SNSマーケティングの本質は「熱心なファン」と「強力なコミュニティ」

飯髙:
学校でクラスの人気者を押さえるイメージですかね?僕も体感として似たような経験がありました。本を買うとき、皆が知っているような著名人の言及ツイートを見ても「いいね」を押すだけ。でも、友人のモリジュンヤさん(@JUNYAmori)にオススメされたら買っちゃうんですよね。結局リアルな繋がりを持っている人が重要なのかなと思います。これがSNSマーケティングの本質なのかなと思います。

僕の知り合いにフリーの編集ライターをやっている佐藤友美さん(@SATOYUMI_0225)という方がいるのですが、去年7万冊くらい書籍を売っているんですね。

『女の運命は髪で変わる』という本を出版されたとき、美容室の人に紹介したんです。そこで美容師さんはお客さんにオススメして、拡散するように売れました。美容室って小さくても強力なコミュニティを持っていますよね。

江藤氏:
そういう波及の仕方が最高ですね。親和性や嗜好の近いと思う人、信頼できる人がする「オススメ」は強力ですね。影響範囲は狭くとも、リアルの繋がりの強いコミュニテイにリーチするのは非常に大切だと思います。

飯髙:
熱心なファンや強力なコミュニティーに対して、企業が依頼を行いたい場合、どういった場所から切り開いていけば良いと思いますか?

江藤氏:
1人でもいいので、まず最初にコミュニティの中にいる人と信頼関係を築くことだと思います。たとえばスナップマートの場合は、サービスをリリースする前に、きれいな写真をアップされているインスタグラマーさんに写真を提供して欲しいとお願いして、サービスローンチ前に1万枚以上の写真を集めたんですけども、そのときに活躍してくれたのが、弊社に今年新卒で入社した川北(@moron_non)なんです。

彼女は学生時代からインスタグラマーとして活動しているんですが、当時「こういうサービスを作るので協力してくれませんか?」とインスタのDMで声をかけたら、うちのビジョンにすごく共感してくれて。それで、インターンとして周りのインスタグラマーさんたちに声をかけてくれたんです。

私1人で声をかけて回っても「怪しい人だな」と思われてスルーされていた可能性が高いと思うんですけど、コミュニティの中の人と信頼関係が築けたおかげで、そこからはみなさんに快く協力していただけました。

実はスナップマートがローンチしたときは1日に1万人以上の登録があったんですが、広告費がほとんどかけられない中でもそういうラッキーなスタートが切れたのは、このときに協力してくださったインフルエンサーさんたちのおかげです。

昨今、インフルエンサーというとお金でしか動かないようなイメージを持たれていますが、決してそんなことはないと思います。その商品やサービスのコンセプトや「なぜあなたにPRを頼みたいのか」といった理由を丁寧に説明することが大事じゃないかと。

飯髙:
信頼関係を築くことが大切なんですね。一方で、インフルエンサーのリーチ数で広告が販売されていることもありますが、「リーチ数しか見ていない」状態になってしまう流れは、良くないなと感じています。

江藤氏:
そうですね。リーチ数だけでなく、フォロワーの内容をしっかり見た方が良いと思います。たとえば、インスタグラムの場合、外国人フォロワーが圧倒的に多いアカウントがありますよね。

日本でしか営業していない企業が、そういったインフルエンサーにプロモーションを頼んでも反応が得られないのは明らかです。インスタグラムの場合はシェアの機能がないのでフォロワーの数が重要にはなってくるのですが、それよりもまず「誰に情報を届けたいのか」をしっかり考えるべきですね。

飯髙:
コミュニティに行くのが良いと思うんですけど、いまだに「リーチ数」だけに惑わされてしまう企業も居るじゃないですか。これは根深い問題ですよね。

江藤氏:
私もリーチ数ばかりを気にする風潮についてはなんとかしたいなと思っています。noteなどでSNSマーケティングについて言及したりしているのは、微力ながらそれが啓蒙になればいいなと。「とにかくリーチ数を」といわれても「それは本質と違いますよ」ということは伝えていきたいですね。