2015年頃から急激に聞かれるようになったIoTをという言葉をご存知でしょうか?インターネットにおける新たな仕組みとして、近年注目を集めています。
情報通信の可能性が爆発的に広がると同時に、その他さまざまなデジタルマーケティングにも活用できるとされています。

今回は、「モノのインターネット」とも言われる「IoT」の基本概念と直近の事例をご紹介します。

IoTとは?

IoTは「Internet of Thing」の略で、従来の通信機器だけでなく、あらゆる「モノ」がインターネットに繋がる仕組みを指します。
従来インターネットに接続することができるのは、主にパソコンと携帯電話、スマートフォンなどに限定されていました。

IoTはそういった通信端末に限らず極小のセンサー、タグなどを通して、家電といったありとあらゆるものがインターネットに繋がります。

あらゆる物がインターネットに接続されることで、それまでパソコン経由でしか出来なかったような通信が、クラウドを経由して直で送受信されるようになります。
IoTの仕組みの簡単なところでいうと、「Amazon Dash Button」が例に挙げられます。

Amazon Dash Buttonは手のひらサイズの小さなタグのような物で、ボタンを押すとクラウドに情報が飛び、事前に登録されているAmazonの会員情報と照らし合わせ、注文が確定します。

それまでパソコンやスマートフォンのブラウザやアプリからしか出来なかった通信販売が、物理的なボタン一つで完結してしまいます。
Amazon Dash Buttonは、洗剤などの日用品や食品、飲料品などの日常的に繰り返し補充して買い足すような商品が主にラインナップされています。

センサーで検知した情報を、センサーから直接クラウドに送信し、何か異常があればアラートを飛ばすことも可能です。駐車場の各スペースにセンサーを設置し、リアルタイムの空車状況のデータをクラウドにアップし続けることができます。

また、集められた膨大のデータを処理する技術として、マシンラーニング(AI)などが使われていることもあり、AIとIoTは併せて注目されている言葉と言えます。

IoTにかかる期待、経済効果

ネットーワーク機器開発会社CISCOが2013年に出しているホワイトペーパーによると、IoTに技術の進歩によって、2020年には500億個の物がインターネットに接続されることになると予想されています。
2000年の時点では2億個だったことを考えると、爆発的な数の増加と言えるでしょう。

また、2013年から10年間での試算では、全世界で14.4兆ドルの経済効果をもたらすと言われています。日本だけでも7,610億ドルの経済効果があると予想されています。
これらは物がインターネットに接続されることで起きる工場や物流などのオペレーションの改善、また人間や機械などの動きをセンシングして記録することで可能になるデータ活用などの価値も含まれています。

参考:
シスコ、Internet of Everything(IoE)に関するホワイトペーパーを発表 - Cisco

IoTの具体的な事例

スペインのバルセロナシティはIoTをいち早く導入し最先端のユースケースを作っている都市です。バルセロナシティでは街全体の公共機関などさまざまなものをインターネットに繋げることで、より効率的な公共サービスの提供を行っています。

スマートパーキング

バルセロナシティでは駐車場に小型のセンサーを設置し、実際にそのデータを提供しています。これにより、駐車場を探し回ることで起こる渋滞を緩和し、市の駐車場収入を増加させました。また、観光客の滞在時間が長くなり、観光業での収益が増加したと言われています。

スマートライティング

バルセロナシティにある街灯の一部はインターネットに接続されています。センサーで検知された交通量状況のデータを元に、そのエリアで最適な明るさに調節することで、街全体の電気代を削減し省エネ化を実現しました。

スマートバスストップ

バス停もインターネットに接続されています。バルセロナシティのバス停にはサイネージが用意されており、バスの運行状況や、行政に関する情報を発信しています。デジタルサイネージを利用した広告も配信されています。また、バス停を起点にWi-Fiスポットの提供もされているため、外でも便利にインターネットを利用することが可能です。

ゴミ処理、収集管理

バルセロナシティでは、ゴミ収集ボックスにもIoTが応用されています。ゴミの収集ボックスにセンサーが設置されており、ボックス内の空き状況や腐敗状況などをインターネット経由でトラッキングしています。

これにより、ゴミの蓄積状況に合わせて、リアルタイムで最適な収集ルートを導き出します。ゴミが溜まっていないエリアには収集に行かないという判断が可能になるのです。これによりゴミ収集作業が効率化し、結果として市の経費削減に繋がっています。

参考:
スマートシティに関する世界の最新ベストプラクティスご紹介

IoTをデジタルマーケティングへ活用

IoTでさまざまな物がインターネットに繋がることで、デジタルマーケティングの世界にも大きな影響を与えると言われています。IoTが広く普及することによって、デジタルマーケティングにどう活用できるのでしょうか。

まだ実際に導入されている事例はあまりないですが、IoTで出来ることとして期待されているアイデアは多様に語られています。

それまで取ることの出来なかったフィジカルなデータが蓄積できる

物がインターネットに繋がることによって、それまで取得することの出来なかったあらゆるデータを集めることが可能になります。センサーなどを通して取得したデータを活用して、マーケティングにいかすことができます。

デジタルマーケティングにおいて、顧客の行動データというのは基本的にはデジタル上で取得できる範囲に限られていました。Google Analyticsなどを利用してWebサイトにアクセスしたデータを活用してデジタル施策に役立てるといった手法は確立されてきましたが、デジタル上の接点のみにしぼられました。

IoTの技術を利用することで、あらゆるフィジカルな情報をデータ化することが可能になります。例えば、ウェブショップではなく実店舗に訪れるお客さんに対して、来店してどのような導線で移動し、何を手に取って、何を買ったかの情報を監視カメラなどでセンシングし、その都度データを貯めていくことが可能になります。

従来、実店舗で取れるデータは、レジで購買に至った人に限定されている場合がほとんどでした。IoTでは、監視カメラとAIを組み合わせ、映った人の性別を判断しデータとして貯めることができます。

また、どのような商品を買っていく人なのか、はたまた立ち読みして帰ってしまう人なのかといった行動パターンをデータとして蓄積できます。
通常監視カメラで録画したものを目視で確認しなくてはなりませんが、カメラやセンサーがインターネットに繋がれば自動で処理しクラウド上にデータを送ります。これらをマーケティング調査に役立て、より顧客の行動の実態に沿った施策を考えることに活用できると期待されています。

需要と供給のバランスを取る

IoTに発展によって、あらゆることの需要と供給のバランスがリアルタイムでより効率的にとれると言われています。
バルセロナシティの事例にもあったように、駐車場の空き状況と駐車場を探している人とをリアルタイムで繋ぎガイドすることで、渋滞緩和だけでなく売上促進にも貢献しています。

また、ゴミ収集の事例でも、ゴミの回収が必要なボックスに限定して回ることで経費の削減につながっています。IoTによって需要と供給がどんどん可視化されることによって、「需要があるかもしれない」「供給があるかもしれない」といった情報の不足を補い、効率的に需給のバランスを取ることが可能になります。

まとめ

IoTは発展段階にあります。可能性は多く語られていますが、実現しているケースはまだまだ多いとは言えません。しかし、今後確実に活用されるケースは増え、伸びてくる分野です。今後も、IoTの動向からは目が離せません。