ネットショップ運営者の皆様は、現在のネットショップ業界全体のトレンドがどうなっているか、把握できていますでしょうか。

自社サービスの関連情報や、競合の情報を調べることはあっても、業界全体を把握できている人は少ないかもしれません。
「今はどのサービスが人気なのか」、「ユーザーはどのような経路をたどってネットショップに辿り着いているのか」など、ネットショップを運営されているのであれば、そのような動向を知っておくに越したことはありません。

今回は、アクセス解析ツールである「 Similar Web Pro」の業界分析機能を使って、国内ネットショップ業界のアクセス状況(2015年度2月分)を分析してみました。

1.アクセス数概要

先月のアクセス数は約5億

アクセス数

先月は、ネットショップ全体で約5億のアクセスがあったようです。
自然検索からの流入も多く、SEO施策を行っている企業が多いことが見てとれます。

ネットショップ業界は「ロングテール戦略」を重視するべき

Web業界、特にネットショップ業界では「ロングテール戦略」を重視するべきです。
(ロングテール戦略の詳しい内容はこちら

ロングテール戦略とは、簡単に言うと「1,000個売れる商品を1つ持つのではなく、1個売れる商品を100個作ること」です。
先駆者であるAmazonは、全体売上のうち、売れ筋商品の売上は2割で、残りの8割は購入数の少ないニッチ商品で形成されています。
1つのヒット商品に頼らず、一定数売れるものを数多く保有することでリスクを分散させ、売上を安定させることができます。

SEOに関してもほぼ同じ概念で進めるべきです。100万アクセス稼ぐような1つのビッグキーワードでの上位表示を狙うのではなく、1アクセス稼げるキーワードを100万用意することで、1つのキーワードでの順位が下落してもダメージの少ない状態を作り出すことができます。

検索エンジンはGoogle優勢に

検索エンジンの使用状況にも大きな変化が出ており、GoogleとYahoo!が拮抗していた状態から、Google優勢の時代になってきたようです。

2.アクセスシェアランキング

Amazon、DMMで全体のアクセスの4分の1を占める

 Amazon、DMMで全体のアクセスの4分の1
次にドメイン別のアクセスシェアランキングを見てみましょう。
1位はAmazonで、ネットショップ全体のアクセスのうち15%を占めています。

5億アクセスの15%なので、単純計算で約7,500万のアクセスがあることになります。平均PV(1回のアクセスで閲覧したページ数の平均)は約8PVということは、7500万×8で月間PVは6億という計算になります。

次いでシェアが多いのがDMMで約12%。DMMは2015年1月頃から急速にアクセス数を伸ばしています。(その要因と思われるものについては後述)
この2つのサイトで全体の約4分の1のシェアを占めています。

サイト内回遊が異常に多いZOZOTOWN

 ZOZOTOWN
シェアランキング上位の中で注目なのは、平均PV数が16PVと突出した数字を出している13位のZOZOTOWNです。
ユーザーが回遊しやすいような設計が施されているのでしょう。アパレル系のネットショップ運営者は、ZOZOTOWNのページを参考にしてみましょう。

3.検索キーワードランキング

Amazonの一人勝ち

検索キーワードランキング

検索キーワードランキングでは、1位「Amazon」2位「アマゾン」、また17位にも「あまぞn」というタイプミスのキーワードまでが入り、Amazon単独で全体の検索の約10%を占めています。
「ネットで買物をするならAmazon」、「Amazonならなんでもある」というブランディングが成立している証拠です。商品点数の多さや短期間での発送の徹底など、顧客がネットショップに求める条件を突き詰めたAmazonの戦略がこのような結果に結びついているようです。

また、検索キーワードに「刀剣乱舞」や「艦これ」などあまり見慣れないワードがランクインしていますが、これらはDMMゲームズが提供するオンラインゲームの名称です。
「艦これ」は2013年4月にリリースされ、今も根強い人気を誇っており、「刀剣乱舞」は今年1月にリリースされ、爆発的な人気を獲得しています。
これらのゲームタイトルがDMMのアクセス数の底上げに貢献しているようです。

4.SNSからのアクセスランキング

流入元として多いのは依然Facebook、Twitter

SNSからのアクセスランキング

様々なSNSがリリースされ、instagramやvineなど急成長を遂げているものも少なくありませんが、現状、ビジネスにおいてはFacebookとTwitterが有用のようです。
特にFacebookからの流入はSNS全体からの流入の約4割を占めており、ネットショップ運営におけるFacebookの影響力は絶大となっています。

今後の伸びていくと予想されるのは3位に入っているYouTubeでしょう。人気YouTuberが商品を紹介し、ネットショップに誘導させるという流れは今後も加速していくと予想されます。

SNSからの流入が多いのもAmazon

 SNSからの流入が多いのもAmazon
SNSからの流入が多いドメインを見てみると、ここでもやはりAmazonが17%と圧勝です。
Amazonは、アフィリエイトプログラムの先駆者でもあり、様々なサービスとアフィリエイトプログラムの連携が取りやすい設計にしています。SNS流入元ランキングで4位にランクインしていた「はてな」のブログサービスに関しても、Amazonのアフィリエイトプログラム(Amazonアソシエイト)が簡単に組み込めるようサービス連携されています。

5.メルマガからのアクセスランキング

メルマガからのアクセス数もAmazonの1人勝ち

メルマガからのアクセスランキング

メルマガからの流入においても、やはりAmazonの1人勝ち状態です。
Amazonは、ユーザーが過去に購入した商品から、おすすめの商品をピックアップし、メルマガにて紹介しています。Amazonが誇るレコメンド機能をフル活用し、メルマガにもパーソナライズされた情報を組み込むことで高い効果が得られているようです。

まとめ

こられのデータを見ると、改めてAmazonの強さが理解できます。
SEO、SNS、メルマガ等、ネットショップ運営におけるあらゆる施策を徹底的に突き詰め、最適化させてきた結果なのでしょう。
Amazonは「地球上で最もお客様を大切にする企業でありたい。」と公言しており、顧客視点を重視しています。
その徹底ぶりから顧客満足度も高く、たびたび話題にあがるほどです。

参考:
たゆまぬ挑戦を生む企業文化の秘密アマゾン・ウェイ:挑戦、顧客志向、楽観主義 The Institutional Yes|リーダーの決断|ダイヤモンド・オンライン

赤字でも顧客重視の姿勢を変えず、より満足度を高めるためのイノベーションを繰り返してきたからこそ、このような圧倒的な支持率につながるのでしょう。

そして、現状はAmazonやDMM、楽天などの大手が市場を支配していますが、ここ数年の間で、ネットショップ業界を取り囲む環境は激変しています。大きなトピックとしては下記の3つが挙げられるでしょう。

1.ネットショップ作成サービス「BASE」や「STORES.jp」など手数料無料のネットショップサービスが増加。(ネットショップ大手のYahoo!も手数料無料化に踏み切る)
2.決済サービスも、手数料無料の「SPIKE」がリリースされたことをきっかけに「LINE pay」など手数料無料の決済サービスが続々リリース
3.オンラインフリ―マーケットなどのCtoC業態の躍進

これまでのネットショップ業界が覆るようなサービス革新が相次いでリリースされた結果、以前に比べネットショップ開設のハードルは圧倒的に低くなっています。
BASEは流通総額が10億円を超えており、Yahoo!ショッピングも、手数料無料にした途端、登録店舗数が2万店から13万店に激増しました。

このような相次いで起きた改革はネットショップ業界にどのような影響をもたらすでしょうか。今後の動向に期待です。

今回使用した分析ツール

気になるサイトがまるわかり最強の競合サイト分析ツール「SimilarWeb PRO

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