会話形式でユーザーへの返答を行う「チャットボット」がWebマーケティングの分野で大きく注目されていることはご存知でしょうか。

2016年にFacebook、LINEの2つの開発環境がオープン化されたことで、FacebookとLINEのメッセージ機能を企業独自のチャットボットとして開発することができるようになりました。さらに、AI技術の進展により、機械的な返答を超えた人間に近い返答が可能になるとの期待も高まっていrます。

ですが、「チャットボット」はBtoC向けのサービスであり、BtoB事業には関係ないという印象をお持ちの方もいるかもしれません。
そんな中、担当者たった一人でチャットボットを導入し、BtoB向け事業のスケール化に成功した企業があります。

今回は、森永製菓株式会社 おかしプリントの事業責任者渡辺啓太氏から、ホームページ内にチャットボットを導入した経緯と成果についてお話をお伺いしました。

参考:
2016年はチャットボット元年?今知りたい「チャットボット」の基本的な仕組みと4つの事例を紹介|ferret [フェレット]

森永製菓株式会社の「おかしプリントサービス」とは

おかしプリントトップページ.png
https://okashiprint.com/biz/

今回インタビューした森永製菓株式会社では、「おかしプリント」というオリジナルパッケージのお菓子を作成できるWebサービスを展開しています。

「おかしプリント」はオリジナルのパッケージで包んだ「ハイチュウ」や「カレ・ド・ショコラ」を最小ロット10個から発注できるサービスです。

個人向けと法人向けにそれぞれ特設サイトが用意されており、法人向けサイトでは画面上にチャットボットが表示される仕組みとなっています。

森永製菓株式会社の新規事業として立ち上がった「おかしプリント」

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 ◆プロフィール
 渡辺 啓太(わたなべ・けいた)氏
 2009年森永製菓株式会社入社。
  営業からアンテナショップの運営・店舗の立上・商品開発担当を経て2015年4月より現職。
  現在は、森永製菓初のWebサービス「おかしプリント」の事業拡大を目指すほか、起業意欲にあふれたベンチャー企業や中小企業と組んで、当社の経営資源を活用したアイディアから事業立上げを目指す「アクセラレータープログラム」の運営責任者としても活躍。

ferret:
「おかしプリント」自体のサービスの背景をお聞かせください。

森永製菓株式会社 渡辺氏(以下 森永製菓 渡辺):
2014年4月森永製菓株式会社内に新規事業を担う、新領域創造事業部が発足しました。
この事業部では社員それぞれが、新しい事業の芽を生み出すことをミッションとしています。
その中で新規事業の1つとしてオリジナルのお菓子を作成できるサービスを考えました。

ferret:
お菓子プリントはBtoC向けとBtoB向けそれぞれ展開されていますが、最初からどちら向けというのはあったのでしょうか。

森永製菓 渡辺:
最初にスタートしたのはBtoC向け事業からですが、実は最初からBtoB向け事業まで見据えて展開してきました。
新規事業というのは、事業の成長を目指す以上、大きなマーケットを狙わなければいけません。そのため大きな成長を目指せる法人向けのノベルティサービスを最初から目指していました。

ferret:
なぜ、最初からBtoB向けに展開されなかったんでしょうか。

森永製菓 渡辺:
BtoBの事業領域は森永製菓株式会社自体が慣れていなかったためです。営業もスーパーマーケットやコンビニエンスストア、その他小売店など、すでに出来上がったルート営業が中心でした。
その点、BtoCであれば「10本からオリジナルのハイチュウを作成できるサービスが森永製菓から出たよ」と、Web上で盛り上がってくれるのではないかと考えました。
そのため、広告としての意味も込めて、BtoCからスタートしたという経緯があります。
その後、半年ほどBtoC向け事業を展開していくうちに、BtoB向けにもニーズがあることがわかってきたため、BtoB向けの特設サイトを立ち上げることとなりました。

ferret:
こういったWebサービスとして立ち上げた新規事業は過去にはあったのでしょうか。

森永製菓 渡辺:
いいえ、Webサービスは初めてです。
私が関わったものだと、3歳から6歳までの未就学児を対象にしたキョロちゃんの知育アプリなど、新しいビジネスへの挑戦はいろいろとおこなってきています。私は関わっていませんが、チョコボールの特設サイトの運営など商品のマーケティングとしてWebを利用することもありました。ですが、Webでビジネスを行うというのは初めてです。