*「ポートフォリオ」*という言葉を、一度は耳にしたことはあるのではないでしょうか。

ポートフォリオは、資産運用を行う際の投資先の分配状況・資産の全体の内訳を示す金融用語として使われることもありますが、仕事を行う個人がこれまで携わってきた作品集としても使われます。

ポートフォリオは、フリーランスとして活躍している人が作るものと考えられやすいですが、実は組織に属していても、自分の経歴や実力を示すために一役買ってくれます。
ポートフォリオは資料をコンピュータでまとめて印刷する場合もありますが、近年ではいつでもどこでも編集できて閲覧も可能な「ポートフォリオサイト」という形で、Webサイト形式でまとめていくのも一般的です。

今回は、クリエイターがポートフォリオサイトを作るポイントポートフォリオサイト作成に役立つツールをご紹介します。

ポートフォリオとは?

*ポートフォリオ(Portfolio)*とは、もともと書類を運ぶ平らなカバンのことを意味していました。
自分の作品を平らなカバンに入れておくことから転じて、自分の作品を周囲に伝えるための自己作品集のことをポートフォリオと呼ぶようになったと言います。

特に、さまざまな「作品」を生み出すクリエイター(ここではライターやUXデザイナー、プログラマーなども広義にクリエイターと呼んでいきます)にとって、自分の過去の作品を紹介するのは非常に大切なことです。

過去にどんな仕事を手がけてきたのかを知れば、クリエイターとしての実力を伝えることができ、人材的な魅力を適正に評価することができるので、新しい仕事を手にいれる可能性もあります。

ポートフォリオは従来、A4やA3サイズの紙にプリントしたものを、クリアファイルやバインダーで束ねたものが一般的でした。

しかし、近年では、グラフィックデザイナーやイラストレーターだけでなく、WebデザイナーやUIデザイナー、フロントエンドエンジニアやプログラマーなど、さまざまな*「Web上の動く作品」を取り扱うクリエイターも増えてきたので、「ポートフォリオサイト」*としてホームページにまとめることが多くなりました。

ポートフォリオサイトを作る際の3つのポイント

ポートフォリオサイトは、単なる「作品集」ではありません。
というのも、そもそもの目的は*「相手に自分の人材的魅力を伝える」こと*であり、「作品自体の魅力を伝える」ことを目的とした一般的な作品集とは、自然と構成の組み立てや意図が変わってくるからです。

作成する上で気をつけなくてはならないことは、「ポートフォリオを見ている相手は、一般ユーザーのようにあなたの作品を鑑賞するためにポートフォリオを見ているのではない」ということを強く認識することです。

つまり、ビジネスを取り交わす相手があなたがどんなクリエイターなのかを見極めなくてはならないという「立場」や「目線」からポートフォリオを逆算して作成していくことが、最も大切なことなのです。

過去の作品の中で自信のある作品を厳選するのはもちろんのこと、以下の内容を充実させることが重要です。

1. これまでやってきた仕事の幅が伝わるか

ポートフォリオを作成する際には、自分の得意なことばかりを伝えがちです。
しかし、得意分野ばかりがフィーチャーされたポートフォリオだと、クライアントの仕事がその得意分野に合致しなければ、仕事につながらない可能性も出てきます。

得意分野ばかりに固執することなく、タイプ別にさまざまなジャンルでバラエティに富んだポートフォリオにしていきましょう。

2. 最後まで読んでもらえるか

ポートフォリオのボリュームにも依りますが、最後まで見てもらえなければ、せっかくのチャンスを失ってしまうことになりかねません。
最後まで見てもらうためには、冒頭でインパクトのある個性的で強烈な作品を選んで冒頭に持って来ることが大切です。

最後までスムーズに見てもらえるかは、同じ作品を扱っていても、その順番によって変わってくるかもしれません。

3. 読んでもらったあとにどんな仕事につながりそうかイメージしやすいように意識する

ただ単に作品を並べるだけでは、単なる「作品集」になってしまいます。
そのプロジェクトの中で自分が何を担当して、どう考えて、どう行動したかを残しておけば、ポートフォリオの読み手が「じゃあこの仕事をお願いしよう」と仕事を渡すイメージが膨らんできます。

ポートフォリオが出来上がったら、一度読み手として読んでみて、どんな仕事につながりそうか、イメージして読んでみましょう。

ポートフォリオサイトを作成するのに便利なツール

1. Portfoliobox

Portfolioboxは、無料から始められるオンラインポートフォリオ構築サイトです。
ポートフォリオだけでなく、ギャラリーやコマース、ブログなど、多くのものを管理することができます。

テンプレートでは、「写真家」「デザイナー」「アーティスト」「メーキャップアーティスト」「モデル」「建築家」など、さまざまなクリエイターのためにテンプレートが用意されています。
しかし、こうしたテンプレートは、一般的なWebサイトビルダーで「テーマの使用」を強制されるのではなく、高度にカスタマイズが可能です。

ドラッグ&ドロップで簡単に作品を並べられ、動画も挿入することができます。
FIND CREATIVESと呼ばれる外部サイトと接続することで、世界中のクライアントに自分を売り込むこともできます。

2. Adobe Portfolio

Adobe Portfolioは、Adobeからリリースしているポートフォリオ作成サービスで、Creative Cloud会員は無料で利用することができます。
いくつかの基本的なレイアウトを選ぶだけで、個性的なポートフォリオサイトが出来上がります。

また、Behanceとも連携しているので、Behanceに作品をアップロードしているユーザーは、それらの作品をAdobe Portfolioで使用することもできます。
Typekitのフォントも使用可能で、レスポンシブ完全対応でどんなデバイスでもストレスなく閲覧することができます。

3. Salon

Salonはコードの知識がなくとも誰でも簡単にポートフォリオサイトを作成できるサービスです。
しかしながら、珍しいのはアドバンスユーザー向けにHTMLCSSの編集も可能で、広告表示は無料アカウントでも一切ないという点です。

ポートフォリオはもちろん、写真家のフォトアルバムやデザインのモックアップを並べたムードボード、あるいはユーザーがマウスを動かしてイメージを動かすようなインタラクティブなサイトも作成が可能です。

4. Strikingly

Stlikinglyは、起業家やクリエイターが自分のホームページを簡単に持つことができるサービスです。

ECストア、ブログ、アナリティクス、サインアップ、問い合わせなどの機能も付いてきます。
また、24時間、メールやチャットでもサポートをしてくれるのも魅力的なポイントです。

5. Ameba Ownd

Ameba Owndは、サイバーエージェントが運営しているホームページ作成サービスです。

コーポレートサイトやブログはもちろんのこと、ポートフォリオサイト構築に必要なテンプレートも用意されています。
日本発のサービスということもあり全体的に使いやすく、オシャレなテンプレートが多いのも特徴です。

まとめ

ポートフォリオサイトを作っておけば、面接のような限られた時間で見てもらうといっただけでなく、気軽に周りのひとにも自分の作品を公開して自由なタイミングで見てもらえるので、仕事が増える可能性も大きく高まります。

とはいえ、ポートフォリオをまとめる際には、一定のボリュームが必要になります。
自分の実績をアピールして評価してもらう際には、できるだけ多くの作品に触れてもらった方が有利であることに間違いはありません。

たとえ未経験で自主制作の作品しかないクリエイターであっても、プロとしてやっていけると思えるものを判断基準として、パソコン画面1つ分にまとまる程度のボリュームは確保しておきたいものです。

相手が知りたいのは、あなたの強みはもちろんのこと、どのような案件にまで広く対応できるのかということも含まれています。

読みやすく、魅力的なポートフォリオサイトを作ってアピールしていきましょう。