたものの、「今はまだ予算がないから検討していない」などと返答があって以来、接点を持つことができていない場合もあるでしょう。
そういった購買意欲の低い顧客を制約まで導いていくために必要となるのが「リードナーチャリング」と言う考え方です。

今回はリードナーチャリングの基本知識を解説します。
リードナーチャリングでは直接訪問やテレアポ以外にも、広告やSNSなどWebを利用した情報発信も重要になってきます。
実際に顧客と対面で交渉を行う営業マンだけでなく、マーケティング担当者にとっても押さえておきたいところでしょう。

リードナーチャリングとは

リードナーチャリングとは、ニーズが表面化していない潜在的な見込み客をリスト化し、様々な手法でアプローチしながらニーズを育て、成約に結びつける手法を指します。

リードナーチャリングがどういったものか、スーパーマーケット向けに冷凍庫を販売するまでを想定して考えてみましょう。

冷蔵庫を販売するため飲食・小売店向けの展示会に出店し、そこでブースを訪れた人に簡単なアンケートに答えてもらいます。
アンケート結果の中には、今すぐ自社の商品が欲しいわけではない人いることに気づくでしょう。

そういった方にはすぐにテレアポをかけるのではなく、「冷凍庫を選ぶポイント」「冷凍技術の進化の歴史」といった、ユーザーの興味や関心を引く内容を配信します。
メルマガの内容を読むうちに、ユーザー自身も冷凍庫の必要性を感じはじめ、ネットで検索しながら各社商品の比較を行います。

しかし、この時に比較される会社に自社が入らなければ意味はありません。
そのため、ユーザーに自社を見つけてもらえるよう、検索連動型広告リスティング広告)を配信します。

一連の流れにより、冷凍庫を選ぶポイントを学び、自社の商品知識を知った購買意欲の高い顧客が育成されます。
顧客自身の意欲が高まっているので、その後行うテレアポは展示会直後のテレアポよりも高い成約率を実現できるでしょう。

このように見込み客のリストをもとに顧客を育成していく方法がリードナーチャリングの手法です。

また、リードナーチャリングの前行程として、展示会でアンケートををとるなど見込み客のデータを集めるリードジェネレーションが必要だということも合わせて覚えておきましょう。

リードナーチャリングが必要とされる背景

「そんなまどろっこしいことしなくても営業ならめげずに何度もアタックすればいい」と言う方もいるかもしれません。
では、何故リードナーチャリングが必要とされるのでしょうか。
BtoBBtoCの2つのビジネスを想定して考えてみましょう。

BtoBの購買傾向

企業を対象とした商品・サービスの場合、BtoCと比べ一般的に購入検討期間が長いとされています。
実際、電通とLinkedInが共同で行った調査によるとITベンダーに受注するまでの検討期間について、消費者向けのソフトウェアの場合、最低でも12ヶ月以上の検討期間をかけているという回答結果が得られました。

参考:
[BtoBビジネスにおける企業の意思決定プロセスとは|電通報]
(https://dentsu-ho.com/articles/3709)

ソフトウェアや工業機械のような今後のビジネスに大きな影響をもたらす高額な商品の場合、予算を調達したり、上長や法務に対してなど社内調整を行ったりと何かと時間がかかりがちです。

そのため、企業に販売する側も検討しているステップに合わせたリードナーチャリングが必要となります。

BtoCの購買傾向

BtoBよりも検討期間が短いとされるBtoCでも、リードナーチャリングが有効な場合があります。

株式会社日本経済社が行った調査によると、20代〜30代までの家庭の場合マンションの購入検討期間は半年以内が5割と一番多いですが、1年以上かけたという人も20%を超えています。

このようにマンションや自動車など検討期間の長い商品は、中長期的なアプローチが必要とされるでしょう。
また、近年では、ホームページに訪れたからといってすぐに購入せず、価格.comや食べログのような口コミサイトで検索しているユーザーがいることも見逃せません。

自社の商品やサービスを知ってすぐに購入するのではなく、複数のサイトを比較している顧客をいかに自社の顧客へと育てていくかというリードナーチャリングの考え方が必要となるでしょう。

参考:
[なぜインターネット広告の効果は「見えづらく」なったのか|ビジネス+IT]
(http://www.sbbit.jp/article/cont1/33565)
大規模マンション購入者調査|nikkeisha
ネット上の口コミ情報に関するアンケート調査(第4回)|マイボイスコム株式会社

リードナーチャリングのステップと対応する手法

リードナーチャリングを実際に行っていくには、見込み客の分析が欠かせません。
具体的にどういったステップを踏んで、リードナーチャリングを組み立てるのか紹介しましょう。

1.商品が購入されているプロセスを分析

自社が抱えている顧客への聞き取りを行ったり、今までの取引でどのような商談ステップがあったかを確認したりと、まずは自社の商品・サービスがどのように購入されているかを分析します。

WebであればGoogleアナリティクスを活用して、顧客がどういったチャネルからアクセスし、ホームページのどこを見ているのかを確認しましょう。
AISASAIDMAのような消費者が購入するまでのプロセスを明らかにしたフレームワークに落とし込んで考えるのも有効です。

また、同時に自社の想定する顧客像を「ペルソナ」と設定し、顧客がどういった行動を行い、自社に設定していくかをカスタマージャーニーマップとして考えるのもいいでしょう。

参考:
カスタマージャーニーマップって?作成するために最低限知っておきたい基礎知識と活用事例

上記の記事では、それぞれ、消費者が購入するまでのプロセスとカスタマージャーニーマップの基礎知識が学べます。
ぜひ合わせて参考にしてみてください。

2.見込み客のデータを集計

顧客が自社の商品・サービスを購入するまでの道筋が定まったら、行動に移していきましょう。展示会のアンケートや名刺交換などで得た見込み客のデータをまずは集計してリスト化します。

3.見込み顧客の階層分け

見込み客リストを見て、購入意欲ごとに階層わけを行っていきましょう。
1で作成したプロセスに、見込み客リストの情報を落とし込んでいきます。

4.階層ごとのアプローチ

階層ごとにアプローチの方法を考え、実行していきます。
例えば、まだ購買意欲が小さく、製品への一般的な知識もない顧客へは「週1回製品知識を教えるメルマガを配信し、より深く学びたくなった時に来れるように商品説明セミナー開催の案内を月1回配信する」といったアプローチが考えられるでしょう。

アプローチ方法としてはメルマガセミナーのほか、SNSやホームページでの情報発信、検索連動型広告リスティング広告)などが挙げられます。

アプローチを行う際には、1つの施策で終わるのではなく次のステップへ登れるような導線を用意しておくことも大切です。それぞれの施策がどのように機能しているのかを慎重に見ながら、最適化をはかっていきましょう。

まとめ

リードナーチャリングにおいて大切なのは、顧客の購買意欲に合わせたアプローチを行うことです。そのためには、顧客の行動や課題をよく注視し、現在どのような検討段階にあるのかを考えるようにしましょう。

その際には、AISCEASやAIDMAといった消費者の行動を明らかにしたフレームワークを用いると体系的にまとめることができます。

最初から売りつけるのではなく、商品やサービスを利用するイメージをつけてもらい、購買意欲を高めた上で商品・サービスを販売することで、導入後のミスマッチも防げるでしょう。