宇佐美氏・菅原氏それぞれの気になるアプリは?-ZOZOTWON・インスタグラム

飯髙:
今までに比べて生活者がメディアに触れる方法はより手軽になっています。その中で、個人としてお二人はどのようなメディアに触れているのかをお聞きしたいです。
例えば、日頃使っているアプリケーションでもダウンロードのポイントや、何がリテンションのフックになっているかなど、感じているものはありますか?

菅原氏:
継続率という点では、よくZOZOTOWNで洋服を買いますね。
ZOZOTOWNのアプリでは、パーソナライズされたプッシュが届くんです。
例えば、お気に入りにしている商品に対する値引きの情報やお気に入りしているブランドのクーポン券発行のお知らせといった通知です。
そういったものに踊らされているなと感じながらも、パーソナライズされた情報が大事なのだと改めて考えさせられていますね。

宇佐美氏:
私が踊らされているアプリはインスタグラムですね(笑)
インスタグラムでは知り合いの情報など話のきっかけになるネタも多くつい見てしまいます。それだけではなくてファッションやコスメ情報に関して、すごくリアル感のある情報が載っている。そのため、何かを購入する際にもインスタグラムを参考にしています。

例えば、Google検索で「オルチャンメイク(韓国で流行している可愛いイメージのメイクスタイルを指す言葉)」と調べたとしても、実際にそのメイク方法を試した事がない人が書いた記事もSEO対策がうまくされてさえいれば検索上位に表示される場合もあります。

そのため、「記事を参考にしてオルチャンメイクを実践してみたけど全然オルチャンメイクにならなかった」といったユーザー体験として最悪なことが起こりえます。
その点、SNSの場合は「フォロワーを増やしたいから良い情報を伝えよう」とするユーザーが多いので、一人一人がリアル感ある情報発信をしていると感じています。

コンテンツの企画・運用で大切にしているコンセプト

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飯髙:
先ほどは1人のユーザーとしてのお話を聞きましたが、逆にコンテンツを配信する運用者としての企画・配信の方法や、どういった波及効果を狙っているか教えてください。

宇佐美氏:
LAURIER PRESS自体がWebメディアから進展したというところもあるので、Webとアプリで基本的に違いはないと思っています。
ただ、Webの場合、特に集客部分に重きをおいていて、SEOやSNSでいかにユーザーさんとLAURIER PRESSを出会わせるかという事を考えてサイト構成を行っています。

一方、アプリではLAURIER PRESSというブランドや世界観が好きだから来ている方が多いので、かわいい世界観を重視した画面構成にしています。例えばタイトルにしてみても、WEBで意識する「キーワード含有率」などSEOのテクニックを意識するというより、かわいいタイトルづけを心がけています。同じコンテンツでも、Webとアプリタイトル付を変えていることもあります。
そのほうがアプリ上ではタップされますし、エンゲージメントも高いというのが実際にデータとして出ています。

飯髙:
Webサイトは新規ユーザー獲得のコンテンツとして認識していて、アプリはWebでコンテンツに出会ったユーザーがLAURIER PRESSというブランドを気に入ってダウンロードするものというイメージですね。
だからこそアプリではリテンションが重要になりますね。

宇佐美氏:
まさに、そうです。

菅原氏:
DELISH KITCHENの企画の場合、社内には数十人の料理スタッフと同規模の編集スタッフがいて、月間1,000本を超える動画を作っています。
企画の際にはどういった動画が見られているのかだけでなく、「どういう人がなんでこれを見ているのだろう」というところまで細かく分析をしています。

具体的に言うと、毎週週末にパーティーをしている港区の女子と、地方で毎日子供三人に向けてご飯を作る主婦では、同じもやしの利用方法でも「オードブルに使うのか」「ご飯のかさ増しなのか」といった違いがあるでしょう。
このようなユーザーの行動を考えながら、どうコンテンツを最適化していくか、そのためにどんなコンテンツが必要かを考えて作っています。

一方で、このようなWebマーケティングらしい考え方だけだとユーザーにとって最適化された同じようなコンテンツばかりになってしまうとも考えています。運営側としては改善の幅が狭くなってしまう。
例えば、毎月10%は今までのデータと全く違うものをチャレンジしてみて、その中で再生数伸びたり、お気に入り率が高かったりしたものに対して、改めて最適化をはかっていくという取り組みをしています。

飯髙:
めっちゃ考えてますね。今すごく尊敬の目になってます(笑)
「なんか季節的に今アボカド流行っているし、そういう料理あげよう」みたいなイメージだったんですが、かなりきちんと運営されているんですね。

菅原氏:
もちろん季節性もあるんですが、それでも毎年どのキーワードが人気なのかというのは決まっています。
その中で90%は今まで通りのフォーマットや固定化された情報で作って、残りの10%はチャレンジしていますね。