ユーザーをファンにするためには何が必要か?

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お子様の成長段階に応じてメールマーケティングを実施した富士フイルム

九法氏
3社に共通するのは、ユーザーの話をしっかりと聞き、商品に反映させるという点でした。続いて2つ目のテーマに移りたいと思います。

商品を1度だけ購入するユーザーはたくさんいると思うのですが、熱心なファンに育て上げるためには、どうアプローチしたら良いのでしょうか。

板橋さん、フォトブックは作るタイミングがわからず、継続するのが難しい印象があります。次につなげるためにどういったアプローチをされましたか?

板橋氏:
株式会社ベネッセコーポレーション様の「こどもちゃれんじ」という教材でコラボさせていただきました。お子様の1歳、2歳、3歳と誕生日ごとにフォトブックが作れますというキャンペーンです。毎年ではなく、毎月行ったんです。お子様の成長は早いですから、1歳と1歳1ヵ月では変化が大きいんですよね。

そこで、「ハイハイしているお子様の写真の撮り方」「歩き始めの撮り方」のようにお子様の誕生日の日にちに合わせてメールをお送りしていました。

九法氏:
そうなんですね。ただ、頻繁にメールが届くことをよく思わないユーザーもいるのではないでしょうか?そういったユーザーに向けて対策はされましたか?

板橋氏:
コンテンツの中身にこだわりました。宣伝のようなメールではやはりよく思っていただけないと思うので、お子様と写真というテーマで役に立つコンテンツを提供することを心がけました。また、頻繁にテストを繰り返し、最も反応のよいメールは何かを調査していました。

既存のVAIOファンのためにファンミーティングを開催

九法氏:
ありがとうございます。次に、花里さんにうかがいたいのですが、7割の法人向けのお客様がいる一方で、3割が個人のお客様ですよね。この3割の個人に対して、ファンで居続けてもらうための取り組みはありますか?

花里氏:
個人だけではなく、法人も個人の集合体だと思っていますので、全てのお客様に対して所有したくなるデザインとか、性能にこだわりました。また、従来のソニー時代からのお客様とのエンゲージメントを高めるために、ファンミーティングを開催しました。

ソニー独立後に初めて行ったイベントでは、「VAIOが戻ってきてくれた」と涙を流してくれたお客様もいらっしゃいました。直接コミュニケーションを取ることが大切だと感じ、定期的に行っています。

返礼品のモノとしての良さではなく、地域としての良さを伝えることが大切

九法氏:
次に武内さんにうかがいたいのですが、「ふるさと納税」はコストパフォーマンス重視で都度選ばれる方も多いと思います。その中で、リピーター獲得に成功した自治体様の取り組みの特徴などありますか?

武内氏:
おっしゃるとおり、ふるさと納税の寄付者の方々には、製品のコストパフォーマンスや単体の魅力で選ばれる方が多いです。ところがリピーター獲得に成功している自治体様は、「点」ではなく「面」での取り組みをされています。

モノがいいから寄付するのは点ですが、モノが良くてもリピートにはつながりません。そこで、地域の背景とか「面」を伝えているんです。例えば、高知県の四万十町様はウナギを返礼品としています。ウナギはもちろんモノとしての良さですが、そこに「四万十川の環境が綺麗だから美味しいウナギになる」と地域の話を添えられています。

また、ふるさと納税の本質は「寄付」なので、その寄付を「綺麗な四万十川を守るための環境保全」に利用し伝えています。仮にウナギが好きでなくとも、四万十川が好き、高知県が好き、自然が好きと派生していくんです。自治体としてのリピートが大切だなと感じました。