女性向けアプリにおけるUI/UXの重要性

飯髙:
アプリの場合でも企画や開発を経て、運用の段階が訪れるかと思います。運用の事を考えるタイミングはいつで、どのように企画を立てていますか。

菅原氏:
「いつでも運用の事は考えております」という答えが正しいかなと。
DELISH KITCHENのアプリでは、開発当初から「いかにレシピと出会う体験を作れるか」を意識していました。機能や目的ごとに閲覧するというより、何となくアプリを開いたらレシピに出会える場所にしたいと考えてきました。
その上で、ユーザーとレシピを出会わせる為にはどういうUIが最適なんだろうと考えていますね。

飯髙:
言葉を恐れずに一つだけ言わせて頂くと、UIとかUXも重要だと思うんですけど、僕は「全てはコンテンツだ」と考えています。
コンテンツが見られなければ意味がないですし、配信する時間帯への工夫や綺麗なUIじゃなくて読まれるコンテンツが素晴らしいと思っています。
とはいえ、女性の世界だとUI/UXがより必要だと思うですが、その際に意識しているペルソナや設計はありますか。

菅原氏:
DELISH KITCHENの場合はターゲットが主婦の方と決まっていましたので、彼女らの「レシピが決まらない」という課題に対して、雑誌のようにパラパラとめくったらレシピと偶発的に出会うようなUI/UXを目指しています。

飯髙:
宇佐美さんは運用の事を考えるタイミングはいつでしたか?

宇佐美氏:
それこそしょっちゅう考えています。
少人数のチーム編成で運営しているため、企画を考える時には、効果に対して運用の工数がかかり過ぎないか意識しています。
大切にしているものとしては*「かわいくなりたい」という思いで毎日来てくれるユーザーに対して、毎日期待に応えられるか*が挙げられるでしょうね。
弊社は元々ネット黎明期からあるポータルサイトなので、材料自体は色々あります。
その材料を混ぜ合わせて、リリースのタイミングやスピード感と、押し出したい機能を調整しながら運用しています。

女の子が求めているのは”自分の理想のかわいい”に合うファッション

飯髙:
想定していた当初の予定と異なる結果が出てきて、軌道修正が入ったタイミングはありますか?また、具体的にどんな事が起きたか教えてください。

宇佐美氏:
リリース前の仕様検討段階の話になるのですが、検索機能を追加する際に、当初はよくあるようなテキスト入力による検索のみの実装でリリースをしようとしていました。
ただ、常日頃インスタグラムを使っていてインスタグラムの検索に慣れている女の子達が何を求めているのか考えた時に「自分の理想の中に“かわいい”が既にあって、それに合うようなファッションやヘアスタイルをハッシュタグ検索などで探しているな」ということに気づいたんです。

そのため、LAURIER PRESSのアプリではこんな風に検索結果に画像が並ぶ仕様になっています。

スクリーンショット_2017-11-27_19.26.48.png

アプリ版LAURIER PRESSの実際の検索画面。検索機能のトップにトレンドのワードと画像が表示され、フリーワードで検索を行った際も記事タイトルと画像が合わせて検索結果に表示される。

例えばこの画面で「この画像みたいなファッションしたい」と思った時に、画像をタップすれば記事詳細面にアクセスし、実際にこのコーディネートが何のアイテムで構成されているかがわかるわけです。

女の子にとっての「かわいい」には色々あって、“ギャルに”とっての「かわいい」とゆるふわ系の女の子にとっての「かわいい」は違うと思います。
それが画像だと自分の「かわいい」に合ったものを直感で選べる。かわいいが多様化しているからこそ、そういった検索方法を設計しました。

飯髙:
正直僕、何言っているのだろうって思って聞いていたんですけど(笑)
女性はインスタのように写真のようなビジュアルから入って、テキストを伝えるというのがわかりやすいんでしょうね。

宇佐美氏:
例えばゆるふわなものをかわいいと思ってる人が「“かわいい”ミディアムヘアにしたい」と考えても、テキスト検索では“自分がどんなテイストがかわいいと思っているのか”を指定して検索できないので、テキスト検索結果が出てきて記事を選択しても、その記事で紹介されている“かわいい”のテイストがマッチしない事が多いでしょう。検索結果を画像で並べてあった方がすぐに自分の中の“かわいい”のテイストにあった情報を見つけられます。