これからのアプリマーケティングで重要になるのは「情報の信頼性」

飯髙:
最後にアプリの運用において、今お二方が重要視しているものと、何故それを重要視しているのかをお話しください。

菅原氏:
DELISH KITCHENとしては、今後情報を取得する先がテレビからスマートフォンに移っていく中で、*「いかにアプリをマスメディア化させるか」*という点を考えています。
具体的には、受動的であっても楽しんで頂けるようなコンテンツを作ろうとしています。
また、マスメディアでも問われている「情報の信頼性」を担保していきたいです。

これまで、インターネットでは無断転載やキュレーションメディアなどの問題が取り上げられてきました。
DELISH KITCHENは、プロによる正しい情報を提供することで、*「DELISH KITCHENのレシピで料理作ったら絶対おいしいものができるよね」*と誰からも信頼されるメディアでありたいと思っています。

宇佐美氏:
菅原さんの後半のお話とも被ってしまうんですけども、いかにメディアのエンゲージメントを高めるかを一番大事にしていますね。
それこそほとんど引用のみで構成されるキュレーションメディアの場合、「Googleのアルゴリズムの特性上PVこそ集まっても、実際にメディアへのエンゲージメントとしてはどうなんだろう?」という疑問はあると思っています。

例えばユーザーが、オルチャンメイクを実際に試した事がない人が書いている情報を頼りにしてトライした結果、その通りにいかず失敗してしまった場合、そのメディアへのエンゲージメントや信頼度は低くなりますよね。
だからこそLAURIER PRESSでは、「LAURIER PRESSの情報でかわいくなれた」という成功体験を常にユーザーにお届けできるようにコンテンツを制作、配信しています。

飯髙:
ありがとうございます。
正直今回モデレーターとして呼ばれた際に「アプリの世界そんなに詳しくないし、女性向けメディアだから大丈夫かな」思っていました。また、現在はエンゲージが重要視されるようになってきてるけど、ダウンロード施策のような集客ばかりだったらどうしようと不安がありました。

最初のダウンロード施策のあたりではテレビCMなどお金に偏っている話が多いなというイメージでしたが、どんどん話を聞いてみるとリテンションや世界観の構築を大切にしていることが、みなさんもわかったのではないでしょうか。

僕は今31歳ですが、この世代のマーケターでも出来ていない事をやっているなというのが正直な感想でした。
あとは皆さん、DELISH KITCHENとLAURIER PRESSを利用してもらって、彼女達が話した事がどう運用されているのかを、ぜひ手で見て、感じて、もし自分のアプリケーションに生かす事があれば、生かしてくれれば嬉しいかなと思います。

まとめ

アプリマーケティングというと「いかにダウンロード数を稼ぎ・マネタイズさせるか」といったイメージがあるかもしれません。
ですが、ゲームアプリのような課金によって収益を得るビジネスモデルとは異なり、Webメディアやメーカー、小売店などのビジネス系のアプリでは継続してファンを育成していく事こそ重要です。

そのような継続したファンの育成には良質なコンテンツが欠かせません。
今回のセッションでは、LAURIER PRESS・DELISH KITCHENのどちらも「実際にユーザーが試せる内容なのか」といった信頼性や「ユーザーが保存してくれているか」といったエンゲージメントを重視していました。

今後は、ただ費用をかけてダウンロード数を稼ぎ、リテンション施策は二の次という考え方でなく、いかにユーザーの生活の役に立つコンテンツを発信するかがアプリ運営のカギとなってくるのかもしれません。